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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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夕食

 

「ここが二人の部屋だよ~」


 そう言うとベルは、扉を開けて俺達の居候となる部屋を紹介してくれた。


「ありがとなベル。それにして結構広いんだな、ベルの家」


 ベルの家に着くと同時に、ジュリアさんがベルに対して、俺達を部屋に案内してあげなさいと言われ、今現在俺達は会議室兼寝床となる部屋に案内してもらっている最中だ。


 この家に到着した時の初見の感想は、失礼ながらこぢんまりとした小さな家だなと思っていたのだが、開けてびっくり玉手箱! 一般的な家と同じ様な広さだった。ひでぶ!


 こういうのを目の錯覚というだろう。俺はそのことに驚きながら、部屋を見回していた。対してアスナは、間取りを詳しくチェックしていた。お前は匠かっ。


「このぐらいが普通だよ~。それとお布団はその中にあるから使ってね~」


 ベルの指差す方を見ると、クローゼットのようなものあり、中を見るとベルの言った通りお布団が二組綺麗に畳んで置かれていた。


 近づいて何気なしに嗅いでみた。スンスン......お日様の香りがするね~♪


「りょうか~い」


「後、夜ごはんの時間になったら呼びに来るからね~」


 そう言い残すとベルはスキップしながらランランルーと部屋を出て行った。


 足音が完全に聞こえなくなったのを確認した俺は、ここまで来る間に溜め込んでいた気持ちを出すつもりでこう呟いた。


「やっぱ妹っていう存在はいいよな~。なんかポワンポワンしてて癒されるからな~」


「いや、そもそもベルちゃん一人っ子ですよ。なので妹という名詞は当てはまりません」


 いつの間に俺の傍にいたアスナが、耳聡く今の口にしたことに茶々を入れてきた。


「いいんだよ、そんな小さなこと。てかお前、なんで間取りとかチェックしていたの? やっぱ匠なの?」


「匠ではありませんが、どの種族がどのような住居に住んでいるとか普通気になりませんか?」


「お前の普通の方が気になるな」


 一体どんな家庭で育ったら、地理の単元で出て来る世界の住居とか気になるんだよ。いつも世界旅行でもしてたからか? それともセンターの予行演習でもしてからなのか?


「ゴホン、まあ私の普通はいいとして、今は現在直面している問題が先決です」


 さりげなく話題を変えてきたが、アスナの言う通りだ。俺達の目的はそれだ、だからそれを解決してからでも、アスナの普通を聞き取るのは遅くないだろうな。


「だな。ゾルさんが言うに、問題は二つ。オケアヌスの汚染問題とダンジョン問題だな」


「その通りです。それでまず考えるべきことは、どちらを先に解決することかですが、今回の場合は同時進行で行くべきかと」


「一つずつ解決していった方が、効率は悪くても確実じゃないか」


「こればかりは詳しく説明できません。しかし、強いて言うのであれば、堕落した神々と何らかの関係があるいうほかありませんね」


「ん~そう言われるとたしかにその通りだな」


 アスナの言うように、ゾルさんからダンジョンの話を聞いた時真っ先に考え付いたのは、堕落した神々だ。だが、それを汚染問題に結びつける考えは思いつかなったな。やはりアスナは天才だな。だから世界の住居なんかに興味を持っていたのだろう。そんな天才に興味を持つ俺もある意味では、天才なのではないだろうか。以上証明終了! やったね!


「とにかく、今はここらでお開きにしよう」


「? まだ話を続けた方がいいと思いますが」


 いきなり閉店ガラガラと会議を強制終了した俺が不思議だったのか、アスナは釈然としない顔をしていた。仕方がないから教えてやるか。


「ほら、耳を澄ましてみろ。聞こえてくるだろ」


「あぁたしかに聞こえますね、波の音が」


 たしかに波の音が聞こえてくるが、俺は伝えたい音はそれじゃない。


「波の音じゃない。他にも聞こえてくるだろ。小刻みなリズム音が」


 そう言われたアスナは、もう一度考え、そして思いついたかこちらを見る。


「もしかして......アポカリプティックサウンドですか?」


「違う、それは世界が終末する時の音だ」


 それにそんな音が聞こえたということは、ワールドエンドエクリプスを意味する。だが安心してもらい。先ほどから聞こえてくる音は、重い金属音でもサービス終了のアナウンスでもない、そう、その音は.....天使の足音だ。ならやっぱ世界が終末するじゃねえか! 


