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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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天才

期末試験の真っ最中なので更新遅れるかもです。

あの『悔恨の館』の一件の後からすでに数日が経過した。


 あの後何気に収納ボックスの中を覗いてみると、いつの間に一つのオルゴールが収納されているのを発見した俺。見た目としては特に装飾のない普通のオルゴール、チョコレート色の着色されたオーク材で出来ている。だが中身はあり得ないほどに精巧に作られていたのでびっくりドンキー! スイスのブランドである、リュージュ製のオルゴールと思っても差し使いないだろう。


 そして気になる曲数についてだが......アンノウン! 


 だが一つだけ判明した事実がある。どうやらこのオルゴールは、使用者の心境に合わせて曲をランダムで再生する仕組みで作られているようである。なぜなら俺の時、みんな大好き『魔王』が、アスナの時は知らん曲が流れていたからだ。ちなみに『魔王』は歌手付きである。しかしながら、これまでマイファーザーだと思っていたが、よく聞くと英語じゃなくて別の言語じゃね? と今更ながら衝撃的な事実に気付いてしまったのはどうでもいい。一体どういう仕組みで出来ているか気になるからである。解体してどういう原理なのか知りたいと思うが、100パー元に戻せなくなりそうなので諦めた。まあ異世界だから何ら不思議ではないと思うしかないか。


 この森に入ってからいろいろと尻を追われ続ける日々だったからな。そういう意味ではこの曲はベストマッチングである。


 尻好き魔王と彼の娘と他多数とのパーティータイムはいいとして、一応アスナの心境を表した曲名をアスナ本人に尋ねようかなと思ったのだが、その時のアスナは顔を少し赤らめていた。


 加えて暗に、訊くなやオラアアァァァ! みたいなヒソカオーラを出していたので、その時は訊くことはできなかった。だが、いつの日か......念をマスターしたらフロアマスターになるついでに訊いてみようかな。


 そんな念使いになる将来はともかく今俺達は、何の問題もなく順調に目的地に進んでいる。歩きながら周囲を見回してみるとこの森に入った当初と比べ、地面に立っている木や生えている植物の種類も変化しているようだ。それだけ進んだという証であり、目的地に近づいてきたのではないか、そう考えさせられる。


 しかしこういう時だからこそ気を抜いてはいけない。そのことを俺は、この世界に来て再三にわたり学んだのだ。一件目はキマイラ事件! 二件目は外見至上主義事件! 三件目は社畜事件! 一応すべて受け身の構えで解決しているので問題ナインティナイン。


「後どのくらいで着きそうなんだ?」


「そうですね......」


 心の中で神に拝むつもりでアスナに尋ねると、一度立ち止まると顎をさすりながら考えている様子だ。頼むから今日着くと言ってくれ、じゃないとまたあいつらと一方的なパーティータイムを、フェアリーダンスをしてしまう。そんな未来俺はいーー


「明日ですね」


 その一言で世界という名の俺の心が闇に包まれた......だがそんな中に一筋の光があることに俺は気が付く。


 今の言葉を言い換えると今晩だけ、今晩だけ奴らに耐え忍ぶことができたなら......希望という名の未来が来るのだろう。だから今晩が踏ん張りどころだ......奴ら、森にいるたっくさんの虫達との。


 今一瞬、「『インセクト マイ フレンド』なんだろ、仲良く指じゃなくてケツ光らせろや」、と誰かがそんなことを口にしたような気がしたのだが、よく考えてもらいたい。『同族嫌悪』という言葉があること。それと蛍は大丈夫だ、あいつらは無害で短命だからな。それ以外の大勢については、この四字熟語から考えるに仕方ないんだ......あ、あれ? ということは俺ってもしかしてーー


「ユウト様聞いていますか?」


 自分のことを人間であるか疑問に思ってしまうという摩訶不思議な事態に陥っていたのだが、アスナのその一言で我に返った。


「ん? なんだねアスナ君」


「ああなるほど、どうやらお仲間さんのことが怖いのですね。でも、安心してください。彼らはユウト様を仲間にしたい、ただそれだけなんです」


 若干俺の口調が変化していることにいち早く気づいてその理由に思い至ったのだろう、アスナは麦の目をしながらまるで幼子を諭す雰囲気でそう言う。


 すでに俺=虫達という認識が、アスナの常識になっている。これが地球ならいじめ確定であるのだが、奇しくもここは異世界。いじめ問題に動いてくれるかも! しれない教育委員会は存在しないのだ。しかし存在したとしても、これをいじめ認定してくれるかは知らん。なら使えねえな教育委員会、GHQに解体されたほうがいいんじゃないか? おお? これって名案だな。地球に帰ったら暁には、これを議会に提出するのもいいだろなっと話が逸れてしまっていた。



