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凶神

「たしかに君の方がよく知っておるな」


 オーブリーがそう言ってオズウェルに話の先を任せたようだが、リーダーである彼の方が詳しいように思える。だがそう判断したってことには何か理由があるだろうし、大人しく訊いてみるか。


「それでなぜ本人じゃないんだ?」


 俺は視線とオーブリーからオズウェルに移すとすぐにそのことについて尋ねた。


「それはそいつの戦い方じゃないからだ」


「戦い方ってどういうことだ?」


 戦いといえば攻撃するか防御するかの二択しかないと思うが、この世界だとそれ以外に何かあるのか?


 そんな俺の疑問にオズウェルは一度考える仕草をすると、


「そうだな、簡単に言うとそいつは直に攻めるのではなく、考えるのが得意なんだ」


 ......よく分からん。


 俺とオズウェルの会話を聞いていたアスナが口を開く。


「つまりその者は盤上を見て、戦力をどう動かすかを考える策士ということ考えでよろしいでしょうか?」


「あぁそういう感じだ」


 盤上ってチェスでもやんのかよ......てかチェスやり方知らん、将棋しか知らん。そのせいでさらに分からなくなったんだが......。


「もっと俺でも分かるくらいの内容で教えてくれ」


 サルでも分かるくらいでオナシャス! もしこれでわかったら俺はサルになってしまうが、もとより人はサルの進化形態である。なのでなんら恥ずかしいことではない!


「わかりやすく言うと、その者はアタッカーではなく指揮を得意とするということです」


 あ~つまり神谷教の教祖である神谷みたいな奴という認識でいいのかな? これで俺はサル決定! ウッキキ~!


「なるほどな、一応分かった。ありがとう」


 そうしてオズウェルに目線で、もう大丈夫だと送ったのだが、何故彼は俺の目を覗き込むかのようにこちらを見ると、


「ユウトの元いた世界に魔族がいると仮定するなら、どのような神を信仰していると考える?」


 おい、いきなり内容がぶっ飛んだぞ、ほんとどんだけ~!


「すまん。もっと分かり易く言ってくれ」


「魔族=神はなんだということだ」


 ゲームに出てくる魔族で考えると、やっぱその種族名の頭を取るわな。


「そうだなあ。俺のいた世界じゃ邪神も考えなくもないが......やっぱ一番は魔神だな」


 そんな単純な連想から思いついた俺の返答にオズウェルは満足そうに頷く。


「たしかにそうだ。誰しもがそう考える......だが」


 なんだ? そう思ったのも束の間だった......すぐに彼は、


「この世界では邪神である俺しかいないことを不思議に思わないか?」

 

 たしかにそう思わなくもないが、これは地球での認識だし、それがこの世界でも当てはまる訳じゃないしな。だからなんら普通のことだと思うが、彼はそれに疑問を持っているような気がするな......だが、


「まあそう言われるとそんな感じもしなくもないが、結局のところ魔族は邪神であるオズウェルを信仰してるんだろ?」


 俺の言う通り現実はそれなのである。


 そんな返事を聞くとオズウェルは納得するかのように頷くようにしていたが、、


「そうだ......今はな」


「今はってどういうことだ?」


 彼の言い方だと、まるで昔は魔神がいたような言い草だな。


「もともとかつては魔族は三体の神を信仰していたんだ」


 三体ってことはオズウェルの他にあと二体存在するってことか、そしてその一人が魔神っていう認識でいいだろうな。だが、だからこそ気になるのだ。


「でもお前しか信仰されてないじゃないか。他の二体はどうしたんだ?」


 この場には彼以外にその特徴に当てはまる人物達がいないのは明白である。


 すると彼は顔を少し下げると、


「......殺された」


 ぼそぼそ声でまったく聞き取れないぞ。てかその面を上げて目を見てしっかりはきはきと言いなさい! とは言わずに、


「すまんがもっと大きい声で言ってくれないか」


 この時先ほどのオーブリーの気持ちが分かってしまったんだが......すると星に願いが通じたのか、今度はしっかりと顔を上げてオズウェルはこう言ったのだ。


「殺されたんだ」


 力強い目で見られてたので俺は少々怯みながらも、


「そ、そうか。で、殺されたって誰に?」


 彼は言いにくそうにしながら、


「......俺の弟であったその者に、俺の兄である魔神が殺されたんだ」


 いきなりのカミングアウトに驚いてしまう。


 日本でいうところの尊属殺人だな。


 俺がそんな風に考えているとオズウェルが再度口を開く。


「昔話をしよう......」


 そう言って語り始めた。






 あるところに三人の兄弟がいた。彼らは魔族の信仰対象として崇拝されていたのだ。

 

