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自己紹介1

「えぇぇぇぇぇ!!」


 俺の自己紹介を終えた後のアスナの反応は、耳のそばで大砲を打たれたように驚いた様子である......つまり俺の予想した通りだ。これなら年末ジャンボも夢じゃない、それになんか見てて気持ちのいいリアクションをしてくれて、ゴチになります!


「まあそうゆう訳だからアスナさんの方が先輩ですね」


 俺が敬語でそう言うと彼女はすぐ冷静になり真剣な顔付きになる。おー! なんかこんな凛々しい姿を見ると、やはり騎士っていう姿を髣髴させるんだな。。


「いえ、ここは地球ではありませんしましてや私は一度は死んだ身、年齢など関係ありません。なので敬語など使わずにアスナとお呼びください」


「いや、さすがにそう言われても......」


たしかにここは地球ではないからな、それが普通かもしれないが! 俺は出来立てほやほやの異世界人なんだぜ? 流石に年上と分かっていてタメ語で話すのは気が引けるのだが。


「そうですね......それでは年上の者からのお願いと思っていただければ結構です、いいですね?」


 どうやらアスナは強情なようだ。


「はい」


「敬語」


「了解!」


 しまった! ついうっかり心臓を捧げてしまったあっ違ぇわ、よく見ると心臓じゃなくて肺を捧げてたわ。でも肺を捧げても死ぬからあんま変わんねえな......なんだよ結局死ぬのかよ。

 

 まあ死ぬのを抜いてしても、俺自身内身では彼女のこと年上と見てしまう......これが日本人の精神である『目上の人を敬う』ことのか。


「まあいいでしょう」


 そんなことを悩んでいると、アスナに渋々! と言われた......なんか立場が逆転しちゃっている! 出会って間もないのに! てか死教の教祖の称号何の役にも立ってない! あっよく考えたら『かもしれない』だった! 


「そういえば主様はーー」


「ちょっと待て、その主様と言うのはやめてくれない?」


 どうやら称号の効果はあるようだがなんだよ主様って......なんかむずがゆいので訂正を要求します。


「いえ、さすがに召喚された身なのでこれが妥当かと......」


 なるほど、仕方ないな。

 

「それじゃあ、主の命令だ。その呼び方はやめてくれたまえ」


 俺はなるべく偉そうにしてアスナが使った手法で切り返してあげた。


「チッ、分かりました。ではユウト様と呼ばしていただきます」


 おい、小さく舌打ちしたかもしれないが、むっちゃ聞こえてたぞ。

 

 やはり称号の効果は皆無な上に俺の尊厳は無かったらしい。


 あぁぁ俺の尊厳ちゃんがどこかに行ってあっ! 消えてしもうた。


「もうそれでいいよ」


「それでさきほどの話の続きなのですが、なぜユウト様はお一人でこんなところにいらっしゃるのですか?」


 元気をなくした俺を気にしてないのか、アスナは俺が一番訊かれたくないことを尋ねてきた。


 そう言われて俺は、数時間前のトラウマを思い出すと同時に役者モードに入る。


「くっ!」


 胸を押さえて倒れる俺......突然の出来事に驚き駆け寄るアスナ......シチュエーションとしてはバッチグー!


「どうしたんですかいきなり!?」


 倒れた俺に膝枕をしてくれた。


 わぁー柔らかくてねむねむしそうだよぉ♪ そんなことを考えている中、アスナは魔法を使って何かしているように見える。


 まあ大方原因を探っているのだろう。


「これは......」


 神妙な顔でこちらを見つめると、


「どうやらPTSD(心的外傷後ストレス障害)のようですね」


 的確な診断内容! 名医は俺ではなくこいつだったのか!? たしかに俺は医師免許を持っていないが、ブラックジャック先生も持っていなかったからな。つまり俺も黒いブラックサンダー先生と名乗ってもいいはずだ。


 軽く宣伝を終えると俺は名医白いブラックサンダーであるアスナ先生にどのような方法で診断したのか訊いてみた。


「なんか魔法でも使ったのか?」


「これでも勇者だったので魔眼の一つくらいは持っているのです」


 そう言って紫色の瞳を見せてくれた。なんか宝石みたいで綺麗だな、それによく見ると中心に何かの模様が見えるな。これはあれだな、六芒星のように見える。


「目の中心に多分だが六芒星の模様が見えるが、これって何か意味があるのか?」


「そうですね~ある本に書いてあったのですが、魔眼はいくつかの種類があるということは理解できるますよね?」


「あぁ分かる」


 地球でもそういう設定のアニメや漫画、小説といったものでそれについて情報が発信されているからな。そのせいで俺の右目がこの世界に来てから、よく疼くようになってしまったのだ。


