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強敵?

 

 ユキが眠りから覚め、決意したのと同時刻、ユウトとアスナはダンジョンの約800階層に迫ろうとしていた。




「アスナ! まだ腰は治らないのか!?」


「......すみません。まだ無理です」


 今俺は、アスナを背負いながらあるものから逃げている。そこまで重くはないのであまり気にはならないが......なんかほら、あれでしょ。設置面積が多いとなんかね。


 そんな馬鹿なことを考えていると、背負っているアスナが俺のバンバン叩いてくる。


 痛たい! あんまし強く叩くな! 俺はマゾじゃねからそんなんじゃ喜ばん!


 サディストの疑いのある女王アスナ様はそんな俺を無視してご命令なさる。


「あっ! ユウト様来ましたよ! 早く走ってください!」


「バカッお前! これが最大速度だ! そもそもお前が腰をーー」


「いいから早く!」


 涙ながらにそう女王様があぁこの設定メンドイ! アスナが俺に訴えかけてくるが、


「てかお前モンスターは大丈夫なのになんで幽霊はだめなの!?」


 俺が言うように現在俺達は幽霊、この世界でいうところのレイスに追われている。


「仕方ないじゃないですか! 地球にいた頃から怖かったんですから!」


 俺は溜息を吐いてこの状況に至るまでことを思い出した。





 俺とアスナが出会ってはや一ヶ月が経とうとしていた。


 現在俺達は順調にボス部屋のある800階層に迫ろうとしているのだが、これも全部アスナのおかげと言ってもいいだろう。


 しかし初めの頃は大変だったものだ。ほら、俺って闇系統の魔法以外が使えなかったから誰にも教えてもらわなかっただろ。だからそういう指導っていうのかは知らんが、それに慣れるまでホント苦労したからだ。


 初めの訓練は、一日だけ自分の力だけで生き残れというものであった。これが『獅子は我が子を千尋の谷に落として殺す』というものだろう、その通り何度か死にかけたからなマジで。普通にキマイラよりも強いモンスターがわんさか湧き出すかのようにいたし、それが俺に気が付いて時のその勢いは凄まじかったものだ。だがそんな絶体絶命のような状況を潜り抜け、俺は生き残ることができたのだ......影牢に包まる形で。


 その様子をアスナはあり得ないものを見るかのような目をしていた。まあ傍から見れば、なんかガンツの黒い球があるぞと思われるかもしれないからな、つまり俺死亡説が浮上したというわけだ。そんな俺をまるでネギ星人のように見ていたアスナにその理由を聞いてみると、俺が使用しているスキルは今まで見たことないからだそうだ。加えて、「それは本来の使用法ではないのでは?」とも言っていたな。だが俺の使用法は知らないのだが、それによく言うじゃん、『想像は無限大』ってさ、だから俺はこれに則って影牢を使用していたのだ。それと俺は「ネギ、ネギあげます」とか言ったりしねえから。


 そんなネギ掃討作戦ではなく、俺とモンスター達とのバトルロワイアル訓練が終わるとそのまま実戦訓練、つまりダンジョン攻略に移ることになる。流石のアスナでも一人では厳しいので、足りない部分を俺が補っていく形で実戦での経験値を積むことができるのだ。そのスタイルがよかったのか、すごい勢いで各階層を踏破していき、現在に至るってわけだ。途中は割愛でオナシャス!


 このあり得ないスピードはアスナがチームを組んでいた時の倍以上のスピードだそうだ。つまりアスナ以外のチームメンバーよりも俺の方が強いという風に考えられる。はいはい分かってますよ、ちゃんと自重を知らないと神々の使徒になってしまうんだよな、なろうで経験済みだ。


 前述の通り約一ヶ月ぐらいの間に起こったことと考えたことのすべてだな。


 説明はこれまでとして現状を再認識しないといけないのだ。


「なあアスナ」


「なんですかユウト様?」


 俺は並んで歩くアスナに先ほどから思っている疑問をぶつけようと思った。


「さっきからずっと気になっているんだが、ここってダンジョンだよな?」


「当たり前じゃないですか。とうとうおかしくなったのですか?」


 おい、こいつ今真顔で言いやがったぞ。


「おかしくねえよ! てかだいたい俺ってお前の主だよな!? 敬うべき対象じゃねえのかよ! ちげぇの!?」


「いやいや、どこをどう見ても敬うところが見当たりませんが、何かあるんですか」


 手でブンブンと否定され逆に聞き返されて詰まる俺......そこまで否定しなくてもいいじゃんか!


