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一の白

~事情~

いつの間にか閉じていた瞼を開き、ぼおっとした頭で辺りを見渡す。視界に入ってきたのは僕の横たわる緑と遥か頭上に広がる青、それらの間を繋ぐ白。そこには何も無く、ただ色が平坦に塗られているだけだ。


少しずつ頭が覚醒していき、こうなった理由である筈の先程までの記憶が甦る。だが取り乱したりはせず、白い魔方陣に少しずつ呑み込まれていくのはこれまでで一番の恐怖だったなぁと思い返すのみだ。


「気がついたかな?」


突然聞こえた声に少し驚き、急いで上体を起こす。声の主は僕から2m位離れた場所で椅子に座っていた。


「済まないが、とりあえず聞いて欲しい」


そう前置きして綺麗な男性が話し始めたのは、僕の疑問を全て解決する内容だった。


僕を白い魔方陣で呑み込んだのはこの男性で、とある世界を救って欲しかったかららしい。本人の了解も無しに勝手に誘拐して世界を救えとは随分と虫の良い話だが、悪い事をした自覚もある様だし反省していたので素直に怒りを我慢する事にしよう。


男性が僕に救って欲しい世界は今、邪神の手に落ちようとしているらしい。この男性が世界に働きかけて邪神が城から出られない様にしたものの、邪神が創造する魔物や魔物達を統べる魔王の力が強く、その世界の住人ではとても太刀打ち出来ないそうだ。もしその世界が邪神の手に渡ってしまうと、そこを拠点にして他世界まで危険に晒す可能性があるとの事。つまり失敗は許されない。そこで、邪神を倒せる可能性のある僕を窮地の世界に送り、邪神の作戦を阻止しようと言うのが男性の狙い。


「質問はあるか?」


「じゃあ、3つだけ」


男性の話を聞いて思った、一番の疑問を僕はぶつける。


「貴方は何者ですか?」


邪神の行動範囲を強制的に狭める事が出来て、世界が複数ある事を知り、更にその世界間を移動させる事が出来る。そんなの、まるで……。


「あぁ、自己紹介がまだだったね。私は創成神という。よろしく」


創成神。神話に明るくない僕でも、とりあえず凄い神様だというのは分かる。少なくとも縁結びの神様より凄い事は明白だ。


「何故、僕なんですか?」


2つめの質問。何故、僕なのか。何でも直ぐに出来るという特技を持っているものの、それで神を殺せるとは思えない。だが誰でも良いなら邪神に狙われている世界の住人に創成神が手を貸せば良い筈。わざわざ異世界から僕を誘拐した以上、僕が選ばれた理由がある筈。そう思っての質問だ。


「君が一番、大きな力を与えられるからだ。邪神のせいであの世界に神、及び神に連なる者が侵入出来なくなった。そこで、神から独立した人間という存在に邪神討伐を任せるしかなくなった。だけどただ任せるだけじゃ駄目だ。だから神の加護を、それも出来る限り強い加護を与えられる人間となった時、君に白羽の矢が立ったという訳だ。」


なんだか思った以上に複雑なようだ。邪神も考え無しに世界征服を企んだ訳じゃないらしい。


「では最後の質問です。その世界はどんな世界なのですか?」


情報は武器、という理屈でした質問に創成神は詳しく答えてくれた。


その世界は魔法のある世界で、今は魔物や魔族が溢れている事。人間はそれら邪神の眷族に魔法で対抗しているが、力量差は圧倒的らしい事。そして今現在全ての国が同盟を結んで連合軍として邪神と戦っていて、もう少しで大きな戦が起こる事。他にも一般常識や有名人等の知っていて当然の情報から魔法の秘密や邪神の性格等の誰も知らないであろう情報まで、ありとあらゆる事を教えてくれた。


「───以上が世界の主な情報だ。それで、君の結論は?」


行くか、行かないか。その2択を迫られる。だが実際に僕に残された選択肢は1つに等しい。


「行きます。ただし、条件付きで」


創成神の眉がつり上がる。圧倒的な存在を前にした、僕の大博打が始まろうとしていた。

次回、二の黒。遂に黒人形と対峙する百月。その勝敗や如何に!

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