 呼んでいるのだ......彼らが(魔眼)。


「それでその本にはそれぞれの特性に合った模様と色がその眼に宿るそうと書いてありました」


 なるほどな、つまりすべての魔眼が同じ感じではないということか。


 それにしてもだ......なんか俺も魔眼ほしいなあ~ちなみに色は赤がいいんだけどなあ~そう思って一番知りたかったことを訊いてみたのぉ〜。


「それで、その魔眼はどう手に入れたんだ?」


「......とある魔人からもらったのです」


 悲しそうな懐かしそうな表情で言ったので、それ以上訊けなかった。


「そうか......」


 魔眼......もらえないのか、グスッ(涙)。俺も邪王真眼の使い手になりたかったのに......てか中二病でも恋をしている場合ではないな。それに気まずい雰囲気になったんだが......おい、この空気はどうすればいいんだ!?


「それで話は戻りますが、なぜこのような場所にいらっしゃるのですか?」


 再度アスナが訊いてきたので、俺は重い口を開く。


「......それはなーー」


俺はクラス単位でこの世界に召喚され、実戦でこのダンジョンに訪れたが彼女とクラスメイト達に裏切られて、キマイラさんと仲良く一緒にここまで落ちて来たという話をアスナにした。


「そうでしたか......」


 それを聞き終えたアスナは沈鬱な表情で呟いた。


 まるで自分のことのように。


「ではなぜその、彼女さんの雪さん? に、その、振られた? のに女である私と話ができるのですか?」


 彼女はすぐに申し訳なさそう顔をしながらとても聞きにくそうに疑問に思ったこと尋ねてきたのだが、「?」が多い! どこが気になるのか分かりましぇーん! とは言わない。

 

「多分なんだが、喋る分には大丈夫だと思う。でも、付き合うとかそうゆう風になると拒絶反応が出ると思う。ちなみに今......雪に会うと発狂する」

 

 具体的に言うと、椅子を持って「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」っと言って殴り掛かる感じだ、俺は山根君か、あんなゴボウヘッドしてねえからな、ほんとだぞ(必死)!


「なるほど、分かりました」


「そういうアスナはなんでこんなところにいたんだ?」


 次に逆に彼女に俺同様の質問をしてみた。


「私の場合はダンジョン攻略の最中に死んでしまったのです」


 そう言えばダニーがそのことで何か言ってたような......。


「あ! そうか。ダンジョンの最高記録はアスナだったのか」


「ええ、まあ......」


 何故か苦笑いしながらそう答える。


「でもダンジョン攻略ってチームで行くもんじゃないのか? 仲間いなかったのか?」


 しかし、アスナは俺から目を逸らした。


 まさか......。


「安心しろ......ボッチは恥ずかしいものじゃないから」


 俺が思うにボッチとは孤独ではなく孤高の存在なのではないかと思うのだ。だからなのか僕ちんのクラスの黒崎君はモテモテなんですよ。つまり群れない男はカッコいい! 時代はボッチ系男子なのだ! 『*ただしイケメンに限る』


 俺は彼女を安心させるためになるべく微笑みながらそう言ってあげた。


「ユウト様と違ってボッチではありませんよ!」


 何故か怒られた......それと俺はボッチではない! だからクラスの女子から嫌われているのだ! そのいい例が比企谷先輩あっ! 彼の場合は特に文化祭実行委員長から嫌われていたな。


 ボッチーやヒッキーのことを考えても仕方がないので、再度彼女について考え始めることにした。


 ......そういえばなんでアスナを召喚できたんだっけ?

 

 それと同時になぜ忘れていたのか、英霊召喚の制約は俺と同じような境遇にある者に限るということ。


「もしかして......仲間に裏切られたのか?」


 返事は......?


「そうなんです! 私裏切られちゃったんですよ!」


 俺は確信して聞くと案の定アスナはそう言って泣き出してしまった。

 

 俺には泣いた女性の対処法なんてもの学校じゃ習わなかったし日常生活じゃまず皆無、スキルも持っていないかった。

 

 これどうやって対応すんだよ!?

 

 今俺、ゴリラにあげるはずだった飴ちゃんしかもってないぞ! あっ、俺の体温で溶けちゃってるー!

 

 それともあれか、静かに寄り添って背中をさすってやればいいのか?......逆に怖がらせるかもしれない。

 

 会ったばかりの奴に背中を触られるんだから。


 対処法を知らない俺は、アスナが泣き止むまでひたすら地蔵モード(特技)で待っていたのだが、よく考えるとすでにお地蔵様として一部クラスの連中に崇めらていたことを思い出しまい、特技から称号(非公式)に昇格してしまったのだ......。




 

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