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自由落下

 今日、全異世界初、一世一代の決意をした男がいる。


 男がいるのはダンジョン......それも前人未踏のダンジョンである。


 加えて絶賛落下中。


 さらに同行者兼敵モンスターも落下中という子供も泣き叫ぶアンハッピーセット。


 そんな彼の状況は言うまでもなく絶望的であった。


 身体もそうだが一番は......心だった。


 彼の心は豆腐メンタルであった。皮肉なことに大好物までも豆腐! 特に挙げるならゆし豆腐。


 しかしこれは柔いとかそんなレベルではなくすでに原型を留めていないのだ。これを豆腐と呼んでもいいのか甚だ疑問である。


 そんな豆腐が大好きな彼は、このような状況に陥った理由を思い出して泣いた。


 物理的......そして精神的にだ。


 そして決意した。




ーーーー彼女はもう作らないーーーー


 







 ナレーションさんありがとう! なんかいらない情報もあったような気もするけど。


 えっと、謎の声が言った通り同行者はキマイラさんだ。先ほどは俺がのび太、キマイラさんがジャイアンという構図で人間型サッカーを楽しくプレイしていたが、今俺達は仲良くバンジーーー状態である。

 

 ただのバンジーならおもしろいと思うが、ただし命綱なしでだ。加えて誓約書も書かされた覚えもない。

 

 これって何かあった時どこに訴えればいいんだ?

 

 え? 何? これもバンジーに入るかって? チッチッチ、これはバンジーではない、これは自由落下というものだ。高校の物理基礎で習うはずだぜ。


 そんなことを考えさせられるぐらい俺は現実逃避と暇を持て余しいたので自分の手相でも見ることにしたのだ。


 今日の手相はどんな感じかなあ? ......あれ、一週間前にあったはずの生命線と吉兆線があなくなってる......。


 生命線吉兆線行方不明事件についてはノーコメント。手相はこのぐらいにしてぼけーとしていると、そういえば俺ってあの映画で有名な『フォーリング・マン』だよな。まあ俺はあのビルよりもさらに落下距離はあるし、その時彼らではなく俺は同行者であるキマイラさんを見ているのだが......キマイラさん気絶していた。


 一瞬だけ爺ちゃんの家にいる柴犬に見えたじゃねえか......てことは、あの犬やっぱモンスター説が出て来たんじゃないのか? 可愛いが時々手を噛んでくるからな。


 名医ユウトはキマイラさんの獰猛な顔から診断すると......高所恐怖症だと診断してもよろしいですね。てかキマイラと体と心の大きさがマッチしてねえな、俺なんか体と心の大きさ同じなんだからな。豆腐だけど。 

 

 それに多分落下して生き残れるのはキマイラさんだけだろう。俺はこのまま仏になって、どこか別のところにでも行くんだろうな。次の人生があるなら、貝に生まれた割りたいなあ......。

 

 そんな風に自分の人生を諦めかけていると、突然耳元で誰かが囁いた。


 ”神は言っている、ここで死ぬ運命さだめではないと......”


 瞬間的に俺は思い出した......ミカエルのことをって違う!

 

 俺には死神の加護があるということを思い出してステータスを見てみた。


名前:リンドウ ユウト

 年齢:17歳

 種族:人族

 天職:暗黒魔術師

 レベル:18

 体力:900(+3000)(+2000)

 攻撃:810(+3000)(+2000)

 防御:850(+3000)(+2000)

 俊敏:1400(+3000)(+2000)

 魔力:1300(+3000)(+2000)

 魔抗:1300(+3000)(+2000)

 知力:900(+3000)(+2000)

  運:100(+3000)(+2000)


 スキル:影牢 影針 言語理解 鑑定

 称号:異世界人 死神の加護 死教の教祖 絶望者



 さすがに驚いたがすぐに冷静になり、新しく加えられた絶望者について調べてみた


 絶望者:信じていた者から裏切られ死にかけた者が貰える。スターテスが大幅に上昇する。(同行者も可。ただし、同じような境遇でなければならない)


