初恋。
ティアナさん、好きだよ。少しでも君が側に居られるように?そうじゃなく、ティアナさんから寄って来て欲しい。攻めてみせるよ。
その男の子が通る度に、女の子のヒソヒソ甘い声が聞こえた。
格好いい、可愛い、だの言われ慣れてる言葉を好きな人<本命>以外に言われても俺は何とも思わない。少し長い髪を一つ結びでくくって、惜しむらくは長身でないことか…と先ほどの男を見て思う。どう見たって負けてない。
「ティアナさん」
「あ、メシア君、お待たせ」
そう言って微笑むティアナさんは可愛い。
生きたお人形さんのような愛らしい純真な目にそれは現れているし、自分はティアナさん<本命>以外の女子はどうでもいい。
明確に言うと、自分の妹とか母には家族愛で、友人も男女問わず居るけども、初めて見たときから心を奪われたのは俺だけじゃないはずだ。
「メシア君、またナンパされたの?」
それは君でしょう。と洋服の乱れで察してしまう。
今だって色んな男が君に振り返って、ざわざわ五月蠅い位なのに。
君は愚鈍で可愛いね。
「まぁね。」
恐らく強引に肩でも掴まれたんだろうと、自分の着ていた学校の制服のジャケットをティアナさんの華奢な体を覆うようにふわっと掛けた。
「ティアナさんも女の子なんだから気を付けてね」
「ありがとう」
この可愛さ!と珍しく感情が動くけれど、焦ってもしょうがない。と思い、チケットを差し出した。
「わー。遊園地のチケット??」
「この間の抜き打ちのテストでティアナさんがノート見せてくれて。本当助かったから」
「他には誰が来るの??」
ティアナさんは惚けた様子で、チラチラと向こうを見ている。
ああ…さっきの冴えない男が俺とのことを嫉妬して見に来るのかと思ってるのかも知れない。あの男は追って来ないだろうと攻めに出た。
「2人で行かない?」
「え、え、えええっ!?」
ビックリして顔を赤らめたり青ざめたりするティアナさんが面白い。クスクス笑ってると、ティアナさんは不安そうな顔をした。
「で、でも、ね、レアに男の子と出かけて嫌な顔されたくないから」
そう言って、チケットを申し訳なく返して来たのがちょっと腹立たしくて意地悪を言ってしまう。
「レアは、君の事なんて何とも思ってないんだよ。だから言えるんだ」
そう言うと、「メシア君の意地悪…」と泣きそうな顔をして、こっちを潤んだ瞳の上目遣いで見てきた。無意識なのは恐ろしい。
「ティアナさんに強制はしないけど??」
そう言うと、「観念しました」とティアナさんからOKの返事を頂く。
それが何だか可笑しくてニコニコしてしまう。中身も可愛くて見てて飽きないいい子のティアナさんが俺に釣り合ってるのかなんて比べるまでもない。
好きだから、少しでも側に居て欲しいんだ。
隣にいて欲しいと思った女子はティアナさんが初恋だよ。
とうとう、メシア君出ました!!てか、君、ノートなんか見なくても成績上位という裏設定がね…(笑)ティアナちゃんに聞きたいだけ(^^;)