表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋はしょうがない。〜Side Storys〜  作者: 皆実 景葉
真琴の安らぐ場所
9/39

私の居場所 Ⅰ





それでなくても、週末婚の夫婦なのに、貴重な週末の一晩がこんな風に潰れてしまった…。


同じ屋根の下にいるのに、愛しい人を抱けないこの虚しさ…。



古庄は明かりを消し、布団をはぐって横になった。

早く眠ってしまって、このやり場のない悶々としたものを忘れてしまいたかった。






真琴は階段を上り、自分の部屋へ入るとホッと息を吐いた。

もう何年もこの家で暮らしていないとはいえ、やっぱりここに来ると心が落ち着く。



たまに帰省して、長年使ってきた自分のベッドに体を横たえるとき、圧倒的な安心感に包み込まれて、いつも心地よく眠りに落ちていくことが出来た。


その度に、どんなに離れた場所に住んでいても、自分の居場所は「ここ」なんだと、真琴は思っていた。



ところが、さっきまで強烈に襲ってきていた眠気が嘘のように、ベッドに入った瞬間から眼が冴えてきた。


心身ともに疲れていて、すぐにでも眠れそうだったのに…。



何度も寝返りを打って眠りに入ろうと試みるが上手くいかず、時だけが刻々と過ぎて夜が更けていく。




真琴は眠ることを諦めて、カーテンの隙間から漏れてくる隣の公園の街灯の光を見つめた。



眠れない理由は解っている――。

こんな感覚は、今日に限ったことではない。



毎晩、布団に入ると、必ず愛しい古庄を思い出す。

彼に愛してもらった記憶からその時の感覚を反芻して、心だけでなく体まで切なく疼き始める。



ましてや、今日は階下に古庄が眠っている。

いつもは「明日会える」と言い聞かせて抑え込んでいる感情が、今日は暴れ出して、真琴はとうとう我慢が出来なくなった。



衝動的に起き上り、居心地がいいはずのベッドを立った。



暗く寝静まった家の中を歩いて、古庄のいる和室へと向かう。隣の部屋には両親が眠っているので、そっと起こさないように。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