目に写る無邪気な笑顔、その裏に。
レアが監獄から出たとき、一目見た美少女ティアナの家庭教師になる。その理由は?そうとも知らずティアナは、レアに恋をする。レアはどう思ってる?恋のライバル出現?知られざる過去が2人に重い影を残す。
指先と指先、触れる。触れていた時間に戻れるなら…僕は何もいらない。
「うーん」
「どうしたティアナ」
「この問題が解けないの。レア」
二人が並んでるのも不思議なくらい不似合いな二人だった。
黒い漆黒の髪に顔に老いが出来てきて、口の端からは牙が見える。
お世辞にも綺麗と言えない疲れた目と顔を持ち合わせてるレア。
そして対照的なのが、ティアナ。
聡明な顔立ちに美しい銀髪。誰もが触れたいと願う綺麗な頬。
化粧すらしなくても美しい。「美」がそこにある。
目は真っ赤なウサギのようなくりくりした愛らしい目をしていた。
「ここはこうするんだ、ティアナ」
「ありがとう、レア!」
ティアナの悩んでた顔に笑みが零れる。一生懸命勉学に励んでるようだ。
レアはそんな彼女を愛おしいような目で見つめた。
二人の出会いはひょんなことだった。
ある青空の下、レアは牢獄を出た。脱獄なんてものじゃなく、刑を終えたのだ。
彼はその時もう既に30を過ぎていた。
牢獄に入れられた時も思いは今も忘れられない。
まぶしい光に照らされ視覚を失ったその瞬間、「どんっ」と音がして、まっすぐに彼女を見た。
「痛い~」
「あらこの子ったらごめんなさいね」
自分とは違う髪に透ける銀髪の親子がそこにはいた。母親と子供だろう。
「お兄ちゃん、綺麗な黒い目だね」
「…え?」
そう言われるときょとんとした。濁ってばっかな目が一瞬澄んだ気がした。
彼女の名前すら知らないのにそのまっすぐな目に惹かれた。赤い目の誘惑とでも言うんだろうか。
彼女はまだ中学に入りたてだろうか、真新しい制服を着ていた。
「あの」
「何ですか?」
思わず言葉が出ていた。運命だったのかもしれない。
「俺にその子の家庭教師をやらせてくれませんか?」
きっかけはそれだけ。
彼女はそれ以来「レア、レア」とくっついてまわる。楽しげに歌いながら。
俺が殺した彼女と同じように。
ああ、触れ合っていたい。俺が君を殺してしまわないうちに。
俺に向けている目で殺した彼女を思い出す。彼女が他に目を奪われてるのが許せなかったんだ。
「ティアナ」は裏切らないでくれるだろうか?
ティアナちゃんは美少女ですが、レアは平凡以下の年の差恋愛なので、ライバルの男の子が人気だったりします(実は昔サイトでお題に沿って書いていたのです。)いずれ出てきますが、レアの過去も気になるところ。1話で察する方も多いと思いますが。