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【第二回・文章×絵企画】作品群  作者: 絵師様×陽一
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彼女

 この作品は牧田紗矢乃さま主催の【第二回・文章×絵企画】の参加作品です。

秋原かざや(http://8916.mitemin.net/)様の以下のイラストに文章をつけさせていただきました。

挿絵(By みてみん)


 彼女はいつも、何かを探していた。


「何かって?」


“何か”──それがわからないんだ。


 見かけたときには、いつも、どこかへ向かっていた。


「どこかって?」


“どこか”──それも、わからない。


 後を追ったことは何度かあるのだが、いつの間にか、見失っていた。


「ちゃんと追わないと」


 ……面目無い。


「で、彼女って、ダレ?」


 “彼女”は、彼女だ。


「だからその彼女って?」


──行こうか。


「どこへ?」


 彼女がいそうな場所へ。


「それってどこ?」


 あっち。


「どっち?」


 そこを出て。


「出たけど、どっち行けばいいの?」


 あっち。


「だからどっち?」


 こちらだ。


「ちゃんと先導してよ」


──そこを曲がって。


「ここ、入っていいの?」


 そちらではない。


「え? だってここ、行き止まりでしょ?」


 いいや。

──押してみて。


「……え?」


 いいから。


「……ふぁっくしょいっ」


 大きなくしゃみだな。


「ズズッ……埃っぽぉいッ」


 ああ。

 見てのとおり、あまり使われていないからな。


「で、どこ、ここ?」


 物置だ。

 まっすぐ進んで。


「──ここ壁だけど?」


 そこ。


「どこ?」


 これだ。


「……?

 窓の外にいるの?」


 いいや。


「──何、これ?」


広い物置にある、背の高い、ぎっしりと物が詰まった棚の隣。

月の光に照らされて、布を被った一枚の絵がある。

忘れ去られて久しいそれは、一枚の肖像画だった。


 彼女の絵だ。


『──戻しなさい』


その声は、背後からきこえた。


──ほら、いただろう?


「え?」


少女が振り向くと、そこには一人の女性が立っていた。


「──彼女って、お母さん!?」


 君の母だったのか。


その女性は、肖像画とよく似ていた。


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