「お前は馬鹿か? そもそもあいつらに友好的な感情なんてあるわけないだろ、というか俺の虫嫌いはもう忘れなさい」


 今の言動から分かるように、この森に入った初日に夜焚火をしていると案の定奴らが「ブンブンブブブン」と数取団ように言いながらじゃなく、羽を鳴らしながら大群で火の元までやって来たのだ。それを見た瞬間に日本人形バージョンのムラサメに追いかけられた時と同じ声を出したのを見て、アスナがかなり引いて、俺と虫達を見ていた。


 なんだよ、お前も嫌いなんだな虫(俺)。


「てか大体俺が虫の仲間になったら困るのはお前だろ。お前の道は俺を守ることなんだから」


「しかしそれがユウト様の道でもあるのですよ」


 どうやったら俺の道が、虫の仲間になることに繋がるんだ? 迷路じゃないんだから繋がるわけねえだろ。メイズ・ランナーなら生きているからその可能性も否定できないが。


「なら理由を言ってみろ」


「ユウト様の道は困った者を助けること、ですよね?」


 たしかに俺の道は困っている者、言ってみればそれに当てはまるものは対象に当てはまるということだ。つまり一応間違ってはいないというわけだな。


「ああそう通りだ」


 俺の返答にアスナは満足するように頷いている。だあぁぁぁがしかしいぃぃぃ!!


「虫達も困っているのですよ。仲間が『別の種族』と一緒に歩いていることが。だからユウト様を優しく暖かく迎えようとしているのです。だからユウト様には、彼らの気持ちを掬ってあげなければいないのでは?」


「なんで俺を虫判定すんの!? それと『』付けて強調しなくていいか、それにあいつら全然暖かくなぇから。あのブンブン音のどこに優しさが含まれているのか説明できるのか?」


 俺の中では蛍、カブトムシやクワガタなどなどはギリ合格だ。しかし飛んでくる奴だと蛾、地面の奴らだとゲジゲジ、ヤスデにムカデ、最後はテラフォーマー。これらの多くは森にいるのだが、海には更にこれらを越えるものがいる。それらを一目見るだけで、まるで『トリハダ』で有名なあの女優を見た時同様鳥肌が立つほどの恐怖指数である。つまり虫と人は、同格で恐ろしい存在であると伝えたいのだが、そんなことどうでもいい様子でこちらを見ているアスナ。


「仕方ないじゃないですか。彼らも森育ち、ユウト様の親戚のような育ち方をしてしまったから少し不器用なんですよ。それに飛んでくるのは......ほら、自由落下を楽しみたいじゃないんですかね」


 可愛く首を傾けながらそう言っているが、少し注意と訂正をいれないといけないようだ。


「おいちょっと待て、今完全理由考えてただろ。それと何回も言わせんな、俺はホームタウンはジャングルじゃない、ブルーライトヨコハマだ。後自由落下は無理があるだろ.......」


 そんな益体もない話しをしていると、次第に日が傾き始めた。周囲を闇が包み始め、昼間とは違い森はその姿を徐々に変化させている。それに伴い近くの茂みが怪しく揺れ、どこからからフクロウの鳴き声が聞こえてきた。


 来る......奴らが......。


 俺は周囲に警戒しつつ、アスナと一緒に野宿の準備を始めることにした。そのために道具は、俺の四次元ポケットである収納ボックスの中に詰まっている。しかし夢や希望は詰まっていないので、そこんところ注意が必要だ。


 気になる野宿の道具は、アウトドアの際に使用するテントだ。ダンジョン攻略の時は、地べたに横になって寝ていたので、起きた時にかなり体が痛かったのは遠い昔ように感じる。


