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大切な人


 ルイ師匠と過ごした日々を、まるで昨日のようことのように思い出した。


ーーあなたはその人のことを信じれるの?


 ......あの人って?


ーーあなたを召喚した男、竜胆悠斗よ。


 彼は、何というか......。


ーー似ているんでしょ、あなたの師匠に。


 ......えぇ。


ーーそれで彼のこと、信じれるの? あなたは。


 それは......。


ーーまた裏切られてしまうと思っているんでしょ。


 そんなことは......。


ーー現にあなたは裏切られてしまったじゃない、信頼していた仲間達に。


 ......。


ーー最後に再度聞くわ、あなたは彼のことを信じることができるの?


 分からない......でも。


ーーでも?


 ユウト様は命がけで守ってくれた......あの時のルイ師匠のように。

 

 たしかに初めてユウト様を見たときは、どこか頼りなそうで寂しそうな顔をしていた。


 多分私も同じような顔をしていたんだと思う......仲間に裏切られた顔を。


 案の定彼は、付き合っていた女性とクラスメイト達に囮にされ、ここまで落ちてきたと言っていた。


 今でもなぜそういう気持ちになったか分からない......でも何か感じ取ったからだと思う。


 だから私は、彼に付いて行くことに決めた。

 

 そしてあの戦闘の時、彼が私を守って死にかけた時、私は急に怖くなってしまった。


 ルイ師匠のときのように......サラのときのように。


 私は理解した......この人はもう私にとって大切な人なんだって。


ーーそれで、彼のこと好きなの?


 まだ私には分からない......でも、もう失いたくないと思った。あの時のように......。


ーーそれであなたは何をしたいの?


 私の、したいこと......。


ーーえぇそうよ。あなたはここで、これから先の『道』を決めないといけないの。


 ? その道っていうのは何?


ーーあなたの師匠が、掲げていた信条は分かるわね?


 えぇ分かるわ。だから今、私はここにいる。


ーー......『道』とは、信条のこと。彼はそれを頑なに信じていた、それは間違っているかもしれない、だけど本人はそれが正しいと思い、あなたを守った。誰かの意見に作用されない、自分だけがその重要性を知っていればいい。それが、『道』というものよ。


......私の道。


ーーそうよ、あなたの道。これからの戦いにおいて、それが戦況を作用すると言っても過言ではないわ。


......私はもう、失いたくない。


ーーでは、誰を?


 私の大切な人......ユウト様を。


ーー......では、最後にもう一度訊くわ......あなたの『道』は、何?


 私の道、それはーーーーーー。


ーそう......ならそれをがんばりなさい、私は応援するから。


 ありがとう......ところで、どこかで会ったことないかしら?


ー......多分、気のせいよ。


 そう......分かった。


ー出口はあっち、やるからにはしっかり守りなさいよ。


 えぇ分かってるわ......それじゃあ。



 



 私が出口に向かって歩いてく最中、後ろの方からある人物の声が聞こえた。


「アスナ......あなたは、私の代わりに精一杯生きてね」


 その声の主に気が付き、振り返る前に目の前が光に包まれる。



 気が付くと私は試練の部屋に横になっていた。

 

 先程大切な人に会ったような気がするがよく思い出せない。

 

 でも......。


「おー、アスナ起きたか。少し遅かったな」


「なんだユウト様......起きてしまったのですか」


 私の起きてからの開口一番を聞いた彼は、


「おい! なんで割と深刻な顔して言ってんだよ!」


「すみません。本音は隠すタイプではないので」


「あぁ、そう、もういい。質問した俺が馬鹿だった」


 そう言って彼は、部屋の隅の方にトボトボと歩いて行く。



 もう大切な人を失いたくない。


 だから私は......。







ーーーユウト様を支える......これから先ずっとーーー



 私は決意を新たにして、手始めに部屋の隅にいる彼の機嫌を取りに行くことにした。

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