 うん、納得した。

 

 多分だが、直観で+3000が死神の加護、+2000が絶望者なのだと分かる。


 同行者については生き残ってから考えることにしよう。

 

 知力が上昇したおかげなのか、俺はすぐに解決の糸口が浮かんだ。

 

 まずは、


「影牢!」


 そしてなるべく魔力を使って自分自身を影で包み込んだ。なんか実際に包まれるとなんかぬくぬくして気分もよい。そう考えるとあの時、キマイラさんにしていたのは逆効果だったのではないだろうか。そんなことを考えていると数十秒後......。


「ヒュウゥゥゥゥ......ドオォォォン!!」


 耳をつんざく爆音と振動が俺を襲ったが影牢のおかげで無事だったので、俺は周囲の状況に注意を払いながら影牢を解いたのだが、すごい脱力感を覚える。これはあれだ、二日酔いみたいな感じじゃなくて二徹した時みたなだるさだ。

 

 なんとなく魔力が尽きたような感じがしたので、俺は持っていた魔力薬を飲んで回復することにした。


 元気いっぱいユウパンマン! 

 

 そして周囲を見回すと壁全体が光っていたので周囲の状況が把握し始めた。


 まず目についたのは、大量の骨だ。

 

 小さいものから多きものはキマイラよりも大きいものまであるように見えし、もしこんなモンスターが世に放たれたら一貫の終わりだな。


 あっ! キマイラのこと忘れてた。

 

 そう思い周囲を見回すと落下のおかげなのか、瀕死のキマイラが倒れていたいるので俺は、まるで捨て犬を拾うとする健全な高校生の役を演じながらキマイラに近づいて、すぐに影針を使い無数の黒い針を出して、キマイラを串刺しにして殺す。


 本物の捨て犬とかなら「おーよしよし! ほら〜餌だぞ〜」とか言ってお持ち帰りするんだけど、コイツの場合俺が餌になってしまう。


 それになんだか、俺の右目がっとあぶねえないおい! 

 

 そんな俺のことを無視するかのように体内に大量の経験値が流れてきたのを感じ取るのだが、先ほどまで戦っていたモンスターよりもキマイラの方が強力なのでその量がマジでぱない。この経験値の流れっていうのかな、それがかなりハマりそうなんだよね。なんかゾクゾクするように感じる......やべぇよやべぇよこれ重症だよ。ここを出たらかかりつけ医にでも行こうかな、てかここ異世界やん! 起承転結一人でするのってかなり空しいぜ。それはともかく気になるスターテスを確認することにするか。


 名前:リンドウ ユウト

 年齢:17歳

 種族:人族

 天職:暗黒魔術師

 レベル:78

 体力:3900(+3000)(+2000)

 攻撃:3810(+3000)(+2000)

 防御:3850(+3000)(+2000)

 俊敏:4400(+3000)(+2000)

 魔力:4300(+3000)(+2000)

 魔抗:4300(+3000)(+2000)

 知力:3900(+3000)(+2000)

  運:1000(+3000)(+2000)


 スキル:影牢 影針 影刀 収納魔法 英霊召喚 言語理解 鑑定

 称号:異世界人 死神の加護 死教の教祖 絶望者 自由落下した者

 

 自由落下した者:2000メートル以上からパラシュートなしで、自由落下した者が貰える。同様なことが起こった場合、恐怖心がなくなる。


 

 なるほどね。自由落下した者ね。まんまだね。

 

 まず判明したことだが、このスターテスでも死神の加護が発動していることから俺の現状況は死にそうな状況にあるようだ

 

 ここはダンジョンの中だし、逆にこの加護が消えたらダンジョン攻略したも同然だしな。それにありふれたバンジーでダンジョン攻略は何かがおかしいような気もする......。

 

 俺はレベルなどを考慮して少なくともここは300階層よりも下だと予測した。


 そして特に目的のない俺は、次回新しく得たスキル「影刀」、「収納魔法」、「英霊召喚」について解説&実戦していこうと計画し始めるのであった。



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