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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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神代の槍


「なんだ、どうしてシスコン野郎がいるんだ?」


 こいつには里の守り人の役目があるはずなのに、どうしてこんなとこにいるのか気になった。


 すると案の定シスコン野郎はきれた様子で、


「シスコン野郎じゃねえ! これは家族愛と言うんだ!」


 全く、こいつは全然理解が足りねえんだよ。


 仕方ないな......先輩としてしっかり教えてやらねば!


「それは家族愛=シスコンになるんだよ! 覚えとけ!」


 売り言葉に買い言葉、俺は真正面からシスコン野郎とメンチを切る。


「はいはい、二人とも落ち着いてください。ここは戦いの場ですよ」


 俺達を呆れた様子で見ていたアスナの言葉でどうにか我に返ったので俺が再度ギルに聞くことにした。


「でなんでここに来たんだ? お前の役目は里を守ることだろ」


 ここに来る前、彼は俺に対してそう言っていたのに、何故か彼がこの場所に来ているのか不思議に感じているからだ。


 すると彼は顔を下げて口を開く。


「......それだけではダメなんだ」


 人と話すときはちゃんと相手の顔を見て話さないといけないでしょ! と言える空気ではないので、


「何がダメなんだ?」


 俺が尋ねる様に聞いてみると彼は下げていた顔を上げて、


「誰か一人でも犠牲にして里を救っても、それは守ったとは言えない。守り人の役目は里の人全員の命を守ることだ」


 そして決意するように俺の目を見てこう言い放った。


「だから俺は竜神を倒して、エレナを救い出して、それでいて里を守る! それが本来の守り人の役目なんだ!」


 それを聞いて俺は苦笑いをしながら、


「無茶苦茶だな......その考え」


 俺のその言葉に、ギルは少し落ち込んだのか顔を下に下げた。


 てかこいつ、さっきから顔を下げたり上げたりの繰り返しだな......クレーンかよ、てかこいつオスカーみたいな奴だな、あいつ元気にしてんのか? まあこの際オスカーはどうでもいいや。


 だが、と俺が言うとその顔を上げたので言ってやった。


「でも、俺は好きだぜ、そういうの。俺も竜神倒して、エレナを救ったら、困っている人を助けることに繋がるからな」


 俺の言葉を聞いたギルは初め驚いていたがすぐに破顔すると、


「なんとなくだが、初めてお前を見た時から、自分と似ていると思っていたよ」


「おいおいマジかよ。俺と同意見じゃねえか。なんかテレパシーでも使えんのかよ」


 流石の俺でもこれには驚いた、加えて鳥肌も立った。


 それとも同じ同志シスコンだから何か通じ合うものがあんのか?


「くそっ! せっかくいい感じの雰囲気だしてやったのに台無しじゃねえか!」


 俺のセリフにギルは吐き捨てるようにそう言ったが、なんだよいい雰囲気って......そんなん知らんわ。


「そんなもん頼んでねえからな。後先走んな」


 案の定無限ループに落ちかける。


「ここは戦場ですよー」


 しかしアスナの一言で俺達は我に返った。


 やっぱ似てんな......俺達。


 そんな和やかな雰囲気を出している場合ではない!


「それでここに来たんだから、何か秘策はあるんだろうな? あいつに普通の攻撃は食らわないからな」


 俺とアスナの攻撃は効いているかもしれないが、あと一つ決定打がほしい。


 それがなれけば奴を倒すことが出来ないからだ。


 俺は言いたいことを理解したギルは、先ほどから背中に背負っているあるものを出した。


「あぁ、秘策はある。それがこれだ」


 そう言ってギルの手に握られているのは、一本の金属で出来た特徴のない槍だった。


「何だこれ? これであいつ倒せんのか?」


「これは神代のカミシロノヤリと言うんだ」


 

 ギル曰く、この槍は正式名称は神殺槍カミシニノヤリと言うが、時代と共に呼びやすい名に変わっていたという。


 これは竜神が、竜人の里に襲撃しようとした時に白竜神と黒竜神が来た際に例の印の決まりを結んで竜神が帰った後、白竜神と黒竜神によって生み出されたそうだ。

 

 そして白竜神が、もし竜神と戦う勇気のある人物が現れた時はこれを渡してほしいと伝えられていたという。



「それでこれはどう使うんだ?」


 俺は基本的に武器は黒刀以外使ったことはないし、学校の体育でも竹刀ぐらいしか武器と呼べるもの以外使用した覚えはない。


 ましてや槍なんてもん実生活では耳にしたりする機会もないからなあ......つまり使い方は知らん。


 なので俺は彼の手に握られている神代の槍について尋ねた。


「もう分かってると思うが、あの黒い宝玉を狙うんだ。そしてそれは俺、竜人族しか使用出来ず、加えて一度しか使用すること出来ない」


 竜人族限定って訳か、それに一回こっきりということか......マッチかよ!


「よし分かった! ならそれがお前の役目だ!」


 俺は何の迷いもなくギルにそう言ってやった。


 案の定俺が何の迷いもなく決定したことに少しギルが不安になっているようだ。


「い、いいのか、そんなに簡単に決めて? もし、仮にしっぱーー」


「お前はこの里の守り人なんだろ? なら自分でそのぐらいやりやがれ! ......と言うか適任お前しかいないから、ホントマジで失敗だけはすんなよ?」


 これで失敗したらマジで洒落にならん。


 初仕事で失敗とか、これがガチの会社だったら俺達の首が飛ぶぞ。......あれ? よく考えたら......俺達ガチの会社勤めじゃないのか? 


 そこんとこギルも理解してくれた様子だったが、


「あぁ分かったよ。だからそれ以上プレッシャーを掛けないでくれ」


 たしかにこれ以上プレッシャーを掛けてしまうと禿げる可能性がある。


「すまんな。んじゃその方向性で行くか! 頼んだぜギル!」


 そして遂に、待ちに待ったその時がやって来た。


「あぁ、任された分にはしっかりやるよ。ユウト」


 やっと俺の正式名称で呼んでくれたな......マジで氷柱野郎は勘弁だわ。


 俺達の会話を聞いていたアスナが、少し微笑むとすぐに真剣な顔になる竜神の方を見ながら、


「そろそろ竜神の体も再生し終えるので、簡単な作戦を立てましょう」




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