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日本の魔王は異世界でも魔王だったようです  作者: 森田季節


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12話 魔王、ダンジョンに潜る1

日間30位に入りました! はじめての30位以内で無茶苦茶うれしいです! ありがとうございます! これからも頑張って更新します!

 俺たちは早速、通称北洞窟に入ることにした。


 地下15層となるとそれなりに深いので、食糧などは多めに持っていく。


 かさばらないように、ナッツを袋に入れて、それを背中の大きなリュックに入れておく。

 塩味すらついてなくて、あまり美味いものでもないが贅沢は言ってられない。


「できれば、魔王専属の料理人を仲間にしたい」


「仮に料理人が見つかっても、ダンジョンでは調理が難しいですよ」


「日本では、ダンジョンで料理を作る漫画がヒットしてたんだがな」


「まんが?」


 そりゃ、通じるわけがなかった。


「普段の料理は私がルシアさんのために愛をこめて作りますので!」


 変なところでザフィーラのやる気のスイッチを入れてしまったらしい。


「料理は火力です! すべて愛の炎で焼きます!」

「なんか中華料理みたいなこと言い出した!」

「食材は燃やせば燃やすほどおいしいですから!」

「それ、消し炭になるだけ!」


 ――はじめてのダンジョン体験で、実のところ、かなり期待していた。


 いったいどういうものなんだろう。


 脱出ゲームをはじめてやった時みたいな高揚感があった。


 ものすごく期待はずれだった。


 なぜか。


 別に1層ごとが六畳間程度の広さしかないとか、そういうわけではない。


 俺は魔王なのだ。

 つまり、上級の魔族なのだ。


 低級な魔族、モンスターとでも言ったほうがいいアイアンアントとか大ムカデとかは、直感で逆らってはいけない存在だと認識するらしい。


 魔王と書いてるわけではないが、力の差を感じ取ってしまうのだろう。

 こういうの野生動物のほうが鋭い気がするし、やむをえないことかもしれない。

 低級魔族はほとんど野生動物みたいなものだからな。


 俺の顔を見た途端、すぐに逃げていく。


 なので戦闘が発生しない。


 ちなみにダンジョンでは帽子もとっている。

 頭がむれるからな。


 敵とのエンカウントがないダンジョンなんてヴォーカルの声を抜いてアルバム1枚をインストゥルメンタルで流すようなものである。

 全然盛り上がらん。


 だいたい何もない行き止まりの道なんて、モンスターエンカウントがあるから意味があるのであって、それがなければたんなる徒労でしかない。

 タイムアタックなんて概念もないし、本当に何の意味もない。


「食糧、こんなにいりませんでしたね」

「まったくだな……」


 あまりにも暇なので、各階層の地図を作ることにした。


 先人が作った地図は一応あるが、ちょこちょこ間違いがある。

 まあ、いつ敵に襲われるかわからない環境でのマッピングだから大変だろう。


 地下5層目に至っては、スケルトン・ウォリアーからフロアマップを聞いたぐらいだ。


 まあ、スケルトンはしゃべれないので、身振り手振りで確認したのだが。


「これはまっすぐ行っても何もない?」

 スケルトンが顔を横に振る。


「何かあるのか。階段?」

 今度は縦に振る。


「地下へ降りる階段?」

 また縦に振る。


 住民の言葉だから、信用していいだろう。


 こんな調子で少なくとも地下12層までは実に詳細な地図ができた。

 エンカウントするモンスターについてまで細かく書いている。

 ゲームの攻略本かよって次元だ。


 俺たちは13層にあった回復の泉で一服することにした。

 まあ、地下もこれだけ潜れば水ぐらい湧くだろう。


 水は癖がなくて美味いが、そもそも戦闘をしてないので傷もついていない。


「クソゲー感がある」

「クソゲー?」

 やっぱり通じないな。

「いや、気にしなくていい」


 だけど、こういうのって、どこかで意外な展開があったりするものなのだ。


 地下14層に冒険者狩りをしている冒険者がいるとか。


 15層にいたのは魔王軍の幹部ではなくて、聖なるドラゴンとかそういうので、ピンチになるとか。


 だから、気を落とさずに頑張るぞ!


 ダンジョンには危険がいっぱいだ!


 ――とくに何もなく15層に着いた。


「楽だな……」

「私は魔王様と一緒にいるだけで幸せなので退屈なんてありません!」

 ザフィーラが俺の腕にひっついてくる。

 いや、デートコースとかじゃないぞ。

 一応、命のやりとりがある場所だぞ。


 一見、これまでの階層と違いもないのだが、あるところまでいくと急に建物の中みたいに表面がタイル張りになっている。


 さらに邪神?なのか、化け物チックな像が通路両側に置いてあったりもする。

 感覚で言うと、門の両側に阿吽あうんの仁王が設置してあるノリに近い。


 これはクロだな。


「絶対、魔王軍の幹部がいる」

「なんか、なつかしさを感じます」


 そのまま進むと大仰な青銅の扉があり、若そうに見える男が座っていた。


 尻尾らしきものが生えているから魔族なんだろうが、長髪の美形だ。

 デフォルトでヴィジュアル系にいそうである。


「ふふふ、よくぞここまでやってきたな、私の名は邪神神官ベルク、魔王軍第11軍団長――――って、なんでザフィーラ、お前がいる!?」


 やっぱり、同僚ですよね。


「ベルク、聞いて! この方こそ、新生魔王様なの! ヤバいの! ヤバいぐらい強いの!」


 ザフィーラ、説明が雑すぎる。


「ザフィーラ、相変わらず説明が雑であるな」


 相手にも言われていた。


「だが新生魔王様というのは気に入らぬな。それは魔王様への冒涜であるぞ」


 あ、これは聞いてもらえない流れだ。


「お前も知っているだろう、魔王様は神聖にして不可侵の存在だ。軽々しく魔王様が新たに生まれてたまるか!」


 言いたいことはわかる。

 自称魔王がぽこぽこ生まれたら困るものな。


「じゃあ、俺が強さを証明したらいいかな?」


 このままザフィーラまで困惑させちゃダメだもんな。


「不届き者はこのベルク様が相手してやろう! いざ、勝負!」


 やっぱり、戦闘になるのか!

次回は夜11時頃の更新予定です。

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