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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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お礼

 あの後リアムと彼の姉と思われる女性が涙を流していたが、すぐに涙が止まったのかこちらを見る。


「三人とも、今回我らの父上を凶神の手から救ってくれたこと、感謝する」


「あなたたちのおかげで父も安らかに逝けたと思うわ。ありがとう」


 そう言って二人同時に頭を下げた。


 その状況に俺とアスナは理解できるが、ギルだけは何がなんやらといった顔をしている。


 後で個人的に事情を説明すればいいか。


 なので取り敢えずは、


「いろいろ説明してもらいたいんだけど、ここじゃダメか?」


 リアム達も俺の言ったことを理解したのか、互いの顔を見ている。


「立ち話もなんだし、他の場所に移動するがそれでいいか姉上?」


「その方がいいわね」


 リアムがそう言うと突然空間に扉が出現した。


「またなんか会議室みたいなのとこに移動するのか?」


「あぁ、あの部屋とは違うが似ている部屋にする。今回のことについて話すには丁度いいからな」


 そう言ってリアム達が先に行って、その次にアスナが続く。


 最後にこの状況に困惑しているギルとこの後の行き先を知っている俺が残っている。これが優越感というものなのか......かっこわりーー!


「な、なあユウト。今からどこに行くんだ?」


「? どこって決まってるじゃないか......会議室だろ」


 俺はそう言うと、まだ頭の整理が出来てないギルの背中を押しながら扉に入った。








「では今回のことについて説明しよう」


 リアムが前回のオーブリーの席の位置に座り、その近くに彼の姉が座っている。


 そして俺達と迷子の子であるギルは前回どおりの場所に座っている。


 全員が席に座ったのを確認するとリアムが手を組んで、何か雰囲気を出している。


「大方理解しているだろうと思うが、今回の件は凶神に操られた父上の凶行だ」


 さっきもそう言ったいたしな、それにこれと言って知りたいことも特にないし。


「あっ、そういえばあの印ってどういう意味なんだ? 五体の竜が寄り添っている印は」


「知っていると思うが、父上はこの世界に落とされた後数百年の間一人で過ごして来たんだ。だから、もう離れないようにという意味で我と姉が考えたのだ」


 なんか普通にいい話だったーーハンカチを創造しよーー!


「リアムの親父さんが言っていた奥さんともう一人の姉だっけか、ここには来れなかったのか?」


「母上ともう一人の姉上は共に神界で仕事をしているからな、そう簡単には来れないのだ」


 だからこの世界にいる二人しか、竜神の死に際間に合わなかったのか。親と旦那の死に目に会えないのは何か悲しいな。


 そして俺は一度深呼吸をして慎重にあることを尋ねることにした。


「ところでリアムさん......一つ尋ねたいのですが、よろしいですか?」


「なんだ急に改まって、何でも聞くがよい」


 よし、では。


 俺は彼の近くに座る彼の姉を、なるべく直視しないように気を付けながらどうにかして横目で見る。


「その人がお前の言っていたサンドバックの姉でいいんだよな?」


 するとそう呼ばれた彼女の肩がぴっくと動く。


「そ、そんなわけがないだろ! 何を言っているんだね君は!」


 こいつも口調が変わってんぞ。この様子から察するに、これはビンゴなのか? 賞品は何なんだ? サンドバックいらないぞ。


「なら神界にいるもう一人の姉か? 割と本気のサンドバックをさせてくるのは」


 とうとう彼女が俺の方を見て尋ねてきた。


「その話はホント?」


 全く感情のない目だった。


「は、はい! そ、その通りであります!」


 またしても心臓をではなく肺を捧げってって違う、よく見ると肝臓である。まあ肝臓なら70%切除してもオーケーだしな、別に全然怖くないですよえぇ。両手で体を抱え込んでいるのは少し寒いからです......あのお方のせいで。


