決闘
「なるほどな、この者達が滞在したいという人族か」
「あぁその通りだ親父」
今現在俺とアスナは親方様と呼ばれたギルの父親であるカルロスさんに厳つい表情で品定めされたている。
ギルの豹変っぷりを見た後だからなのか、何かカルロスさんの顔が対して恐怖感を感じてしまう。
すると品定めが済んだのかカルロスさんは俺とギルの両方を見ると、
「滞在については、二人のうちどちらかがギルと決闘して勝てば二人の入行を許可しよう」
「俺はその氷柱野郎と戦いたい」
カルロスさんの言葉が終わると同時にギルがそう言った。
てか氷柱はもう忘れろよ......。
「なんだギル、そんなに彼と戦いたいのか?」
「......なんとなくだが、この氷柱野郎とは戦わないといけない気がする」
彼の言い方はまるでそれが運命のように感じているように思えたが、氷柱野郎ではなくユウトという名前で認識してくれ。
するとカルロスさんはギルの気持ちを察したのか俺に訊いてくる。
「息子がそういうが構わんか?」
「えぇ構いません......ただし」
俺がすまし顔をしているギルの方を見る。
「決闘に勝ったら、その氷柱野郎はやめてユウトと呼ぶことも約束してください」
「だそうだが、構わないか?」
「あぁいいだろう......まあ俺が勝つだろうがな」
ギルが早々にフラグを立ててくれたので、俺の勝ちが決まる。
後は彼に俺との実力差を見せるだけだ。
「では今から決闘を始める。すぐに決闘場に行くぞ」
カルロスさんの合図で俺達は闘技場に向かったことにした。
決闘場の見た目は、イタリアにある世界遺産で有名なコロッセオに似ている。
たしかあそこは、時の皇帝が金を使いっぱなしジャーマンのどんぶり勘定してしまった帳尻合わせのために、財政の均衡と首都の再建といった二つのことを進めている時期があり、その中で市民から血税を絞り取りながらも、市民を懐柔するために飴と鞭といった要領で、娯楽施設の目玉として建設し、市民をうまく騙していたと俺の作る教科書には書いてあったな。
そしてその中心に俺とギルが立っており、審判はカルロスさんが勤めるようだ。
観客席を見るとアスナが座ってこちらを見ており、その姿がまるで時の皇帝のように見えてしまう。まさかあいつは、その生まれ変わりなのか? 皇帝ネロではなく皇帝アスナが再来してしまうんじゃないのか? 少し心配しながらも、今は目の前の決闘が最優先だ。
「ではこれよりユウト対ギルの決闘を始める!」
俺はその思考を跳ねのけると前に出て、以前よりもパワーアップした上に更に漆黒が深まった黒刀を出す。なんか質量も重くなったような気がするが、それに合わせて自身の筋力も上がっているのかあまり気にはならないな。
それを見ると今度はギルも前に出る。
「召喚魔法・竜槍!」
魔法陣と共に現れたのは、門で初めて会った際に持っていた装飾が美しい金色の槍だ。
「それでは......始め!」
合図と共にギルが地面を蹴って突っ込んでくる、何か地味に早いな。
「ハァ!」
そして彼の銀の槍と俺の黒刀が衝突した瞬間、腕の筋肉の軋む音が聞こえてくる。予想したよりもその威力に驚いてしまう。
「くっ!」
その威力に俺は顔を歪めながら少し後ろに後退した。
これが白竜神の加護......筋力的に今の俺と同等と考えた方がいいかもな。
「やるな、竜人族の兵士でも耐えられないのだが」
俺の様子が意外だったのか、ギルは少し目を開いて感心するよう目をしながらそう言ってくる。
「こちとら死線を潜って来たからな、そのぐらいなら余裕だよ」
俺の場合はダンジョンだからな、このぐらい耐えれないなら死んでいるだろう。
「やはりあちらの彼女ではなく、お前と決闘するのが正解だったな」
「? どういうことだ?」
ギルがアスナの方を見ながらそう言ったので、俺は気になって尋ねたその瞬間、俺の全身を寒気が走るのを感じ取る。
「お前なら本気を出しても気にならないからだ」
俺は彼の体全体に魔力の流れが急速に増加したのを感じ取ったので、すぐに警戒するように黒刀を構えることにした。
「竜装化!」
だかそれは攻撃ではないようだ。なぜならその言った彼の腕や足といった場所が、徐々に金色の鱗によって覆われ始めたのだ。
「加護を貰ってからこれを使うのはお前が初めてだ」
今の彼の姿はまるでルナGXのようなであるが、生憎俺の好みはエスカドラだ。
それでも一緒に一狩り行こうぜ! モンハン!
