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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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感謝

 簡単な話、計画はこうだ。


 俺とアスナが竜神の気を引きつつ、かつギルを守り、彼に神代の槍を完璧に投げさせる。


 無理難題のように思えるが......これは仕事だ、できるできないじゃない......やるしかねえんだ!


 それにこの戦闘の間、ギルは竜装化になっておくと言っていたし大丈夫だろ......ホント大丈夫なのか? なんか計画があまりにも簡単すぎるような気がする。


 しかし竜神を見ると、完全に再生しており空中からこちらを睨んでいるし、これ以上考えても時間の無駄だな。


「よし、それぞれの役割を全うしてくれ! 命令は以上! 行くぞ!」


 その声と共に俺達は駆け出したが、俺はいち早く奴の変化に気が付く。


「隕石が来るから二人とも俺の近くにこい」


 俺がそう言うように、奴の口付近が再度赤く染まり始めたので二人を呼んで近くに来させると同時に俺達3人を覆うように影牢を使用する


そして衝撃音と影牢を解いて周囲の状況を見ると、先ほどの出来たクレーターよりさらにひどくなった。


 大地さんがおいたわしゅうございます。


 そんな中、白竜神の加護を持っておりこの環境にも耐えることができているギルが信じらないようなものを見るかのように呆然と呟く。


「これが竜神の力か......」


「そんな奴を今から俺達は倒すんだろ?」


 そんな様子を見たので俺が挑発するかのように彼がそう言ってやると勝気顔になる。


「あぁ当たり前だ、そのためにここに来たんだからな」


 俺はそのやる気に期待を添えるために黒刀を握り直す。


「アスナ! あいつの動きを抑えれるのを頼む! その間に俺が一発でかいの食らわせる!」


「分かりました!」


 アスナの返事を聞くと俺は竜神の死角に回るために、2人から離れるために駆け出した。


「神ノ慈悲零!」


 先ほどと同様に赤い雨が降り、奴の鱗を溶かした後、轟音とともに先ほどより大きな雷が奴に直撃した。


 それと同時に俺は黒刀に魔力を集中させて、黒影波を飛ばしたのだが斬撃は一つではなく数十個の単位である。そんな斬撃の波が今まさに奴の大きく羽ばたいている巨大な翼に迫ろうとその色を更に漆黒に染め始めている。


 俺としては翼を切り落とし奴を地面の落とした方がギルがあの黒い宝玉を狙いやすいと思って飛ばしたんだが、その斬撃が何か力が作用したのか奴の体には届く前にその存在を消すかのように徐々に色と大きさが薄く、そして小さくなりとうとうその存在そのものが消えてしまった。。


 すぐに次の攻撃に移ろうとしたのだが、先ほどの攻撃に対して竜神が何の反応を示さずに空中に留まっている。


 これまでの戦闘から考えると奴は攻撃されると、「やられたらやり返す......倍返しだ!」のスタイルだったので、今の奴の俺達に対しする反応がおかしいように思える。


「どういうことだ......?」


 すると今まで何の反応を示さなかったの奴の体の色が少しずつだが変化しているのに俺は気が付く。それに少しの危機感を感じたのですぐに二人の元に戻ることにした。


 二人とも奴の様子がおかしいことに気が付いたのか、奴をジッと観察する目で見ていたが、俺が戻って来たことに気が付き何か納得するような表情をしている。


「竜神の様子がおかしいから注意しろ、ですね」


「あぁ、なんか嫌な予感がするから一応備えとくぞ」

 

