優しい眼差し、それは誰のもの??
何でレアは私の家庭教師になったのかな?分かってる。分かってるよ。貴方はいつまでも遠くに私を見透かして誰かを見てるから。
ティアナの家庭教師がレアになって、ティアナはレアが大好きになった。
レアはいつも優しい眼差しで私を見てくれる。
黒いその瞳に浮かぶ自分の顔を見るのが好きだった。
大きなごつごつした手で優しく頭を撫でられるのが好きだった。
でも不思議と違和感があった。
ティアナを見てるレアは何かを諭した老人のように見える。
ティアナは実は何かでレアが捕まって出てきたと言うことを知っていた。
母はしらないが、ティアナは最初から分かってた。
その罪を知らないふりをすることで、レアがいつまでも居てくれる。
そのためならいくらでも私は知らないふりをしよう。
レアが寝てる間そっと好奇心に駆られて手帳を見てしまったことがある。
そこにはレアが誰かと写ってる写真があった。
誰が撮ったのかは知らないが、そこには見せたことのないような笑顔を振りまくレアが居た。
肩を組む女の人の顔を見ようとした瞬間、レアが起きた。
慌てて手帳を元に戻す。
「ティアナ…どうした、そんな慌てて」
「何でもない!あ、宿題出来たよ-!もう、レア寝ないでよね!」
そんな会話で誤魔化して、また彼が私を見る。
彼は何も知らない。私が本当は嫉妬深い女だと言うことも。
ただ「子供」だと思ってる事も。
「子供かぁ、何かをほしがる子供と一緒かぁ」
そうぽつりと呟くと、レアと宿題に取り組む。
レアは「何か言ったか?」と聞くと、いつもの笑顔でこう言った。
「何でもないっ!!レア、だーい好き!」
ティアナはレアが彼女の面影を重ねてると知らない。
レアが「彼女」を殺めた事も一切。
本当のレアはどこ?
レアは本当はとんでもない事をしてようやく出てきたんじゃないの?
私の知っている優しい「レア」は本物だろうか?
「ティアナ、大好きは恥ずかしいぞ…」
「本当だもん!大好き大好きー♪」
二人の密談は夜遅くまで続く。
いいや、レアがそばにいてくれるなら。
私はレアの為なら「子供」でいたい。
「女」でいなくていい。
―レアの為なら。
うーん、複雑な乙女心です。好きな人の過去って知りたいけれど、焼きもち妬いちゃいますよね。重い物なら上手な嘘で躱すぐらいの器用さが欲しいと私も思うときがあります。