あなたとの甘い時間。夢みたいな甘い幻想。
メシア君と初めてのデート。彼の甘い熱に…私はそのまま勝つことが出来ないでいるの。
メシア君とのデートの日、私は、部屋にある大きな鏡の前で何の服にしようか悩んで、デニムのタイトスカートに、白いフリルのレースのトップス、ジャケットはカーキのジャケット、足下にはルーズソックスで武装。
お化粧はしようかは最後まで悩んだんだけども、甘い香りのリップグロスを唇に塗るぐらいに留めた。
今日のデートは、レアには言ってない。
何か浮気をするような、罪悪感を感じずにはいられない。
本当にいいのかなと、白いパンプスがカツカツとヒールの音を回数で数える度に…その音が15回未満なら帰るとか、25回以上だったら行くとかそう言う優柔不断な事を考えてしまう私。
24回目のギリギリのヒール音で、私は待ち合わせ場所に着くことが出来た。それは幸運なのか不幸なのか…レア以外の男の人とのデート。
待って居ると、レアの時には絶対無い黄色い悲鳴達。
「お待たせ」
「今来た所だよ」
何か恋人らしい事を言ってしまったと、恥ずかしくて胸がドキドキ。
メシア君はパーカーにしましまのカットソー、シルバーアクセにジーンズに黒いスニーカー。何か今時の男の子だなぁと感心した。
「可愛いね」
「えええっ!?め、メシア君こそ!!」
「行こうか、ティアナさん」
そう言って差し出された片手を、戸惑いつつも握ったら、
いつもの高い背中が、小さくなって距離が近くなった気がした…。
行き先は水族館。電車を乗り継いで行く時に、
「あのセンセイ、すぐ当てるからやだよなぁ~、俺も当てられてさ」
「ええー、本当に!?面白いねっ!!」
などなど、同級生らしいデートを満喫している。
私、こんなこと出来る女だったんだなと少し凹む。
でも、それを見透かすようにメシア君が面白い話を沢山してくれた。
会話が飽きない。
レア以外の男の子で唯一興味を持ってデートした男の子。その特別感が何か嬉しくて、レアの事を忘れてしまいそう。
レアは、会話運びがすごい下手で、それなのに、結構もてるんだ。
メシア君は何かもてるのが納得してしまうぐらい格好いい、優しい。スタイル良く背は低い方だけど、聡明で綺麗な切れ長の目で私を見つめてくる。
薄々は、気付いてた。
多分、メシア君…私の事が好きだ。
甘い表情は、他の女の子には見せないもの。
私にだけ?何甘い事考えてるの??そう思いつつも、
「あ、ティアナさん、イルカ好きでしょ?」
「はい、アイスクリーム」
「バッグ持ってるから身近で見るといいよ」
とにかく、優しいその笑顔に揺れそうな私の弱い心。
ダメだな。普通の女の子だったら落ちるコース。
最初に、くじらを観て、イルカショーを鑑賞して、楽しくランチして…
「ティアナさん、何考えてるの?」
「え?」
「つまんない??」
目を細ませるメシア君。何もかもお見通し。レアの事はかいつまんでしか話してないのにずるいメシア君、きっと分かってくれる。
そう思い「あのね」とメシア君に全て話す事にした。
重い足がぴたっと止まって、私はパーカーの裾を掴みながら、じいっと真っ直ぐな瞳のまま、メシア君を見つめていた。
「メシア君、私、最低だと思う??」
その一言を吐き出すように絞り出すような震える小さな声で囁いた。
水族館の時計仕掛けのおもちゃの鐘がなる。
その瞬間、メシア君は。
メシア君は、私に近づいて、そっと忍び寄るように、でも、目は少しずつ閉じていって…スローモーションで動画を観て居るみたいに、彼の顔から目を離せない。
魔法のように、呪縛のように、手品のように、
私の心に忍び込んで…
その瞬間、そっと唇と唇が重なり合った。
彼の甘い瞳で私は惑わされてしまう。誘惑に打ち勝てば…そう思いつつ、負けてしまえばいいのにとも思うのに。
何故か…動けない。
これ以上踏み込まれたくないのに。
メシア君攻め攻めですね。ティアナちゃんが微妙にサイトに載せてた時と性格が違ってきてますが、お気にせず!