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別れと変化

  

 彼ーーノーライフキングの話を聞いた俺達は、すぐに次の階層に出発するために準備をし始めている。その間俺は、彼から教えてもらった情報を頭の中で整理しながらこの後のことを計画していた。


 なんか出会ったばかりでそれなりに彼とも仲良くなれたのだが、もう別れてしまうので地味に寂しい......これがホームシックというやつなのか。


 そんなことを考ていると、俺とアスナの旅立ちの日ではなく時間がやって来た。


 なんか小学校の卒業式を思い出してなんか涙が、ではなく笑いが込み上げてしまった。仕方ないんだ、あれは俺史における学校の七不思議の一つなんだから。そんな中必ず一人はいるよな、泣き出す奴が......特に女子生徒......それをからかう男子生徒......そんな彼を叱る教師......まったく場が台無しじゃないか......と思いながらその流れを見て一人笑う俺......それを見て他の女子生徒がコソコソしている......それに気づいて豆腐が少し崩れてしまう俺。


 言いたいことのは過ちは一度まで、ということだ。なので今回は笑わないよう気を付け、彼に再度礼を言うことにする。


「何から何までありがとう。えっとその......ノーライフキングさん?」


 よく考えたら名前教えてもらってないよな。俺の言いたいこと気が付いたのか彼は、少しハッとして様子だった。


「あぁそういえばまだ名乗ってなかったな......私の名はセスだ。君達とはまた会えるような気がするよ」


 セスは微笑みながらそう言って手を差し出してきたので、俺とアスナはそれに交互に応える。


 この世界に来て数人目の顔見知りができた気分で、なんかいいもんだな。こういう気持ちを味わうのも。


 たった今彼が教えてくれた名前を、俺はかみしめるようにして、


「セスって言うのか......とにかくありがとうセス! またな!」


 俺はいい雰囲気を醸し出しすことに成功したのだ、このままの雰囲気でハグしてバイバイキーン! と言おうとしたのだが......。


「先生ありがとうございました! お元気で!」


 アスナのその一言で崩れちまったじゃねえか! 先生って何だよ、その設定は、結果はっぴょおおおおお!! の時だけだし、これにはさすがのセスも引くだろ、そう思って彼の反応を見てみると、


「うんうん、教え子の旅立ちに立ち会えるというものはいいものだな」


 アスナに言葉に応えるかのよう鼻を鳴らしながらそう言う。


 なんか地味に涙出てないか? たしかミイラっていう設定だよな、それに顔もミイラだし。水分ねえだろ、どこから水分来てんだよ。てか教え子って何だよ、会って数時間しか経ってないぞ。それを言っていいのは何年か同じ教室で過ごした先生が言っていいセリフだからな。


 俺は一連の流れを呆れるかのように見ていると、セスは涙を流し終えたのか再度顔を引き締める。


 どうやらやっとまともな別れができるようだな、そう思っていたが、


「とにかく二人ともさらばだ! 何かあったらまた教室に来るように!」


 全然引き締まってねえじゃあねえか! アスナを見ると涙目になりながらも彼の言葉に頷いている。


 まともなのが俺しかいないという現実......ここでも俺の存在は浮いてしまっているようだ。


 先生セスのその言葉に応えるかのように手を振りながら、生徒である俺達は800階層のボスである彼と別れるのであった。





 セスと別れて数時間が経った頃、俺達は歩いている。ダンジョンの内部は、800階層以前とは違ってなんか神秘的な雰囲気を醸し出しているかのように見える。地面と見ると石板ではなく黒い光沢を放つ石のような、例えで挙げるならば黒曜石のような感じだ。

 

 それには納得できた。出発する前にセスが、ここ以降の階層は今までの階層とはいろいろ変化していると言っていたからだ。しかし以前までは同じだったのに、何故かこの階層に入ってからなんかおかしい点に気が付いてしまったのだ。


「......なあ」


「なんですか?」


「さっきから気になっているんだが......なんでお前そんなに引っ付いて歩いているんだ?」


 俺が言うようにアスナとの距離が近い! 以前は物理的・精神的に距離があったのに、今は物理的に近く、精神的に遠くなっているのだ......えっ? 遠くなってる?