「では一体何が聞こえてくるんですか?」


 俺への対応が面倒くさくなったアスナは、馬鹿を見るような目でこちらを見ていたが、それはいつものことだ。加えて今はそれどころじゃない。俺は瞑想(迷走)するつもりで瞼を閉じた。


「......来たっ!」


 その瞬間、部屋にある扉が開き、天使が顔を覗かした。


「ご飯で出来たよ~」


「待ってましたー!」


「固有スキルに、『地獄耳(年下限定)』も追加したほうがいいですね」


 三者三様。それぞれの思惑は違うが、それでも行きつくところは......












ごはんですよ!










そろそろ番宣料金が発生してもいいんじゃないのか? そう思いながら、天使改めベルの後に続き俺とアスナは、リビングを思われる部屋に着いた。


 そこには丸い椅子付きの机の上に、魚系の料理が準備されており、部屋中がその料理達の匂いによって充満されていた。


 今なら多分、この匂いだけでご飯三杯いけるかもしれないな。ウービンボウ!


「あら? どうやら私が最後だったみたいですね」


 そう言って部屋に入って来たのは、この素晴らしい料理を手掛けたジュリアさんだ。


「すみません、居候の立場にも関わらず何もお手伝いしようとせず......」


 本来なら料理ができるアスナを派遣するべきだったのだが、先ほどまで今回の作戦について話していたので、そのことを忘れてしまっていた。


 そんな気持ちが表情に出ていたのか、ジュリアさんはゆっくりかぶりを振る。


「お気持ちだけで充分ですよ。それに何やら大切なお話をしていたようですし」


「そうですか、そう言ってもらえると助かります。ところで......」


 安心したのも束の間、リビングに来た時から気になっていたのだが、一人だけ重要な人物がいない気がする。


「旦那さんはまだお帰りになられていないんですか?」


「あぁ、今あの人はオケアノスに調査に行っています。多分後一週間ほどは帰ってこないでしょうね」


 マジかよ、一週間もあそこで何すんだ? その調査内容について若干気になるが、家庭事情に首を突っ込むほどデリカシーの欠けた人間じゃないからな俺は。


「ねえねえ早く食べよ~。冷めちゃうよ~」


「それもそうね。ではお二人とも夕食にしましょう」


「「分かりました」」


 ハモった俺とアスナは、それぞれの席につくことにした。


 もちろん俺はベルの隣のS席にさりげなく座ろうとしたのだが、その前にアスナに横取りされてしまい残念ながら座ることができなかった。だが案ずるな、一応正面からベルを眺めることができるからな。


「ではいただきましょうか」


 ジャネットさんのそれに合わせるかのようにして、俺達はそれぞれ手を合わせる。


 そしてーー


「「「「いただきます」」」」




 




 

 






 はい! というわけで始まりました! 第一回食レポ選手権のお時間です!


 まず一品目からいきましょう!


 ~料理は見た目で判断するものじゃない。つまり人も......?~


 初見の感想は、金メッキのマントを羽織ったチャラい天ぷら野郎と思いましたが、それを箸で掴んだ瞬間、それがメッキではなく純金であることを悟りましたね私は。


 そしてそのまま、彼を私のマウスの中に出迎えた時に、さらなる衝撃が私を襲いました。


 それは......サックサック、デス!


 おっとすみません、脳が震えてしまいペテルギウスさんになってしまいました。


 とにかく美味しいです以上(もはや食レポじゃねえなこれ......)



 続いて行ってみましょう!