 すると案の定リアムが、


「き、貴様! 裏切りおったな! このままで我が割と本気のサンーー」


「リアム。後で私の部屋にいらっしゃい」


 彼が言い終えぬ間に、あのお方である彼女からサンドバックの刑が下った。


 大方、サンドバックの餌食になるではないか! とかだろ。


 それを聞いて顔を割と本気で青くしているのを他所に彼女が、


「私の名前はカミラ、よろしくねユウト君」


 はい、存じ上げております。弟さんがマルフォイのようになるまでサンドバックをさせられた、と告げ口していましたから。


 そんなことは口が裂けても言えない。なぜなら今度は、俺がリアム(マルフォイ)になっちまうからだ。


 俺は先ほど創造したハンカチで、涙ではなく冷汗を拭きながらカミラさんに対する言動に気を付けることにした。


「はい、よろしくお願いします。ちなみに後ろにいる彼女がアスナと言い、もう一人がギルと言います」


「そう二人ともよろしくね」


 アスナもギルもそれぞれ挨拶をした。


「話を戻すっといっても、何も話すことがないからね」


 カミラさんが少し考えて、


「よし、なら三人にこれをプレゼントするわね」


 そう言って彼女が渡したのは犬笛のようなものだった。


「これは竜呼びの笛というもので、ホントに困ったときはこれを吹いてくれれば私かこれが来るから」


 そう言ってこれ(リアム)を見ながら言った。


「そんな貴重なものいいただいてもいいんですか?」


「えぇあなた達はそれだけのことをしてくれたから、気にしなくてもいいわ」


 なんだよ、無茶苦茶いい人じゃねえか。リアムの勘違いじゃねえの。


 そう思っていると、


「ほら気絶してないで、さっさと起きな愚弟」


 そう言って気絶していたリアムの頭を割と本気で殴っていた。ついでに変な音も聞こえた気がするぞ。


 つまりリアムの情報はオフホワイト!


 その衝撃でリアムが飛び上がるかのように起き上がると、一瞬割と本気で殴られたからなのかぼーとしている。


「......割と本気で殴られたから思い出した。上司達が渡し忘れた物を届けに来たのだ」


「なんだその渡し忘れた物って?」


 リアムが空中に手の平を近づけるとその空間に穴が開き、そこに手を突っ込むと何やらゴソゴソしている。


 なんか俺の月読命と似てんな~と呑気なことを考えていると、探し物が見つかったのか彼の手には手の平サイズの白い袋が握られている。


「それが忘れ物なのか?」


「あぁこの袋の中に入っている物が届け物だ」


 そう言ってリアムがその袋の口を開いて入り口を斜めにしてその届け物を見せる。


「この虹色の石? がそうなのか」

 

 彼の手の平には四方4センチほどの大きさの綺麗な虹色の石のようなものである。初見の印象は、何か高そうだな、ハウマッチ?


「これは月虹石げっこうせきというものだ」


「それでこの月虹石は何なんだ?」


「上司達から妖刀使いの件について聞いたと思うが、これは仲間になったが連れて来れない妖刀使いに渡してもらえばいいだそうだ。ちなみに気になる効果は我も知らん」


 たしかに皆が皆仲間になっても付いて来てくれる訳でもないし、それぞれにも事情っていうものがあるだろうしな。


 逆に仲間が多すぎるとRPGみたく縦一列で歩いてしまう可能性があるしな、傍から見ると桃鉄のキングボンビーに見えなくもない。


「仲間になった妖刀使いに渡せばいいのか......分かった。届けてくれてありがとう」


 それにリアムは大きな頷くと、


「それでは二人とも堕落した神々の相手を頼んだぞ!」


「何かあった時はあの笛を吹けばいいからね」


「あぁ任せてくれ!」


 俺がそう言うと二人は頷き、


「閉門!」


 リアムがそう言うと目の前が光に包まれる直前ある光景が見えた。


「リアム部屋にいらっしゃい」


「助けてくれぇぇぇぇ!!」


 会議室からカミラさんに割と本気で引きずり出され、俺に泣き叫んで手を伸ばし助けを求める彼の姿を......すまんが俺の道の許容範囲外なんだ、それに君を助けてしまうと連帯責任で俺までマルフォイに変えれられてしまうからな......なので許してちょんまげ。