言い終えると彼は俺の宣伝を無視し、背中から新たに生えた銀色の翼で空中に飛び上がるとこちらを見下ろす体勢に入る。
どうやら俺に空中での攻撃スキルがないと思っているようだ。
てかまだ昼過ぎだから、かなり太陽が眩しい。一瞬太陽拳を使っていると勘違いしてしまったぞ。
仕方ないが彼には地上戦に付き合ってもらうか、俺はそう思うと同時に黒刀に力を溜めると次第にその黒い何かを纏い始める。
「黒影波!」
俺はそれを空中にいる彼に向かってかなりの速度で飛ばすと、それはすぐに黒い一筋の波のような形になった。
これはパワーアップした新黒刀に新たに備わった力で、黒い斬撃の波が遠距離の敵を襲うというものである。見た目としては、あの『月牙天衝!!』と同じ感じなのでついそれを言いそうになってしまうな。
そんな月牙天衝ではない黒影波は、ギルに襲い掛かろうとする。
「クソッ! 遠距離もできるのか!」
案の定ギルは、まさかの攻撃方法に自分の目を疑うかのように驚く表情をすると、槍で弾いた後諦めたのか地上に降りて来てくれたのだ。
「得意の空中戦もお手上げだがどうするんだ?」
そのお礼として俺は、軽くチンピラのように煽ってあげることにしたのだが......。
「普通の竜人族は、この形態の時は空中戦が得意とする......」
するとギルの槍が今以上に金色に輝き始めたので、俺は再度この後の展開に気を付けようと思い彼を見ると、
「だが生憎、俺は地上戦が得意なんだ」
その瞬間俺の目の前からギルが消えて後ろから気配の流れのようなもの感じ取ったので、瞬時にそれに対応するために黒刀を構える。
「遅いっ!」
案の定瞬時に俺の後ろに現れるが、先ほど気配を感じていた、それと親切心からなのか彼の声が出してくれたので、すぐにそれに対応するかのようしてその攻撃を対処することができた。
そして俺の黒刀とギルの槍が衝突した瞬間、その場を黒と金の閃光が走る。
「うおっ!」
「くっ!」
先ほど以上の威力に俺とギルは同時に後ろに吹き飛ばされたが、すぐに起き上がると同時にそれぞれの武器を構える。
「まさかあのスピードについて来るとは......」
自分の最高速度だったのか、先ほどより驚くギルに俺は言ってやる。
「生憎だが俺の方が何倍も速いよ」
「......何?」
ギルが俺のセリフを聞き、訝しげにこちらを見ているがそれを無視して黒刀を構え直す。
俺は心の中で無極剣を使うイメージをしたところ、徐々に体の中の魔力が急速に流れるのを感じ取った。どうやら今のところは、使用するスキルや魔法をイメージするだけでも勝手に発動するようだな。
一人納得する俺を尻目に、ギルは先ほどのセリフを警戒している様子でこちらを睨むかのように観察している。
なので先ほどのギルよりもさらに速く走りこみ、黒刀で彼のあるところを狙おうと考えた、即座に彼に接近した。
しかし流石と言うべきか、里一番だけあって俺の速さに付いてきて槍で防ごうとする。だが生憎俺は、その槍を破壊するつもりで黒刀に力を加える、といったキリト君の武器破壊のモノマネをしてみることしていたのだ。
「バキンッ!」
俺とギルの武器が再度衝突した瞬間、武器破壊は成功したのかそんな音と共にギルの槍が先端から見事に折れ、空中を舞い光を反射しながらそれは地面に突き刺さった。
「そこまで!」
カルロスさんがこれ以上の勝負は無駄と考えたようだ。
俺は拳を天を貫くつもりで勢いよく上げる。
「この決闘の勝者......ユウト!」
そして俺の勝利が決まったのだった。




