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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

インシデント三沢 Another Story

作者: 太子

本編はこちら→http://ncode.syosetu.com/n8388ec/


あかん。また負けてしもた。


「バキッ!」

親父の拳がとんでくる。


親父「てめえみたいなのは、俺の息子じゃねえ!いい加減恥ずかしいだろ。いつになったら努力すんだ?走り込め。足腰鍛え足りねえんだ。毎日スクワット千回はやれ。」

三沢「はい。」


親父の声は震えていた。感情を完全に抑えきれてない。

空手大会会場の観衆の視線は試合ではなく、試合後のワイと、親父に集まっていた。

#

朝起きてすぐに部活の空手の練習のことを考えてしまう。今日はどう怒られるのか。想像するだけで辛い気持ちでいっぱいになる。

学校へと向かう。中学二年生となり、学校生活には充分慣れてきていて、普通に楽しかった。でも、やっぱりどこかで空手の練習のことが出てきてしまう。


ななみ「三沢くん、おはよー!」


同じクラスのななみちゃんが近寄ってくる。


ななみ「どうしたの?元気ないね。」

三沢「いや、普通やわ」

ななみ「明らかふつうじゃないやーん。気になるよー。」

三沢「ええからワイのことなんてほっといてくれ!」

ななみ「ええー。そんなこと言わんといてー。」


ななみから離れ、逃げるように校門を駆け抜けていく。

#

授業が始まるも集中できない。


理科の先生「じゃあ、三沢!原子番号7の元素はなんやったっけ!?」

三沢「・・・。」

理科の先生「三沢!当ててんねやで!!」

三沢「は、はい!!強調を表す助動詞です、!」

理科の先生「国語の時間はさっき終わってんねんで!廊下に立っとき!」

三沢「す、すみませんでした!」


廊下に立ちながらも、空手の練習を想像する。

「オエッ!」吐き気がした。

持たされたバケツを床に置き、トイレへと駆け込む。

トイレで吐き終わると涙が出てきた。ただただ、毎日が辛い。生きてるのが辛い。


もういっそ、親父を殺してしまおう。


そんな残酷な考えが脳裏をよぎる。

#

全ての授業が終わり、これから部活が始まる。体育館の二階に武道場があり、更衣室で着替え、軽く準備体操を行っておく。

部外コーチである親父が入ってくる。

「お疲れ様です!!」

武道場にいる全員が挨拶する。

親父「今日は顧問が仕事で遅くなるねんで。俺のメニューの日だ。てめえら覚悟しとけよ。」

「は、はい!!」

親父「アップは済んでるだろうから、サーキットトレーニングから行う。道場の端から端までダッシュ、そんで、腕立て伏せ、バーピー、腹筋、スクワット、反復横とび、かがみ跳躍の順で行っていく。これを10セット。いいな!?」

「はい!!」

#

練習がなんとか終わる。

ワイは他の部員の三倍くらいしごかれた気がした。

「もう決めた。親父をこの世からケシテシマオウ。」

#

ただ、簡単に親父が死なないことはわかっていた。

親父を殺せないならホンマにワイの生きる価値なんかあらへん。

お前が死ぬか、ワイが死ぬか。

人生をかけた、たった一度きりのゲームやで。


その夜中、親父の寝室にこっそり入る。

親父はイビキをかき、熟睡していた。

ラッキーなことに横を向いて寝ていた。

イケる。確信した。

首の根元をめがけ、裁縫で使っていた針を

ゆっくりゆっくり、親父の

背骨の一番上から左側に少し位置したところ

一ミリもずれたらあかん。

ここだ!

その瞬間親父が少し動いた。

刺す位置がずれる。

ブスッ。血が滲み出る。

ヤバい。すぐに部屋を出る。

いてぇ!

親父の声だ。

ウッ!

前もって用意していたロープが締まる。

今だ。部屋に入り、練炭を燃やす。

一酸化炭素が蔓延する。苦しむ親父の顔がピンク色に染まっていく。

「親父、ワイが死ぬか。親父が死ぬかのゲーム。ワイの勝ちやで」

そう言い放って、自分の部屋へと帰る。

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