 ~一瞬札束じゃないの? と思わせてやっぱり札束なんじゃないの? と思わせる札束~


 一瞬札束じゃないの? それが初見の感想です。やはり料理名は正しいようです。


 流石に札束ではありませんが、それを連想させるほどの重量感をヒシヒシを感じますね。


 後で料理長ジュリアさんに尋ねたところ、これが例のホエールのお肉だとおっしゃっていました。


 そのホエールのステーキと思われる札束からは、強烈な旨味成分が飛び出しているのでしょう。涎が湯水のごとく湧き出るとまではいきませんが、それほど熟成された香りを私の鼻を襲うので、それに負けじと札束に喰らいつきます。


 噛みついた瞬間、内部から札束のエキスが口いっぱいに広がります。


 どうやらこれが札束の味なのでしょう。やはり人間ステーキや札束といった分厚いものに目がないのでしょうね。


 初めて札束を食べた若干脳が再度震えそうデスが、今は食レポの続きをやっていきましょう。(札束の味って幼稚園生の時に食べた色紙と同じ考えでいい、のか?)


 

 では最後の料理に移ります!


 ~木を隠すなら森の中。ならソレを隠すなら......?~


 料理名はよく分かりませんが、今目の前にある料理について地球でも馴染みのある。更に日本人にとっては、昔から馴染みのある料理、刺身の盛り合わせです。


 それには様々な魚の切り身が乗せられており、その盛り付け方はまるで本当に魚が躍っているようです。


 一切れ箸で取ってみるとプリプリしています。近づけて見てみると、向こう側にいるベルさんが透き通って見えるほどです。


 しかし残念なことに、ここには醤油がないようです。ですがその代わりに、塩があるのでそれに付けて食べましょう。


 うんうん、普通に美味しいです。時々食卓に並んでいたこともあるので、あまり感想は思いつきまーー


 当時のユウトさんにこの時のことをお尋ねしたところ、「あれは決して生で食べていいものじゃない。焼くか揚げるかの動作をした上で食べるものだ。やはりアスナの忠告は正しかった......」だそうです。その時の彼は表情は、どこかすべてを悟ったかのように私には見え、そんな私も彼の考えに賛同せざるを得ませんでした。(これ誰視点だ? てかそもそも今までの食レポも......)


 とにかく今まで進行役であり食レポマスターだと勘違いしていたユウトさんの意識が朦朧としているようなので、ここは失礼ながらお開きにしたいと思います。以上、食レポマスターである滝がお送りしました。(誰だお前ええぇぇぇぇぇぇぇ!!)


 

 



 突然の外界からの接触により、強制的に第一回食レポ選手権を開催させられてしまったが、何とか意識をこちら側に戻すことに成功した俺は、安堵の溜息をつきつつも何故か満腹になった腹と、先ほどまで皿に乗っていた料理達がいないことに気が付いた。


 まさかあれが、正夢なのか? ならスピッツ来ちゃうのか!? そう思いながらも一応料理を食べた記憶(捏造)はあるので、良しとすることにしたのだが。


「「「・・・・・・」」」


 俺以外の三人が全員こちらを見ていた。


 また俺何かやっちゃいました? そんな元リーマンの大の大人なのに、異世界においての一般常識の欠けている孫四郎のことを思い出しながら、俺は三人に尋ねることにした。


「どうかしたんですか? 俺のこと見ているけど」


「さっきからユウトさんが、一人で料理の感想を言っているものだから......」


 ジュリアさんは苦笑いしながらそう言っているが、断じて違いますよそれは。あれは俺のせいではーー


「そうそう言ってたよ~。こんな顔で、デス! って言ってたよ~」


 こらこらベルちゃん、変顔までしないでいいから。マジそっくりだから。他の作品出しちゃったらいろいろ問題になるから。朝日見れないかもしれないからもうやめてお願い許してクレメンス。


「ユウト様、竜人の里でもそのような事態に陥ったではありませんか。もう少し学習したほうがいいですよ」


 アスナが救えないような者を見るかのようにこちらを見ていた。オーマイガー。


「ゴホン、とにかく素晴らしい料理でした。ごちそうさまです」


 とにかく言いたいことを言い終えると、俺は一人そう締めくくり、魚人の村での記念すべき初夕食の幕を下ろしたのだった。


 




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