 だが創造魔法を貰ったおかげで、このテントを創造してのでかなり楽になったのは若干昔のように感じる。他にも使ったことのある範囲で創造したりしたが、説明がメンドイのパスで。


「アスナ、今日の夕食は何なんだ?」


 テントを設置しながら俺は、一人黙々と調理用具を準備しているアスナにそう尋ねる。分かっていると思うが、アスナは料理が出来るようになったのだ。


 理由は以前竜人の里でジャネットさんに頼んでお願いしたおかげで、アスナはジャネットさんとエレナから料理技術を叩きこまれた。そのかいあって俺は旅の途中でもうまいご飯を食べることができるようになった。なのでこれからは、二人のいる方角に足を向けて寝れそうにないな。



「そうですね......一昨日倒したレッドポークがありますし、生姜焼きのような感じの料理にしますかね」


 数あるメニューの中から悩むかのように、アスナは顎をさすりながら考えている様子だったが、すぐに今日の一品が決定した。そう言うとアスナはすぐに料理に取り掛かり始める。


 毎日毎日警戒する日々がほとんどだ。だが、明日になったらもうこの森から出ているだろうし、今日ぐらいはどれほどの腕になったか拝見するのもいいかもな。というわけで警戒はここまでにしておいて、アスナの料理風景を見ることにした。


 まず初めにアスナは包丁を握る。するとすぐに包丁をまな板の上に置くと、まだ調理の完了していない材料放置して火の元歩いていく。声を掛ける前に一応まな板の上の材料を見てみることにしたのだが、これが間違いだった。


 なぜならすべての材料は、自身が切られていることに気づいていない......つまりそういうことだ。


 あいつってあの二人から食材の捌き方習ったんだよな? なんでいっきに殺人技に昇華しているんだ? すごいとかの騒ぎのじゃない、まったく包丁の立筋が見えなかった。つまりは団長の手刀より速いってことだ。俺でも見逃してしまったぞ。


 それが当たり前のことかのようにアスナは次の作業に取り掛かり始めている。先ほど切った材料達をコンロの上に置いてあるフライパンの上に乗せると、その下にある大量の炭に魔法で火を付けようとしている。今度は流石に大丈夫だろ、火の使い方とは習っていないような気がするし。


 するとアスナは、近くに置いてあった紫色の液体が入ったボトルを取る。


 たしかあれは、ジャネットさん達から頂いたってアスナが話していたな。でも何に使うんだ?


 その疑問をその場ですぐにアスナは解決してくれた。


 

「ってうおっ! それって大丈夫なのか? 火強すぎじゃないのか?」


 フライパンの上にある材料達に、その液体を惜しみなくかけた瞬間、火がフライパンの上でその強さに増したのだ。おいおい大丈夫か? 二メートルぐらい火柱の立っているぞ。ここは天井がない外だからいいかもしれないが、家の中でするならCM通り天井の高い家でするべきだな。


「これは私の我流ですかね」


 俺の驚いた様子を見て、アスナはどこか誇らしげにそう言っているが、流石にそのセリフはおかしい。


「いいかよく聞くんだ、そのセリフは何年も修行して初めて言ってもいい、そんなかっこいいセリフなんだ。ミーハーなお前が口にしていいセリフじゃない」


「何を言っているか分からないですね、大丈夫ですか?」


 セリフ評論家である俺の意見をどこか胡散臭さそうに、アスナはこちらを見ながらも器用にフライパンを使いながらそう言っている。


 ホントこいつって数週間しかしてないんだよな? もしかして一日が一年になる部屋に入ったおかげなのか?


「まぁ地球にいた頃から、母の料理姿を見ていたのでそのおかげかもですね」


 フライパンの上でもう少ししたら完成しそうな料理を見つめながら、アスナはそう呟いた。


 つまりそのおかげかもしれないが、逆にそれと数週間の特訓だけでこれだけの腕前ってことはやはりこいつ......













天才か?




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― 新着の感想 ―
[一言] >『トリハダ』で有名なあの女優 パッと思いついたのは笹野鈴々音さんですね めちゃちっちゃくて声が可愛い女優さん あの人、素は可愛らしいんだけど映画での絵面はやばかったですね
[気になる点] 魔王(曲のほう)についてですがドイツ語の曲だったとおもいます。
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