魅影の8年 【2】
「お、お前が?」
なんだこの茶番。漫画みたいになってるぞ。俺の口調も変ってきたし。
(それよりも、俺はボケキャラでもツッコミ役でもない)
「おう! すげぇだろ?」
「あ、あぁ。すごい」
「だろ?」
だろ?
じゃない。なんでそんなドヤ顔でいるんだ。
「なんで、そんな重要なこと言わねんだよ」
「そんな重要なことなのか?」
「そうだ」
「そうかー」
「はぁ。もういい。とにかくお前はエリキのことについて詳しいんだな?」
「おう! エキスパートだ! 何でも訊け!」
訊いても言わなかったのはお前じゃねぇか。
まぁいい。
「じゃあ訊くが、エリキって何が特別なんだ? やっぱり妖力か?」
「うん。まぁ妖力だな。」
たしか、生まれた時間帯に妖力が上がるから、
闇鬼族のエリキは夜中に
暁鬼族のエリキは暁の時間帯に
昇鬼族のエリキは太陽が昇る時間に、妖力が上がるはずだ。
「妖力が上がることによって、自身の能力をさらに強化することができる」
「自身の能力?」
「そう。
闇鬼族のエリキの場合だと、武力がさらに大きくなって強くなる。
暁鬼族のエリキの場合だと、知能がさらに上がり頭の回転が速くなる。
昇鬼族のエリキの場合だと、身体能力がさらに上がり動きが素早くなる。
などだな。まぁ簡単に言えば鬼族が違えばエリキの能力もかわるってこった」
「へぇ。すごいな。それ以外には無いのか?」
「知らねぇな。聞いたことも無い」
「そうか。ありがとう」
「そういえば、お前なんでそんなこと俺に訊いてきたんだよ?」
「それは......」
こいつには言ってもいいよな......
「実は、白夜に会ったんだよ」
「それはすごいな。本人に教えるのか?」
「それがな、まだ白夜は幼くてな。しかも最近来なくなったからなぁ。」
「じゃあどうすんだよ?」
「また来たときに成長していれば話してやるさ」
「そうか。じゃあその時は俺にもそいつ紹介してくれよな!」
「ああ。そうだな」
―8年後―
「お前は妖力人鬼だ」
俺は白夜にそう言った。