「気のせいですよ。老眼が進んだんじゃないですか」


「それはおかしいぞ。そもそも年齢はお前のほーー」


 言いかける前に足を踏まれた。

 

「痛った! お前今本気で踏んだろ! 体力2000も減ったぞ!」

 

 一瞬隕石が落ちたっと思ったほどの威力だ。よく見ると、俺の足の周辺の地面が陥没してるんのがいい証拠である。


 すでに人外になった俺でこのダメージだ、つまり一般人なら即アウト! それなりの実力者ならギリアウト! って結局全員アウトのゲームセットじゃねえか......。それにしても、なろうで『足だけで人類滅亡してしまった件』みたいなタイトルがあったような気がするのだが、気のせいだろうか? 『*ボケ進行中』


 しかしアスナは、そんな俺の言葉など何処吹く風と思っているのか、すまし顔をしている。


「女性に年齢の話をしたらいけないなんてことは小学生でも知ってますよ。知らないんですか?」


「開き直るなよ......てか小学の頃の俺は女性の先生にじゃんじゃん聞いてたぞ、そんな常識俺は知らん」

 

 俺は気になるものは実際に調べる好奇心旺盛な小学生だったのだ。


 それに豆しばと並んでいていてもあまり不自然じゃないほどの可愛さだった。過去形である理由はすべて時のせいだ。だから選ばれたのは『綾鷹』なのだ......お茶に負ける俺、ある意味凄い。

 

 つまり俺が言いたいことは、かわいいやつは何をしても許される、この世の真理であるということだ(現実逃避)。

 

 俺の言い分に、なるほどと言って理解したのかアスナは再度口を開いたのだが、


「どうやらユウト様はジャングル生まれで人間社会の常識が今もなお付いていないのですね」


「ちげぇよ! なんでそうなるんだよ! よく聞け! 俺は生まれは横浜、育ちは四対六の割合で前が横浜、後ろが東京。純粋なシティーボーイだ!」


 都会で暮らし、都会で育ったように演出するために『こなれ感』がとても大事なのである。だからフード付きのスウェットや白T、ローテクスニーカー果てはメガネを掛けたりしたものだ。気になる髪型はアップバングである......これをしている時点ですでにジャングル育ち確定じゃねえか。


 ファッションデザイナーYUTOの意見を無視してアスナが更に追い打ちをかける。


「説明が細かいですね。細かい男性はモテませんよ? それにコンクリートジャングルともいいますし」


 どうやらジャングルはジャングルでも自然系ではなく人工物系のようだな。てかジャングルから離れろよ......俺はジャングル大帝でもターザンでもないんだからな。「心配ないさ~!」それはダンボールの方だな。


 それにアスナのセリフの中に問題発言があるのを俺は見逃さなかった。


「モテなくてもいい。俺の決心は揺るがん! ......ていうか何の話してたんだっけ?」


 こいつと話すと話が拗れて訳が分からなくなる。あまりにねじれすぎて数学のねじれの位置を思い出してしまった。初めてそれを聞いた時に感想は、なんでデェアブロスの素材が出てくんだ? と思ったからな。てかにあれって頭ばっか攻撃しないと角が手に入らんからマジで大変だったわ。ちなみに2G出身です。他にもーー。


「ユウト様の記憶障害についてですね。今も発症していますし」


 俺が心の中で一人語りを更に続けようとしていうと、アスナが俺の診断書を突き付けてきた。それに記憶障害ってたしかアルツハイマー型認知症の最初に出てくる症状だろ......あれ? なら俺の老眼説がかなり信憑性を増してきたような気が......。


「いや絶対違うだ......やっぱもうそれでいいや」


 このまま言い合いを続けてしまうとアスナが、「やっぱり自覚がないようですね、これが認知症の始まりなのです。それと免許返納しておいた方がいいですよ」とか言ってくる絶対! なので俺は肩を落として診断書を受けるとことにしたのだ。


「フー、よかった、ばれなくて......」


 俺の返事を聞いてアスナはそんなことを呟いたような気がしたが、豆腐が崩れて力が出なかった俺には聞こえなかった。



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