図書の悪魔。
「言ってくれますねぇ、鍵も持たないあなたが何かできるとは思いませんが…そうですねぇ観客は一人ですが」
図書の悪魔ダンタリオンが胸の鍵を掲げる
「「デビルズキーですねぇ」」
ローブの男が一瞬で分身し、コーラスのような声が響き渡る
「なっ…!?おい!ソロモン!悪魔ってこんなにヤバい奴なのかよ!」
「…」
俺の問いかけにソロモンは答える気配が無い
「なぁ!!おいって!!」
感情を抑えきれずにソロモンの肩に手を伸ばした瞬間にソロモンの首が180度回った
「それも私なんですよねぇ」
ソロモンの口からダンタリオンの声が聞こえてくる
「うわぁっあ!?」
「志波!気をしっかり持つんじゃ!」
ソロモンの声が聞こえ、ハッと目を覚ました
「今のは…夢?」
「奴の幻覚じゃ!やってくれるな」
気がつくと目の前でソロモンが大きな光を放っている
「ハハハハッ!守るべきものがある、何とも美しい調べではありませんか!
しかししかし~?その防御陣もいつまで持つのでしょうか?」
どうやらダンタリオンの猛攻をソロモンが防いでいるようだ
体の震えが止まらない。俺は完全に足手まといだ
「あまり調子に乗るでないぞ」
ソロモンの右手に魔法陣が現れ、太陽のような光弾が振りかざされる
「私の2重奏を片腕一本で防ぎきるとは流石はソロモン王様といった所でしょうか。
だがしかし~?魔力供給の源が可哀想なほど無力と見受けられる。」
ソロモンの表情が曇る、まずい、俺が弱点だと完全にバレてしまっている
「だとしたら…これでチェックメイトですかねぇ」
「「「「「5重奏」」」」」
再びダンタリオンが鍵を翳し取り囲むように5体に分身する
「志波よ」
ソロモンが語りかけてくる
「なんだ!?」
「我らの弱点がバレておるようじゃな、流石は知の悪魔といったところか」
「言ってる場合かよ!?」
「じゃが気づかんか?奴にも弱点があると」
ソロモンからの急な問い、あんな怪物に弱点なんか…
あるかもしれない
「無いことはないかもしれないけど…」
「ふふふ、それでこそワシの王じゃ」
今なんて?と言葉にしようとした時に閃光が放たれる、この暖かい光は…
「目くらましのつもりでしょうが!無駄な足搔きですかねぇ!?
喰らっていただきましょう!私のカルテットを!」
ダンタリオンの分身全てから魔法陣が展開し光線が放たれる
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「かのソロモン王もあっけのないものでしたねぇ。しかしまぁ少ない魔力でよくここまで闘ったものです。」
「最後にふさわしいカルテットとなりましたでしょう」
ダンタリオンの攻撃を防ぎこそすれソロモンは地に伏してしまった
だが俺はなすべきことをした
「おい、馬鹿悪魔」
「んぅ~?おや、君はソロモン王の供物ではないですか?なるほど、あの目眩ましは君を逃がすためにですかぁ。泣けますねぇ」
「泣くのはお前の方かもしれないぜ」
俺は手に持っている鍵を見せた
「!!??」
ダンタリオンは自分の胸にあるはずのそれを探す
当然俺が持っているからあるはずはない
「それをっ!!返すのですっ!!」
「受け取れっ!!ソロモン!!」
奴の持っていた鍵が放物線を描きソロモンへと届く
「序列71番のシジルを使わせてもらうぞい。デビルズキー、じゃな」
ソロモンが鍵を翳し、聞き覚えのある声でのコーラスが響き渡る
『『『『『『『7重奏』』』』』』』
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お久しぶりです
友人にこの小説を見せたところ続きを読んでみたいと嬉しい感想を頂いたために
再筆を始めました
拙い文章ではありますが楽しんで頂けると嬉しいです