写真に写る過去、目で見る今の幸せ。
ティアナも変わるように俺も変われるんだろうか?可能性に賭けたいような賭けたくないような複雑な気持ち。だって俺はこんなにも自分が好きになれないのに?
レアは喫茶店で一人で写真を見ていた。
愛しい愛しい殺めてしまった恋人の肩を抱く写真。
そしてもう一枚が家庭教師をしている教え子、ティアナの写真。
自分の顔を見て「老けたな」と思う。
窓際に映る自分を、何度も見てしまう。
「レア」
そう呼ばれた気がして、振り返る。
トントンと窓を外から叩いていた、見間違うことないティアナ。
レアは思わず写真をまじまじと見ながら、ティアナを観た。
ティアナは最初会った時より少し大人びてる気がする。
彼女にこれ以上似ないで欲しいのに、段々彼女に似てきている。
重ねてる―…。
「レア!レア!一人なの?」
窓が邪魔してかあんまり聞こえないので思い切って窓を開けた。
「ティアナ、そんなにはしゃぐと周りの皆さんに迷惑だぞ。」
そう怒ったふりをすると、ティアナは周りを見回した。
案の定みんな観ている。恥ずかしそうにレアは「すいませんでしたー!」とティアナとハモって返す。
「レアがこんな学校の近くでお茶してるから悪いの-!」
何て可愛い我が儘だろうか、俺が一人でお茶してるのが悪いというのは口実で本当は女が寄って来て欲しくないくせに。
「…お茶驕ろうか?」
「いい!友達と一緒だから!」
「…そっか」
入学したての時は、「レア-、私みんなにひそひそ影で話されて友達が出来ないの…」そんな弱々しいことを言っていた。
レアは「大丈夫だよ」と励ました。レアは当然だろうなと、思う。こんな綺麗な銀髪に、朱い太陽のような目、そして端麗な顔。
そこらへんのアイドルよりよっぽど綺麗なんだから、みんな本当は寄りたいのだ。
でも、分かってしまう。
気さくな雰囲気、快活さ、すごく女の子らしいところ、周りをあっという間に自分のペースに合わせてしまうところ。
何となく分かる。
健気さ、純粋、素直、守りたくなるようなそんな小さな女の子。
ティアナは「じゃねー」と言うと、友達の元へ戻る。
思わずその腕を掴みそうになる。
「て…」
そこまで言うと、ティアナは楽しそうに友達と昨日見たテレビ番組の話で盛り上がっていた。
あんなに不安がってたのが嘘みたいに。ティアナはせわしなく笑う。
俺を頼りにしてて欲しいのに。
ティアナは多分俺がいなくても上手くやってく。それに焦燥感を感じる。
俺は?俺はどうなる?
「ティアナ…」
ティアナの後ろ姿を最後まで見ている。見えなくなるまで。
レアは彼女の写真をそっとなぞる。
俺もティアナも変わる。
その時はまだティアナの側に居られますように。
次で新キャラが出てくる予定です!(あくまで予定/笑)