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6話 魔王、世界について聞く

 ザフィーラに町で服(それもあえて古着)と靴と帽子を買ってきてもらった。


「どうだ、どこにでもいる町の男に見えるか?」


 早速着替えてみた。


「素敵です! どんな服を着てもルシアさんの威厳と力が抑えきれずにあふれています!」

「じゃあ、ダメじゃん!」


 そんな歩いてるだけで禍々しいオーラみたいなの出てたらバレる。


「もっと、服を汚したほうがいいのかな。汚らしい服を着てたら魔王感も出ないだろ」


「ルシアさんが汚らしい服だなんて、私は耐えられません」


 そこは耐えてほしい。


「あと、牙は大丈夫かな……」


「たしかに伸びてますが、八重歯の出てる人もたまにいますからね。ほかの要素と組み合わせなければセーフかと」


 まあ、昨日の今日で町に出たらリスクも高いし、しばらくはここに潜伏するか。


「ちなみに、魔王の噂は町でも出てたか?」


「はい。ヒエナの村に魔王が現れ、村を地獄の業火で焼き払ったともっぱらの噂ですよ。恐怖に駆られて逃げ出して閉店中になってる店までありました」


 地獄の業火って、オッサンの火の不始末じゃねえか!


「ほかにもAランク冒険者が何もできずに叩きつぶされて、あれをどうにかできるのは勇者ぐらいしかいないとか、そんな話も」

「そっちは事実だな」

 勇者でも多分無理だと思うけど。


 ていうか、ALL99999のステータスって無茶苦茶だよな。


 ラスボスがこんなゲームあったらクソゲーもいいとこだぞ。

 絶対倒せないだろ、こんなの。


 それとも、特定のアイテムを使うと、弱体化するとか設定があるのかな。

 魔王とはいえ殺されたくはないので、そういうのがあると困るんだけど。


 昼食のあと(この世界は麺料理が多いらしい。スパゲティみたいなやつと、野菜のスープの食事だ)、人間の世界についてもザフィーラから説明を聞いた。


 この土地は大半がアクラウス王国という国家に支配されている。

 大陸の七割ぐらいは王国領ということだから、すごい割合だ。


 ではその他は何かというと、大陸北部の雪で閉ざされた高山地帯が魔族の土地として扱われているらしい。


 魔族の王国がそこにあるというわけではなく、単純に土地が悪すぎてアクラウス王国が管理を手放しているということだ。


 あとはエルフやドワーフといった種族の小国家みたいなのが王国内に民族自治区みたいにあるということらしい。あと、差別されてるらしいが獣人もそんなふうに住んでいる。


 そして定期的に魔王が現れては魔族を結集して王国と争っているというわけだ。


「で、今回の魔王が俺ってわけだな」


 別に魔王となるように育てられたわけでもなんでもないうえに、知らない世界なので実感は皆無に近い。


「はい! 早速、王国を相手に戦いましょう! まだ、勇者も若いですから、全員残っているはずです! 前の魔王様が封印されたのも2年前の話ですし」


「いやいや、ザフィーラ、俺がなんで地味な服や帽子を買ってきてもらったかわかってる……?」


「町の人間を欺いたうえで、連中に塗炭の苦しみと恐怖を知らしめるためですよね」


 全然違う。


「一見、無害な人間として普通に暮らすためだ」


「無害だなんて! ルシアさんは害悪のかたまりですよ!」


 褒められてるはずなのに、ディスられてるようにしか聞こえない!


「ルシアさんは魔王として君臨してもらわないと困ります! 私たち魔族の長年の夢なんですから!」

 長年といっても魔王が封印されて二年しか経ってないはずだが。


「いや、ほら、魔王になるにしたって、必要なものがいろいろといるだろ……。まず、魔王らしい城な。高くそびえる塔とか、異様に深い洞窟とかでもいいのかもしれないけど。とにかく、こんな一軒家にいちゃ、締まらんだろ」


「それは、まあ、そうですね……」


「あと、仲間が少なすぎる。部下がせめて千人ぐらいいないと。王国の将軍より圧倒的に率いる数が少ないんじゃ、これも格好悪い」


「たしかに……」


 お、どうにか論破できてるな。


「ちなみにだけど、ザフィーラはほかの幹部や部下と連絡はとれてるのか? ここ、一人暮らしだったみたいだけど」


 あんまり数が揃うと魔王をやるしかなくなるが、ザフィーラしか仲間がいないというのも心細い。


「実は……以前の魔王様が封印されたあと、幹部もばらばらになってしまい、音信不通です……」


 すぐに魔王として戦わなくていい反面、ちょっと寂しいな……。

 バンドですら五人組だったのに。


「じゃあ、仲間を探すことを考えつつ、ひとまず平和に暮らすということでいいな」


「わかりました。ただし、私も魔王軍の活動再開に全力を尽くします!」


 なんか微妙にバンドっぽい表現だな!


 ところで俺のいなくなったバンド、ディアボロスは今頃、どうしてるんだろう。


 やっぱり解散なのかな。

 ツアー中に申し訳ないことしたな。

 でも、あっさり新ヴォーカル入れて続けられても嫌な気分になるな……。


 さてと、俺も食い扶持を稼ぐか。


 ヒモを堂々とできるほど心理的に図太くない。


「3日後に町に出てみる。それだけ経ってればほとぼりも冷めてるだろ」


「焼き尽くすんですね? 私も奴隷として協力します!」


「違う」


 ザフィーラはかわいいけれど、思い込みが激しすぎる。もっと見た目どおり、かわいく平和的に生きてほしい……。実質、妻みたいなものだし。


 ちなみに村を焼いたのも俺じゃないからね。オッサンの火の不始末だからね。


 ステータスは高いらしいし、そういう人間(魔王だけど)が金を稼ぐとしたら、あそこだろう。


「冒険者ギルドに登録してみる」

次回は昼12時半頃の更新予定です。

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