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妖刀ムラマサ

「おい! 起きろアスナ!」


 その時.......。


「ふぁ~なんですか? ルイ師匠、こんな朝早くから」


 もし、仮に、あんなことになると分かっていれば......、


「おかしなモンスターが出た! すぐに出発するぞ!」


 私は、ルイ師匠を止めていただろう......。


「ちょっと! 寝起きだから待ってください!」


 命を懸けてでも......。





「それでそのモンスターってどんな見た目なんですか?」


「村人が言うには人型のようなモンスターだったらしい」


 私とルイ師匠は走りながら、そのモンスターについて考察していた。周りは鬱蒼とした林で、あまり周囲にその特徴に当てはまりそうなモンスターを見ることができない。


「そんなモンスター聞いたことありませんよ? 見間違えじゃないんですか?」


「......俺もその線で考えているんだが......」


人型のモンスターなんてものこの世界に来て、一度も見たことがないからだ。その意見にルイ師匠も同意見のようだったのだが、彼は腰の差しているあの刀をさすりながら、


「こいつがなんか訴えてくるんだよ」


「なんで妖刀なんて持ってきてるんですか!? それ犬なんかじゃないんですよ! 加えてここ掘れワンワンなんて言いませんよ!」


「後半は何を言っているか分からないが......気が付いたら腰に差さっていたんだ」


 妖刀のことをまるで自分の飼っている犬がなにかあるぞ、といった感じで訴えかけているかのような風に言ったので、つい昔話を思い出してツッコんでしまったが、ルイ師匠はそれに対し訝し気しているだけだった。


 すると突然ルイ師匠が立ち止まったので、私もそれに合わせるかのように立ち止まる。


「......なんか近づいてくるな。それにかなりの速さだ。多分後一分ぐらいで来るぞ」


「私は何も感じないのですが......」


 私にもそれなりに魔力探知はできるほうなのだが、何故かルイ師匠のように感じ取ることができないのだ。


「妖刀さんのお告げだ。従った方がいい」


 ルイ師匠は妖刀をポンポンと叩きながらそう言い聞かせるかのように言っている。どうやら彼自身ではなく、妖刀からそれを感じ取っているのだろう。


「はぁー、分かりました」


 仕方がないのでその指示の従うことにしたのだ。そしてルイ師匠の言う通り約一分ほどが経過した頃に、そのモンスターは林の中からその姿を現した。


「なんですか? あれ......」


「分からんが、ただ言えることは......かなり手強いぞ」


 私達の前に現れたその人型のモンスターは、若い男性のような見た目をしているように見えるのだが、何故か人ではないと直感で分かったのだ。


 私達が剣を召喚する前に、突然その人型のモンスターが口を開く。


「なんだ......人間か」


 あり得ないことだ。

 

 通常モンスターは発音器官が退化しており会話することができない。加えて会話するには知能を持っていなければならず、通常のモンスターはそもそも知能なんてもの持たず本能だけで襲ってくるのだ。



「ルイ師匠! このモンスター知能持ってますよ!」


「あぁ、見ればわかる。仕方ないが撤退するから時間を稼ぐぞ」


 

 以前ある古文書に乗っていたのだが、知能を持つモンスターは最低でも古代の時代を生きていた可能性が高いそうだ。『ノーライフキング』も古代の時代を生き、『ファフニール』は神話の時代を生きていたとも書いていた。


 だからルイ師匠はその危険性に気が付き撤退を決意し、私達は剣を召喚しようとしたがその前に、


「なるほど召喚魔法を使う気か、仕方ないな」


 私達の行動を理解したかのように、そう言ってその人型のモンスターが、


「魔力消失」


 その瞬間私達は魔力が消失したのを感じ取る。


「あ、あり得ない! なんなのこの魔法は!?」


「ネタバレはなしだ。こちらも忙しい身なのでな」


 そう言って人型のモンスターは近づいて来た。


「すまんがお前には死んでもらう、だが悪く思うな。弱者が強者の糧になる、自然の摂理だ」


 意味の分からないことを言いながら近づいて 私に触れようとした瞬間奴の腕が消えた。


「なっ!?」


 驚いて奴は落ちている自分の腕を見ていた。


「弟子に触んじゃねえ。この変態野郎」


「ル、ルイ師匠!」


 どうやら剣で奴の腕を切り落としたようだ。

 

 でもどうやって? そう思ってルイ師匠の腕を見ると、


「ルイ師匠! 大丈夫なんですか!? その剣と腕!」


 ルイ師匠の腕には紫色の透明な蛇が巻き付いており、その手には妖刀が握られていたからだ。その蛇は静かながらも睨むかのように、こちらを見ている。


「どうやらこれは魔力じゃない、怨念だ。多分だが、あまり時間がない......」


 そう言っている最中もルイ師匠の額にからは大量の汗が流れている。


「すぐ戻してください! なんでそんな危険なもの抜いたんですか!?」


 私の問いかけに対して、彼はさも同然な顔をしながら、


「師匠が弟子を守るのは当然の義務だ、気にするな」


 笑いながらそう言った。


「......なるほど、妖刀持ちになったか」

 

 突然今まで事態に驚いていたはずの人型のモンスターは、何か納得するかのような独り言を呟いている。


 私は警戒しようとルイ師匠の前に立ちふさがる感じで出ようとしたのだが、


「早く摘んだ方がいい......だが、このままでは彼らが来てしまうな。仕方ない、撤退するか」

 

 それに気が付いてないそのモンスターは、忽然とその場で姿を消したのだ。

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