 アスナが俺の顔つきと現状を理解した上で、的確にこの後の流れを推測したようだ。


 俺のそれに首肯するとともにギルにも簡潔に説明すると同時に、俺は視線を奴に戻して、すぐに警戒心を強めた。


 今の奴に状態は体全体が赤から紫に変わり始めており、そして徐々に口の付近にその色が集まりだした。


「多分ブレスです! それもリアムさんと同様以上のものと考えた方がいいかと!」


 リアムのって言うことは、例の数か国を滅ぼす威力のあるブレスのことか。


 俺はアスナの忠告に頷いて再度奴を見た。


 そして奴らの体が紫からリアム以上の漆黒に染まると同時に、奴が漆黒のブレスを俺達に向かって勢いよく吐いた。


 そのブレスが通ろうとする空間がそこだけ次元が違うのか、歪んでいるように感じ、それが近づくにつれてその圧というものなのか、それを肌でヒシヒシと感じることができる。


 なんかどこかで感じたことがあるような気がするが......今はいいや。


 俺は瞬時に進化した黒穴を使用しようしたのだが......なんとなくだが、それではあのブレスをすべて吸い込めないような気がした。


 多分これは本来の神の力なのではないかと思えたからだ。


 なので俺は以前ダンジョンでレベルが上がった時にあるスキルを覚えてたのだが、それがかなりの量の魔力を消費するのと分かった以降は使わないようにしてきた。


 しかし今回はそれが適していると直感で分かったので、俺は正面から漆黒のブレスを見つめて、


月読命ツクヨミ!」


 その瞬間......空間が大きく歪んだ。


 そしてその歪んだ空間がすぐにその口を開けると、そこには何もない真っ黒な空間が姿を現した。


 黒穴は真っ黒な穴が出現するが、この月読命は穴というより......まるで異次元に通じているかのように見えるのだ。


 そして竜神の漆黒のブレスは、その空間に吸い込まれるように消えていく。


 すべてを吸い込んだと判断したのかその空間が閉まろうとする直前、俺は誰かの若い女性のような声がその空間の中から聞こえた。


「はよ〜こちらにきやさんせ」


 それはまるで時代劇で使われるような言葉遣いのようだった。


 俺がその正体を確認する前にその空間は完全にその口を閉じ、後には何も残っていなかった。


「なあ二人とも、今何か聞こえなかったか?」


 俺は今の声がアスナとギルにも聞こえたかどうか確認したのだが、二人は顔を見合わせて、


「いや、俺は何も......」


「私も得には......」


 俺の気のせいなのか? ならいいんだが......。


 そう言えば奴は! そう思って奴を見ると......。


「かなり疲労しているように見えるな」


「はい、いくら元は神と言ってもあれだけの技をかなり使用していましてからね。」


 先ほどの技を使った前と比べると、疲労しているのかぐったりとしている様子だった。


 体の色も漆黒からもとの赤に戻っている。


 なんとなく奴の瞳を見てみると、そこには戦闘の際のあの瞳ではなく、あの時たしかに話した時のあの瞳のようであった。


 その時、俺の目と彼の目が合った瞬間、脳内に彼の声が聞こえた。


(あれを......出したおかげで.....話せる......後少しだ......あれで俺の核を壊してくれ......頼んだ)


 すると再度奴の瞳が元に戻る。


 彼の言うあれはあの漆黒のブレスっていう認識だいいはずだ。


 それにあれっていうのはギルが持ってきた神代の槍のことだろうけど、なんでそのことを知っているだ? あれはリアムと彼の姉が作ったと聞いたしな......まあいいや。


 今のテレパシー? なのか知らないが、それが正しければそろそろ大詰めか。


「アスナ、今出せる一番のスキルをあいつに打ってくれ」


 俺は奴の止めをアスナに頼むと、無言でそれに頷く。


 そして......。


天照アマテラス!」


 俺は奴の体を見てみると腕の付け根に付近に徐々に光の炎のようなもの見えた。


 かなり小さい炎で初めはロウソクの炎に見え、奴も気にしていなかったのか、すぐにこちらに目を向けたその瞬間にその炎が急速に強さを増して、それが全身に広がり奴が断末魔を上げた始める。それは赤い炎ではなく金色の炎であったのだ。


「グワァァァァァァ!!」


 その痛みに自身の巨体を支えれなくなったのか、徐々に地面に降下し始めた。


 そしてそれが消え去ると同時にアスナが、


「あのユウト様、今誰かの声が聞こえませんでしたか?」


 先ほどの俺同様誰かの声が聞こえたのか、そんなことを確認してきたが俺には何も聞こえなかったので逆に質問しようとした。だが今は戦闘中なので暇な時に訊こうと思い直す。


「いや、何も聞こえなかった」


「......そうですか、分かりました」


 先ほどの俺同様にアスナもどうにもしっくりこない顔をしながら引き下がった。


 彼女から視線をそらして俺は再度奴を見るとすでに虫の息のように思える。


「ギル、後は任せた」


 最後の止めは、竜人の里の守り人であるギルに任せることなっていたからな。


「あぁ」


 俺がそう言うと彼の握っている神代の槍が徐々に虹色に輝き始め、それが俺達のいる洞窟全体を見れるほど輝いた。


「行けぇぇぇぇ!!」


 ギルがそう言って力一杯に神代の槍を投げると、神速のスピードでその光の軌跡を空中に残しながら、竜神の黒い宝玉に向かって飛んで行った。


 そして槍が宝玉に当たった瞬間洞窟全体に閃光が走り、目を瞑ったその時。


(感謝する......神の使徒よ......)


 その声の主に気が付くと同時に、目を開けると竜神の宝玉にひびが入り、


「パキンッ!」


 その音と共に彼の宝玉は黒いかけらを散りばめながら空中散乱し、徐々にどこかに運ばれるかのように消えていく。


 不意に、先ほど神代の槍の残した軌跡を見てみるとそこには......。


「虹か......」


 洞窟全体に掛かる、虹の架け橋だけが残っていた。

  

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