 とにかく何か考えねば!


「え、えっとそうだなあ~......あっ! いつも元気! ......かな?」


「それっていつもうるさいという認識でいいですか?」


 こいつと口喧嘩しても勝てる気がしないんだが......あれ? よく考えたら腕っぷしでも勝てたことがない。そもそも主従関係って普通主が強いよな? なんで従者が強いんだ? なんかおかしくね?


 つまりこれが主従パラドックスというわけなのか。だから俺は主であるが弱く、アスナは従者であるが強いという考えでいい......のかホントに? なんか頭がパンデミック! そもそも俺って何でミック! アスナはマジでストロング! そして俺のーー。


「ユウト様聞いていますか?」


「えっ? 何でミック?」


 俺の脳内がパラドックスでパンデミックされてしまいラッパーYUTOになっている間に何かあったのだろうか? そう思って訊き返したのだが、


「やはり様子と口調もおかしいですね。少し魔眼で診察するのでじっとしていてください」


 ラッパーしている間に大事になってしまったんだが。


「大事にすんじゃねえ。ただ考えラッパーをしてただけだ」


「本当ですか?」


 アスナがまるで容疑者を見るような目つきでこちらを見てきたので、尋問を受ける容疑者の気分を理解できてしまった。


「主を疑うんじゃねえ。てかだいぶ話が逸れたな」


「大半がユウト様のせいですけどね」


 このままだと無限ループのインフィニティスパイラルに陥りそうだすでに陥っていた。


「話を戻すぞ。ここはダンジョン。さっきまでの階層にはモンスターがいた。しかしこの階層にはモンスターが見当たらない。Do you understand?(理解しましたか?)」


「Yes,I do.(はい、分かりました。)」


 俺の言っているように、この階層に入った直後からぱったりとモンスターの影も形もないのだ。


 アスナは今聞いた意見について手を顎に添えて考えるポーズを取りながら考えている。


「ん~たしかにおかしいですね。各階層には必ずモンスターが存在するはずですが......」


「あっ! もしかして見えないモンスターじゃないのか?」


 よくいるじゃないか、カメレオンみたいな敵とか......モンハンで。名前はオオナズチ、本物のカメレオンは可愛いが、奴は目と舌がオールウェイズで出ているからムリでーす。それと舌を仕舞わないと乾燥するぞい。


 そんな俺の言葉にアスナの体がぴっくと反応したので、俺はオオナズチのことには触れないように気を付けて、可能性のあるモンスターがこの場所いるのかどうか訊いてみたのだが、


「なんだ? 心当たりがあるのか? 俺まだ召喚されたばかりだからまだこの世界のことよく知らねんだよ」


「た、たしかにそのようなモンスターは存在します」


 マルフォイのように震えながらアスナがそう言ったので、

 

