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 あの頃を鮮明に思い出した。


ーーそうだ、お前が薫を殺した

 

 暗闇から声がする。


ーーあの苦しみを知っていた上で薫を見捨てたんだ。


 そんなこと分かってる......だが......。


ーーその矛先がこちらを向くのが怖かった、違うか?


 何も言い返せない......真実だから。


ーーまあたしかにお前は頑張ったよ。あの後薫の死を乗り越えた、でも転校しちまったけどな。薫のことを思い出すから。

 

 あぁ......そうだ。


ーーそうして彼女との最後の約束も切り捨てたもんな......自分のせいで薫が死んだから。


 ......。


ーーそうして転校先の学校で正人と雪を助けたお前は三人仲良しになった......そうだろ?


 ......あぁ。


ーーその後同じところに進学して雪とも付き合えてハッピーエンド、めでたしめでたし。


 ......何が言いたいんだ。


ーー......お前のせいで幸せにならなかった人のこと、忘れてるんじゃないのか?


 ......。


ーーあの時、少しでもいいから薫に何か一言でも言っていたら、何か変わったんじゃないのか?


 この世にもしもなんて仮定は存在しねえ。


ーーまったくその通りだ。だから人は一生懸命に生きる、大切なものを失いたくないからな。


 だが俺は......。


ーーそう裏切られた。大切な人に。どんな気持ちだった? 裏切られたとき。


 ......憎かった......殺したかった! ......そして1、絶望したんだ。


ーー......だが本心では?


 俺は......俺は......悲しかったんだ! 寂しかったんだよ! なんで俺だけなんだ! ってそう思った。


ーーそれが......あの時の薫の気持ちなんじゃないのか?


 あぁ......まったくその通りだ......今更になってようやく気が付いたよ。


ーーそれじゃあ今お前がすべきことは、何だ?


 ? それは、強いにーー。


ーー馬鹿かお前は、俺が言いたいのはお前が! すべきことだ、いつまでも薫に縋るんじゃねえ。


 俺が、すべきこと?


ーーあぁそうだ。おまえは裏切られた、その上でお前は何がしたいんだ?


 俺がしたいこと......。


ーーあぁよく考えるんだ。これは今後のお前にとっての『道』になるんだからな。


 ......その道って何だ?


ーー薫の信条は分かっているだろ?


 あぁ、分かるよ。


ーー......誰かに否定されても、それが間違いだと言われたとしても、それだけは真実であると、自分の中での確固たる真実である、そう考えるもの。それが、『道』だ。


 ......俺の道。


ーーそうだ、お前の道だ。これから先の戦いにはそれが必要なんだ、そのための試練なんだ。


 ......俺は、守りたいんだ。


ーーそうだ。なら誰を守りたいんだ?


 誰かじゃない。この世にある理不尽に.......絶望している人達全員をだ。


ーーそれを前提として考えるんだ。お前のすべきことを。


 ......そうだ、俺のすべきことはこれだったんだ。


ーー......それで、お前の『道』は何だ?


 俺の道、それはーーーーーー。


ーーふーん、まあいいんじゃねえか。自分で決めたことなんだし、俺は応援するぜ。


 なんか今まで辛辣なこと言って奴に、急にそんなこと言われるのは、なんか複雑だな......。


ーー馬鹿かお前は、俺はお前のことを思って言ってやったんだぞ。


 そ、そうなのか。とにかく礼を言うよ、ありがとう。


ーーそうそう俺に感謝しなさい。


 言わせておけば......ところでお前は誰なんだ? なんか懐かしい気がするんだが。


ーーあーそれを聞いたらお前は元の世界に戻れなくなるがそれでもいいなら言うけど?


 いや、それは困る。ここで戻れなかったら俺のすべきことができなくなる。


ーーなら聞かないことだ。それと出口はあっちだ。もう自分を見失うなよ。


 あぁ、ありがとう。それじゃあ。


 

 


 



 俺は思い出した......口調も声も、あの頃と変わっている......だが雰囲気だけは、あの頃のままで......そうか、この暗闇は。


「なあ、お前まさかーー」


「ありがとう悠斗。僕のことを思い出して、そして自分の道を見つけてくれて」



 一瞬見えた薫の表情は、嬉しそうに涙を流していた。


 



 気が付くと俺は試練をしていた部屋にいた。

 

 先ほど誰か大事な人に会った気がしたのだが、よく思い出せない。

 

だが一つだけ決めたことがある。


 それは......。



  





ーーーこの世に絶望している人を、救うことだーーー


 

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