2話 これは幻聴か現実か
「だからどうじゃ、君にとっても悪い話じゃないはずじゃ」
「俺にメリットがないじゃないか、振り回されるだけなんてゴメンだね」
「しかしなぁ…」
残念ながら目を閉じたからと言って不快なダミ声が消えることは無かったようなので諦めて応対する。
「これはもう決まったことなのじゃよ…」
「『いやです』と言われてはいそうですかとは行かないんじゃ…」
裕翔は耳を疑った。断れないんだとしたら選ばれた時点で振り回されるのは確定じゃないかと怒りに震える。
「それは理不尽じゃないか、俺に選択肢がないのならなぜお前らは選ぶことが出来る」
裕翔は当たり前の疑問を投げかける。
「それに、だ。お前は一体何者なんだよ」
「ワシについては自己紹介は済ませているはずじゃ。そして前者について、ワシは名前の通り神だからじゃ」
神…そんなもの誰が信じる。神がいるのならなぜ俺を選ぶ。
もっと従順で神にとって都合がいい奴なんて沢山いるだろ。
裕翔は考える。こんなもの夢と考えた方が現実的だ。だがーーー。
「おい、お前が全知全能の神『ゼウス』と言うなら姿くらい見せたらどうだ」
「仮にも人にものを頼むんだろう」
裕翔には考えがあった。もし姿を見せなければ幻聴として無視しよう。姿が見えた時はーーー。
「そうじゃのう。すまんすまん」
裕翔の眼前で眩い光が交錯する。
光は神々しく絡み合いながら『それ』を形作っていく。
「これでよいかのぅ?」
眼前に現れた『それ』は声の通りの姿をしていた。白いローブを身にまとい顎には立派な髭、頭はチリチリの髪の毛で覆われていた。
「さて、もう一度自己紹介させていただくとしよう」
「ワシが万物の創造主にして全知全能の神、『ゼウス』である」
眩い光とともに現れたそれは高慢ちきにそう話す。確かに見た目は神話に出てくるゼウスと言われても違和感はない。ある部分を除いてはーーー。
「さて、それでは返事を聞かせてもらおうかの、まぁ断ることは出来ないんじゃがのぅ」
「あぁ、それについてはわかった」
裕翔は諦めた。この自称ゼウスに従った方がまだ楽な方に話が進みそうだと考えた。
しかしそれ以上に気になるところがある。
「なんでお前はそんな小さいんだ?」
目算で見ても15cmあるかないかの自称ゼウスにそう尋ねる。
神というか妖精といったほうが近い気がする。
「なっ、何!?このワシを愚弄するつもりか」
ゼウスは怒りで声を震わせている。顔も真っ赤だ。
しかしプレイヤー?になることを了承してしまったのだ。聞かなければいけないこともあるのでとりあえずはゼウスを落ち着かせるとしよう。
こうしてフリーター、荒井裕翔と全知全能の神、ゼウスの人生、そして神生をかけたゲームが始まるのであった。
進まねぇぇぇぇぇ
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