「そ、そのモンスターとは?」


 それに合わせるかのように俺も息を飲んで声を震わせながら訊き返す。


「そ、そのモンスターとはーー」


 言いかける前にアスナが突然腰を抜かして、尻餅をついた。地面石板だけど痛くないのか? そんなことを思いながら、俺はアスナに問いかけた。


「おい、どうしたんだ? 尻痛いそうだけど大丈夫か?」


 そんな問いかけに彼女は聞こえていないのか、俺の後ろ指さしながら震えている。


「で......」


 なんだ、デデデ大王か? ならカービィを呼べば大丈夫だろ。それにあいつ意外といい奴だしな、カービィ死んだ(仮)時泣いてたし。


「で......!」


 なんだ違うのか......なら電磁人間プラズマXかな。それにあれってダイヤモンド発掘装置みたいなものだから大丈夫だろ、てかパタリロって懐かしすぎるだろ。


 そんなことを考えながら絶対に後ろを見ないようにしていた。なんか気になるけどアスナの口から直接聞きたいだけだからな、勘違いすんなよ(冷汗)。


 そしてその時が来た。


「出たぁぁぁぁぁぁ!!」


 それに合わせて期待半分恐怖半分で俺はその正体を確認しようと振り返る。


 そこには......はっきり言います幽霊です! ジャパンじゃなくてアメリカン! あぁ! まただパンデミックが俺の脳内を侵食しようとしている......この設定はやめよう、なんか面倒くさい。

 

 つまり言いたいことは、それはジャパン的な白装束の幽霊ではなく、アメリカンな奴の方であるということだ。

 

 透明な白いシートを被って目のところに穴が開けて空中に浮遊している、アメリカ名でゴーストが俺達から少し離れたところにいるのが見えた。


「......まさか、あんなのが怖いのか?」


 『ゴーストバスターズ』で出て来るゴーストと同じ感じだぞ、つまりまったく怖くない。ワンチャンテレサに見えなくもなくて可愛いまでもある。


「そうですよ! 何か文句がありますか!?」


 アスナは涙目になりながらもそう反論していたのだが、そのゴーストが俺達に気が付いたのか、ゆらゆらとこちらに近寄ってきた。


 その光景をなんかシュールだ。ゴーストが滑らにすーといった感じで近づいて来ているので、そのまま俺達を通り過ぎるんじゃないのか? と思ってしまったほどにだ。


 まあアスナの様子からして一応モンスターと判断してよさそうだし、逃げるとするか。


「おい、ゴーストが近づいてきたぞ。いつまでも座ってないでさっさと立って逃げるぞ」


「あれはゴーストではなくレイスです! というか腰が抜けて立てないんですよ!」


 そう言うアスナを仕方がなく俺は背負ったところで初めて、レイスと呼ばれるモンスターから逃げる様に走り出したのだ。




 

 そして現在に繋がる。


「このままじゃジリ貧だ。何か倒す方法はないのか?」


 このままでは一生レイスとリアル鬼ごっこをする可能性があるからな。なら手っ取り早く奴を倒した方がいいに決まっているのだが、俺からすれば初めてのゴースト系モンスターなのでその倒し方を知らない。なので先人であるアスナの知恵を借りることにしたのだ。


「怖かったのであまり戦ったことがないんですが、たしか闇系統か光系統の攻撃で倒せるはずです」


 理由がかなりヤバイな......もし魔王がゴースト系だったらどうなっていたんだ? まあこの際魔王はどうでもいいな、とにかくレイスへの攻撃手段も知れたことだし。


 俺はアスナを壁側に座らせた後、すぐに黒刀を自身の影から出した


「あっ! レイスは麻痺攻撃を得意とするので気を付けください!」


「あぁ分かった、ありがとう」


 アスナのその一言に振り返らずに軽く礼を言うと俺は黒刀を握り直す。そして今まさにレイスが襲い掛かるようにして迫って来たと同時に、軽く魔力を纏わせた黒刀で奴を一刀両断してみる。


「あぁぁぁぁ」


 そんなゲームで聞くような声を出しながら、レイスは次第にその存在を薄めて消えていった。


 切った感覚としては雲を切ったような感じがするな『*雲に感触はありません。それを言っていいのは、幼稚園児までです』。


 なんか変な声が聞こえたが気にせいか? 俺的には雲=綿菓子っていうイメージだからな、だから今のアナウンスは俺には当てはまらないのだ。 


「なんだ、あっけなかったな」


 それはともかく俺としてはてっきり黒刀をすり抜けて攻撃してくると思っていたんだが、意外にもレイスは弱かったように感じたな、そんなことを考えながら黒刀を影に吸い込ませるように戻した。




 

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