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プロローグ 掻き消えた始まり

この物語はフィクションです。

登場する団体・人物名・その他地名等はすべて架空のものです。


 暗闇の中で二人の男が向かい合っていた。

 二人とも黒いスーツに身を包んでいる。片方はサラリーマン風、もう片方はマフィア風とスーツ姿でも二人の印象は正反対ではあったが。

 サラリーマン風の男の右手にはシルバーのアタッシュケースが握られていた。サラリーマン風の男の様子から、そこそこ重量がありそうな事が見て取れる。

 アタッシュケースをちらりと見て一つ頷くと、マフィア風の男はアタッシュケースを受け取った。

「…………これで依頼は完了だな」

「あぁ」

 そうだ。これで危険な仕事は終わりだ。サラリーマン風の男はその事に安堵していた。

 今回の依頼は正直言ってかなり危ない代物だった。

 彼がしているのは運搬の仕事……と言えば聞こえはいいが、実際は麻薬などの危険物を政府や国防に知られることなくこの日本に運んでくる事。もしも見つかれば捕縛される事必至な、そんな仕事。

 もちろん依頼料はかなり割高である。が、その依頼料に目が眩んで仕事に手を出してしまった事を今は後悔していた。

「依頼料の残りは指定の口座に振り込んである」

「……っ、分かった」

 男の本音としてはこんな男達とはさっさと手を切ってしまいたい。だが、それも出来ない。

 男は依頼を通じてあまりにも彼らのことを知りすぎた。知らなければ良いことまで知ってしまっている。

 そんな自分が仕事から手を引くなんて言い出せば、それこそ男の命が無くなるだろう。

 下手をすれば家族も……。

「さて、それじゃ――――グペェッ!!」

「――――ッ!?」

 マフィア風の男が何かを言いかけた。

 その言葉の先は気になるものの、おそらく永遠にその言葉の先を知ることはできない。

「な……、なにが……」

 分かることと言えば、マフィア風の男は地面に倒れ、頭からドクドクと液体を地面に流していること位だろうか。

 それはおそらく――――血液――。暗いせいでその液体の色は見て取れなかったが、それでも人間にとって大切な液体であることを男は瞬時に理解した。

 そして、誰かにこの男が殺された事も同時に理解していた。

 さらに。

「や、やだ……わ、私には……私にはまだ……」

 次に殺されるのが、自分であることも……

「私には……まだ……妹が……母が……………………」

 サラリーマン風の男もそれ以上の言葉を紡ぐことはもうない。

 彼は既に、この世には居ないのだから……。


「目標――沈黙――」

 二人の男の会話場所から3キロ程度離れたビルの一室。

 そのビルは元々ビジネスホテルか何かだったのだろう。部屋の中にはソファやテーブルなど、生活するための様式が申し訳程度に整えられている。

 だが、そのビルは数年前に廃棄されたものだ。ビル内には少年以外の人間は今存在しない。

『ご苦労じゃ。後始末は奴らがするじゃろう。掃除、ごくろうじゃったな』

 少年につけられているインカムからそんな声が聞こえてきた。

 相手の労いの言葉を聞きながら、少年は息をゆっくりと吐きながら面を上げる。と、同時に引き金から指を放した。

「で? あのアタッシュケースの中身は何が入っていたんだ?」

『お主が知るべきことではない』

「はんっ。俺が殺した相手が持っていた物だ。多少は気になるだろ? 地面にあんな強烈に落としてしまったし、割れ物だったらどうすればいい?」

『……。まぁ、良い。とにかく、すぐに帰還せよ』

「あいよ」

 プツッという機械音と共に接続が切れる。

「やれやれ」なんて呟きながら少年は震える手で銃を回収する。

 少年が使った銃はロシアが作り上げたセミオート狙撃銃。通称ドラグノフ。狙撃銃(スナイパーライフル)の中でもそこそこ名のしれた物を使っていた。

 これは少年の愛銃というわけではない。少年の愛銃は少し前に破損してしまい、修理に出したまま今だに帰ってきていなかった。その為、組織の方から渡されたのがドラグノフであった。

「………………」

 先程のような軽口をせず、無言で銃を片付ける。

 手は片付けをしている間も少しだけ震えており、カチカチと銃をたたく音が無音の部屋に響く。

「ふぅぅ……」

 ギターケースに改造された収納ケースにドラグノフを収納し、大きく息を吐いた。

 少年が人を殺すのは今回が初めてのことではない。それこそ、ここ10年間の間に何十人という人を殺してきた。

 今更誰かを殺して罪悪感を感じるなど、おかしな話だ。

「……ちっ」

 ギターケースを肩に背負いながら少年は立ち上がった。

 組織がバックに居る限り心配はないだろうが、あまり長くこの場所にいるのはマズイだろう。もしもそれが警察であれば目も当てられない。

 少年はドラグノフを収めたギターケースを背負ったまま部屋の扉を開いた。

「あ……そういえば、明日から学校だったか………………」


 ……この日、帰還を命じられていた少年が組織に帰還する事は無かった。


初めまして、夢叶(ゆめがない)です。

小説を書いたことはあまりありませんが、頑張って書いていきたいと思います。よろしくお願いします_(._.)_。

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