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日本の魔王は異世界でも魔王だったようです  作者: 森田季節


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22話 魔王、勇者の仲間を泊める2

すいません、少し更新が遅れて日をまたいでしました……。

「私のステータスか。まあ、こんなものだ」


 シャンファがステータスを教えてくれた。


=====

シャンファ

Lv28

職 業:魔法使い

体 力:234

魔 力:305

攻撃力:139

防御力:159

素早さ:305

知 力:278

魔 法:ブリザード・メテオストライク・エクスプロージョン・ヒール・プロテクションフロムブレス・マジックウォール・ワープスペル・レヴィテーション・サーチボックス・アンロック

スキル:高速詠唱・知識の蔵(図書館一つ分の記憶を持つ)

=====


 ふうむ。

 まあ、弱くはないけど、そんなに強くもないな。


 特徴としては魔法使いがヒールを使って回復ができるってことか。


 回復ができないなら、一対一でピョンタンと戦っても勝てないだろうが、この回復が大きい。


「魔王封印にヒールがあったことも関係してるんですかね。回復役が多いっていうのはパーティーにとってかなりの強みになる」


「ほう、詳しいな。あなたも冒険者か」


「はい、今、ザフィーラともどもBランクでギルドに登録してます」


 しまった。余計なことまでしゃべってしまったか。


「ああ、だからか。あなたたちに会った瞬間、同類のにおいのようなものを感じたのだよ」


 まあ、同類と言えなくもないが、またザフィーラが聞くと怒りそうな言葉だな……。


「しかし、Bランクというのはご謙遜しすぎではないかな。おそらく、もっと上の力量の方かとお見受けする」


 ぎくっ。

 実際、ボルガドット山のモンスターの件が正式に俺たちの解決と認められれば、Aランクに上がりそうではある。


「いえ、俺たちなんてまだまだなんで……」


「ちょっと腕を見させてほしい」


 すっと、シャンファは立ち上がると俺の腕を触った。


 なっ! 予想外の展開……。


 女子にぺたぺた体を触られるのは当然ながら緊張する……。


「腕を見れば、だいたいの力量は判断できる。そうか、そうか。一見筋肉がないように見えて、その実、たいへん締まったよい体をしている」


 そりゃ、攻撃力:99999だからな。


「あの、もし、興味がおありなら勇者のパーティーに加入することも考えていただけないだろうか。何かあった時、あなたなら充分に戦力になるはずだ」


「たとえばどのような時でしょうか?」


「魔王が復活した時などだ」


 魔王が復活したら、魔王が勇者のパーティーに入るのか。

 意味不明すぎる……。


「いえいえ、俺じゃ魔王を倒すなんて絶対にできませんよ」


 そうやって誤魔化す。


「そうか? 別に私は世辞で言っているのではないのだがな……」


 普通に残念そうなシャンファ。


 しかし、この人、顔を近づけてきたせいで実感したが、清楚系のかなりの美人だな。


 おそらく若くして魔法使いの修行に入ったのだろう。

 浮世に詳しくないお嬢様みたいな雰囲気がある。


 だが、そこに食前のお茶を出してきてくれたザフィーラがタイミングよくやってきて、


「はーい、お茶ですよ――――わっ、ルシアさん!」


「あっ、そうか、奥方、亭主に申し訳ないことをした! 別に亭主を誘惑しようとしたわけでは断じてないからな!」


「はい、それはわかっていますとも……。わかっていますとも……」


「こいつ殺すオーラ」がこれまで以上に強くなったことだけは間違いない。


 そして、食事になった。


 パンとシチューという、ごく普通のものだ。


 まあ、シャンファが来たのが遅かったのでもてなすための準備も時間もなかったからな。


 ただ、これがたんなる食事とは思えん。


「さあ、この地域に伝わる魔女料理です。召し上がってくださいね♪」


 ザフィーラが陽気すぎて明らかに不自然。


「魔女料理とは?」


「はい、魔女は野草やキノコの中で中毒症状を起こすものを用いますが、中には毒さえ取り除けば絶品になるものがいくつもあるんです」


 それ自体はウソではない。


 体に有害なのと美味いかどうかは別だからな。


「今日はその毒を取り除いた料理です。ほら、シチューにいくつもキノコと野草が入ってるでしょう?」


 絶対、取り除いてないのを入れてるだろ!


 おそらく、毒の部分をシャンファの皿に集中して入れたんだ。


「さあ、どうぞ! 毒はちゃんと取り除いてますから!」


 さすがにこのまま殺させるわけにもいかんな……。


「あっ、俺のほうが具が多いな。今日はお客さんをもてなさないといけないから、交換させてくれ」


 説明口調で言って、皿を俺のと入れ替えた。


 そしたら、ザフィーラが俺の手をつかんだ。


「ルシアさん、何をしてるんですか……」


 笑顔のようだけど顔が引きつってる。


 やっぱり、クロだ。毒だった……。


「なんだ、ザフィーラ? 俺は夫として当然のことをしたわけだが……」


 ザフィーラは次の手に出た。


「おっと、シャンファさんのスープに毛が。すぐにお取り替えしますね!」


 シャンファの皿をとって、台所に行こうとする。


「あっ、俺もいい葡萄酒あったか見てこようかな~」


 同じく台所についていく俺。


「どうしてついてきたんですか!」


 台所で怒られた。


 若干、小声だ。


「お前、毒入れる気満々じゃねえか……」


「千載一遇のチャンスなんですよ! 魔王の幹部が勇者の仲間を殺さずに誰を殺すんですか!」


 ここはちょっとかっこつけないとダメか。


 ザフィーラの手をとった。


 そして、囁くように言った。


「俺は妻が手を汚すのを見たくない」


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