 そして次に見えたのは竜人の里の中だった。


 

 周囲を見回すと俺達の目の前にはガラナさんの店があり、彼女がこちらを見ている。


「「「「............」」」」


すると大きく息を吸う動作をする


「英雄達のお帰りだぁぁぁぁぁ!!」


 そして馬鹿でかい声で突然そう叫びだした。


 このパシリババァとうとう狂っちまったのか!? 


 ババァの奇行に俺達三人は驚いてフリーズしてしまう。


「皆出ておいでぇぇぇぇぇ!!」


 再度ババァが雄叫びを上げる。


 どこからその馬鹿でかい声が出てんだ!?


 すると竜人の里にある大きな集会所のところから一斉に竜人族の人達が走って来て、俺達を取り囲んで何故か胴上げされるという奇妙な現象に遭っている。


「わっしょい! わっしょい! わっしょい!」


 それは神輿を担ぐときに言うものであって、人を担ぐ時に言うものではない。


 その間俺達は何が起こっているか分からないのでされるがままだ。


 それが終わると急に降ろされた。


 そして集落の人達がババァ同様大きく息を吸って、


「「「「「「おかえりなさい!!!」」」」」


 俺はそれを見て小声で二人を呼び作戦会議を開いた。


「おい、何でこう状況になってんだ?」


「エレナさんを救った情報が流れたからでしょう」


「それにしては早くないか? ここから竜の寝床まで距離があるし......ていうかエレナはどうしたんだ!?」


 俺は今回の救出対象者であるエレナのことを思い出した。


 まさか......まだ向こうにいるのか!? 何か一人で可哀そうだな、ワンチャン木の棒で地面に絵を描いている可能性があるぞこれは。


 かなり曲がった考え方をしている俺を察したのか、先ほどから黙っていたギルが口を開く。


「あぁそれなら心配ない。あの時俺が何人か兵士を連れてきた。だからその時に保護してもらったから大丈夫だ」


「なら良かった......それじゃあお前のせいかよ、この状況はよ」


 そんな会議を開いていると、人垣からある人物が飛び出して来た。


「ユウトさん!」


 そのままエレナに俺はクリティカルヒットし&ハグされる。


「......」


 その結果俺はフリーズしてしまう。


「おい氷柱野郎! エレナに触れてんじゃねえ!」


「そうですよエレナさん、彼に触れると一生独身のままですよ......私のように」


 その光景を見た二人が結託したようだ。


 なんで氷柱野郎に降格してんだよ! それにアスナはまだそれ根に持っていたのか......。


「でも、無事でホントによかったです......」


 先ほどから俺の胸元で涙を流しているエレナが消え入る声でそう呟く。


 どうにかフリーズが解けると、エレナの肩をそっと優しく手で押して少し距離を取り、


「ただいま、エレナ。君も無事で良かったよ」


 彼女は少し目を見開くと頬を染めて、


「おかえりなさい、ユウトさん。救ってくれてありがとうございます」


 という訳で今日の主役は俺、ヒロインはエレナに決定したように見えたが......。


「死ねえぇぇ氷柱野郎ぉぉぉ!!」


 槍を手に持ち竜装化した俺に襲い掛かってくる。


「訂正しろぉぉぉシスコン野郎ぉぉぉ!!」


 なので俺も黒刀を出して向かい打つ。


 そんな感じで俺とシスコン野郎とのエレナと俺の尊厳を賭けた戦いを迎えて、今回の初仕事である堕落した神々との戦いは無事成功に終わった。



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