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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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おばあちゃん

 俺とアスナがこの竜人の里を訪れて数週間が経った。


 内容がないようなので、いろいろと省いて説明する。ダジャレについては気にするな、無意識のうちに使ったから特に意味はない。


とにかくその間いつものように困っている人を探しながら里の中を歩き回ったおかげで、いろいろな竜人族の人達と関わることができたのだ。


 小さい事では探し物の手伝い、皿洗い、犬? みたいな生き物の散歩などをさせられたり、そして大きい事では肩たたき、肩もみ、マッサージなどをさせられた......結論を言おう! この竜人の里は、平和だった......。


 そんなことを考えながら歩いているといつものように。


「あんたいつも歩き回っているけど、何かすることはないのかい?」


 果物を売っている顔馴染みにならざるを得ない竜人族のおばあちゃんから声を掛けられた。


 この人と話して俺はあることに気が付いた......子供から年寄りまで全員標準語で話しているという事実に......つまりここは都会と言っても過言じゃない。


 そんなシティーガールじゃないな、シティーオールドウーマンである彼女の言い方から分かるように、俺はこの里にいる間は一日中歩き回っていたのでかなり有名人になってしまったのだ。


「おばあちゃん......前も言ったじゃん。俺の仕事は困っている人を助けることだから、今はそういう人を探しているってわけなのよ」


 この説明を俺は何回もしてきたのに、何故かこのおばあちゃんだけは全然覚えてくれない。


 俺って有名人のはずなのにどうしてかしら?


「なら、山の方に野いちごがあるからそれを採取しに行ってくれ」


「......おばあちゃんホント困っている? なんかいつも俺いいように扱われているような気がするんだけど」


 俺の言動から分かるように、これが顔馴染みにならざるを得ない理由なのだ。


 そして大きい事の大半が、このおばあちゃんで占領されている。


 ちなみに小さい事の大半はこの人の知り合いと思われるその他大勢のおばおばあちゃん達によって占められている......。


 ババァばっかだなこの里は、過疎化進んでんじゃないのか? 総務省は早く対策したほうがいいと思いました。


「あんたそういうのを何て言うか知っているかい?」


 突然いつもとは違うことを言うおばあちゃんに、俺はどういうことだ? と思ってしまう。


「さぁ知らないけど......何ていうの?」


「自意識過剰っていうんだよ。ほらさっさと行っておくれ、こちとら腰が悪いんだから」


 そう言うとおばちゃんは風のようなスピードで店に入っていったのだ......あの人年齢不詳なんじゃないのか?


「はぁー......行くか」


 俺は溜息をすると、毎度おばあちゃんのパシリに従事しながら山に向かった。







「あっ、これが野いちごか」


 山に登った俺はおばちゃんの命令である、野いちご採取に励んでいた。


「これ小さいから見つけにくし、ついでに腰が痛い」


 やっぱりおばちゃんの腰痛は偽装ではなかったかもしれん......だがあのスピードは理解できん!


 そんなこと考えていると、目の端に人影が入ったのでそちらを見てみる。


「ん? あれは......ギル達か?」


 100メートルほど先にジルが率いている兵士達が見えた。


 どうやら彼らは西の方角に進んでいるように思える。


「たしか西の方角ってことは、エレナが言っていた竜神様っていう奴がいる場所だっけか」


 その後ギル達を見ていると次第に小さくなっていき、そのまま山の向こうに消えていった。


 俺はその後を追いかけて衝動に駆られたが、俺には使命パシリがあったのでそのまま採取を続けるのであった。








「はいおばあちゃん。言った通り野いちご取ってきたよ」


「おぉありがとね。それじゃあ、これはそのお礼ってことで」


 おばあちゃんに依頼の野いちごを渡すと、そのお礼としてぶどうを貰い受ける。


「ありがとねおばあちゃん......ところで気になることがあったんだけど、少しいい?」


「ん? 気になること? 何かあったのかい?」


 俺は先ほど見たギル達のことを話すことにした。


 初めの方は普通に聞いていたが、終盤に差し掛かるとともにおばあちゃんは悲しそうな表情に変わっていく。


 そして話し終えると、俺の目をまるで大事なことを確認するかのように見つめてくる。


「......あんたはいつもエレナちゃんといるよね」


「エレナ? うん、暇な時は里の中を案内してもらったけどそれがどうかしたの?」


 何故かあの日、青い熊さんから救って日以降彼女はよく里の中を案内してくれるのだ


「エレナちゃんを見てて分かると思うけど......あの子かなり里の人から信頼されているだろ?」


 おばあちゃんの言う通り、エレナは里の中では俺よりも有名人だ。


 加えて人望も厚い。


 対して俺は村の中では子供のいる人からの不信感マックス! 年寄りからのパシリ度マックス!


 そんな俺をパシリにするこの人は一体何者なんだ?


「う、うん。分かるけど、それがどうしたの?」


「エレナちゃんはね、誰にでも優しいんだよ。こんな年寄りの私にもね」


「たしかに時々そんな光景見たりするけど......それって普通なんじゃないの?」


 地球だと割かしそれが普通のような気がするが、この世界だとなんか違うのか? そう思って訊いてみる。


「大抵の子供は同年代の友達、またはそれに近い者同士で遊んだり話したりするんだ。でもエレナちゃんだけは、そんなこと関係なしに老若男女問わず幼い子なら一緒に遊んで、私のような年寄りとは世間話をしたりする子なのさ。だからあの子は、この里の者達から信頼されると同時に好かれているんだ」


「へーそんな感じなんだ」


 つまり信頼または好かれるためには、老若男女関係なしに関わりを持ってってことなのか。年寄りは良いとして、問題は子供だな。彼らの親からの目線がヤバいからな、一瞬アルソックなのかと思ってしまったほどだ。


 この後の里での身の振り方と愛想の振り方を考えていると、


「あんたは困っている人を助けるためにこの里に来たんだよね......」


「? その通りだけど」


 おばあちゃんにはすでにというよりも、野いちご採りのパシリをさせられた時に言ったはずなのに、もう忘れているのか? 認知症なのか、はたまたどうでもいいからなのか? そう思ってそれに肯定した瞬間、彼女の目に光るものが見えのと同時だった。


「お願いだよ、私達のためあの子を救っておくれ」


 まるで藁にも縋るような表情で涙を流しながらそう訴えかけてきたのだ。

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