 それが兄と次男にとっては当たり前だった、なぜならそれが彼らの役割だからな。


 ......しかしそれをよく思わない者がいた。


 それは一番下の弟だ。

 

 彼はいつからか下界、つまりはユウト達のいるこの世界を見てつまらなそうにしていたんだ。

 

 ある時、次男は気になってその弟に聞いたみたのだ。


 なんでつまらなそうな顔をしているんだ、という感じでだ。案の定その弟は、意味の分からないこと口にする。


『こんな退屈な世界は見てても面白くない』


 それを偶然耳にした兄に怒られたんだが、その弟には聞こえていなかったのだろう。


 だから奴は禁忌を犯した......禁忌の内容は兄殺し。


 そしてそのまま神としての力を失った奴は、下界に落とされたはずだった。


 なんの因果が知らないが、奴は神の力を完全には失っていなかったのだ。


 そして奴はそのまま殺戮を繰り返し、三種族を壊滅に追いやった。


 すぐにこの世界の守り神達に、奴は捕われそうになったがその場で姿を消してしまったんだ。

 

 その後の消息はあまり掴めなった。

 

 しかし最近、奴の者と思われる手先が頻繁に目撃されるようになってきたんだ。


 そこで神々はその者達を捕らえようとしてあることを考える。


 自分達の代わりにその者達を捕らえてもらおう、と......。





「つまりはユウトとアスナ、君達に白羽の矢が立ったということだ」


 そう言ってオズウェルは俺達を見つめてきたが、俺には一つ気になることがある。


「なんで俺達じゃなくあんた達が行かないんだ? その方が確実じゃないか」


 俺達よりも神様である彼らた赴いた方が確実だろ。てかあんたら行ってくれ、俺はあまり動きたくないのだ。半分冗談半分本気でそう言ったのだが、


「あぁ、いい質問だ」


 その質問が来ることが理解していたかのようにそう言うと、


「神である俺達は、下界には干渉してはいけないという決まりがあるんだ」


「決まり? 何だそれ?」


 神様にも法律とか存在すんのか? だが決まりは破るためにあるもんだろ? だから破っちまえよ......誰にも言わないからさ(悪魔)。


「俺達の社長であるお方が定めたのものだ」


 また役職増えてんじゃねえかよ......次はなんだ、会長でも来んのかよ......これフラグじゃないよな? なんか心配になってきたぞ。


 俺はその社長と呼ばれる人物のことが気になったので、オズウェル訊いてみることにしたのだが、


「社長ってのは何なんだ?」


「時期に会えるんじゃないのか......多分」


 彼は頭を捻りながらそう言いつつも、最後はボソッとそれを言い加えた。


 回答が曖昧じゃねえか、確信持って答えろよ......てか会社っていうのは説明責任を果たさないといけないんだぞ。言いにくいってことは、何かやましいことでもあるのか? つまりブラックなのか? リアムは社畜確定か?


「社長の件はもういい。それで干渉したらどうなんだ?」


「それは禁忌を犯したも同然だ、すぐに堕落した神々として下界に落とされる」


 なるほどな、だから俺達に堕落した神々の対処を任せるのか。


 そういえば、まだ聞いていないことがあったな。


「ところでその者の名前って何て言うんだ?」


 そこでオズウェルは一度深呼吸をする。


「その者の名は......オスカー」


 その時の彼の声は少し悲しそうに聞こえたがすぐに、


「かつて禁忌を犯し、堕落した神々になる前は、魔族の信仰の三本柱の一人だった......」


 その感情を飲み込むかのように淡々と話していたが、


「凶神だ」


 最後に彼の忌々しそうにそう言った。

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