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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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会議

 おばあちゃんの話を聞いた俺はすぐにギル達の家に戻った。


 まず初めにキッチンに見に行くと、そこには夕飯の準備をしているジャネットさんがおり、俺の足音が聞こえたのかこちらに気が付いた様子だ。


「あら、おかえりなさいユウト君。どうしたの? そんなに急いで」


 何事もないかのように、そう言ったジャネットさんの様子を見て、俺は少し心が痛んだ。


「いえ......アスナの腕は上がったかどうか聞こうかなと思いまして」


 さすがにこの場で先ほどの話を問いただす勇気もないので、俺は当たり障りのない話題を振ることにした。


 そんな俺の訊いたことに彼女は納得したのか嬉しそうな顔をしている。


「多分アスナちゃんの腕がいいと思うんだけど、彼女かなり腕を上げたわよ」


 ジャネットさんはまるで我が子の成長のように語っている......だが、彼女の本当の娘であるエレナはもう時期、その時が来るかもしれないのに......だが分かっている......今のジャネットさんの笑顔に。力が無いことに......。


 だから俺は......。


「やっぱりジャネットさんに任せてよかったです! 今からアスナを褒めてきますね!」


 今はなるべく、ジャネットさんに合わせる方向性で行くことにした。


 この際彼女が自身の義理の姉が殿の巫女だと知っていたかどうかも関係ない。ここで波風を立てても何の意味がない。それに部外者である俺が安易に口出しをしていいほど軽い問題でもないからだ。


「えぇそうしてちょうだい。彼女、あなたにギャフンと言わせたいと言っていたわ」


 彼女はそう笑いながら言っている。たしかにアスナならそう言うだろうな、ダンジョンの時もそんなこと言っていたし。

 

 しかしとにかく今は、アスナの待つ部屋に行きこの後のことについて話し合いをすることに限る。


「ありがとうございます。では......」


 部屋を出る前、少し振り返ると手で顔を覆ったジャネットさんの姿が目に映った。


 彼女の悲しみを拭うために......おばあちゃん、そして里の人達の願いのために......そして俺の道を貫き通すために......後ろ髪を引かれる思いで、俺は別室にいるアスナの元に向かうことにしたのだ。







「......そうですか」


 アスナの待つ部屋に行った後、おばあちゃんに聞いた話を彼女に話すと少し目を伏せてながらそう消え入るかのように呟いた。


 アスナの場合、料理修行の際にジャネットさんとエレナが教えてくれていた、という事実があるからな、そのエレナのこの後の運命を考えると......。


「分かってると思うが......」


「エレナさんを救い出す......ですね」


 俺は決心するかのようにアスナの目を見ながら続きを言うおうとするがそれを彼女が引き継いだ。


 やはり俺とアスナの意見が考えるまでもなく、初めから一致していたようだ。そりゃそうだな、流石にここで意見の食い違いがあったらなあ......どうしようもないからな。

「あぁその通りだ」

 

そのことに少しの安堵を抱いている俺とは違い、アスナは右手で顎をさすりながら考え事をしている 様子だ。


「やはり問題があるとすれば......」


 それに俺も頷く。


「あぁ......竜神だな」


 俺達の仕事上、おそらくおばあちゃんの話してくれた言い伝えに出てくる竜神は堕落した神々だろう。


「初めて堕落した神々と戦うし、一番の問題は断然その強さだな」


 言い伝えが正しければ体は金剛石......つまりダイヤモンドよりも固いうえ、アダム山脈に匹敵するほどの大きさらしいからな。


 ここはまず問題を一つ一つ解決していくことにより、何かしらのヒントを得ることができるかもしれない。というわけで問題を一つ一つピックアップしていこう。


 問題その1! ダイヤモンドは砕けないらしいが、あれは引っ搔き傷には強いが、打撃といった衝撃には案外打たれ弱い......つまり砕けるということだ。よし問題その1解決!


 問題その2! アダム山脈に匹敵するっていうが......そんだけ大きいとこの山脈からこんにちは! しているから、これは竜神の大きさを比喩した彼らの祖先様のせいだな。問題その2も解決!


 これで障害になりそうな大きな問題は解決できたが......俺達仕事を任されて、まだ一か月も経ってないからな。


「オーブリー様も言っていましたからね、元は神だから気をつけろと」


「それなんだよな。そもそも神の強さがよく分からん」


 初見でオーブリー達を見た時それほで強いという感じはしなかった、だから殲滅宣言をしてしまったのだ。それよりもリアムの方が余裕で強そうに見えたからな......マルフォイだけど。


 ならオーブリー達には何か自分の力を隠す方法とかあるのか?


 そんな風な会議をしていると、ドアをノックする音と同時にある人物が部屋に入って来た。


「ユウトさん、アスナさん、夕飯が出来たのでいらしてください。」


 今回の救出対象であり、今もそのことで話題になっていたエレナである。


「分かった、すぐに行くよ」


 俺がそう言うと彼女は笑顔で部屋を出て行き、足音が部屋から遠ざかると共にアスナが、


「彼女......強いですね」


 たしかに強い......自分の置かれている状況を理解した上で、あのように振舞っているのだから。


「あぁ......だが」


 別れ際のエレナの笑顔は、夕焼けに染まったあの時の笑顔とはまったくの別物だった。それだけ追い詰められているということだ。俺とそんなに変わらないだろうからな、まだ未来がある。それにもかかわらず、このままではそんな希望に満ちているかもしらない未来すらもなくなってしまうのだ。そんな理不尽を俺は許さない。だから......。


「絶対助けるぞ」


 俺の独り言のような小さな呟く。


「分かっています」


 アスナもまた独り言のように呟く。


 すぐに俺とアスナは再度決意を固め、彼女達のいる部屋に向かうために部屋を出ることにした。


 彼女のあの笑顔を取り戻すために.....。


 廊下を歩いている最中、俺は自分だけの決意を心の中で固めていた。


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