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勇者が世界を救ったあと、僕は国を作ることにした  作者: あおいにじ
第二章:観測される側の論理
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掲示板の前は、人が多かった。


依頼書の紙をめくる音。


金属の鳴る音。


傭兵たちの低い声。


葵は一枚ずつ見ていく。


魔獣討伐。

護衛。

輸送。


どれも人数指定がある。


「三名以上の戦闘経験者」

「人間限定」

「正規登録団のみ」


リオが小声で言う。


「弾かれてる」


葵は苦笑する。


「だね」


猫族が首をかしげる。


「おしごと、ない?」


セラは黙って立っている。


天使がいる時点で、視線が集まる。


受付台へ行く。


人間の女性。


事務員。


葵が聞く。


「あの、小さい依頼とかありますか」


事務員は書類をめくる。


葵たちを見る。


人間。エルフ。猫族。天使。


一瞬、表情が固まる。


「……混成ですか」


「はい」


「登録団名は?」


葵は言葉に詰まる。


「まだ、ないです」


事務員は小さく息を吐く。


「正式団でない混成は、危険区域の依頼は出せません」


「危険じゃないやつでいいです」


少し間。


事務員は端末を操作する。


「地下水路の確認があります」


葵が顔を上げる。


「確認?」


「旧区画の排水路。最近、水位が上がってる」


リオが反応する。


「構造劣化?」


「たぶん」


事務員は続ける。


「魔獣反応も出てる。

戦闘目的じゃないので、報酬は安い」


葵は頷く。


「それでお願いします」


事務員は少し意外そうに見る。


「……本当に?」


「はい」


書類が出てくる。


仮登録。


無所属。


期限付き。



地下水路入口。


石造りの古い構造。


湿った空気。


猫族が鼻を動かす。


「せまい」


リオは壁を触る。


「補強入ってないな」


セラが上から覗く。


「奥に生命反応二」


葵は深呼吸する。


「行こう」



中は暗い。


水が足首まで来る。


猫族が先行。


細い脇道を確認。


リオは天井を見る。


「ここ、落ちる」


葵は木材を当てる。


応急支柱。


セラが位置を指示。


ジーナが距離を計測。


奥で魔獣。


中型一体。


動きが速い。


葵が前に出る。


魔物に向かって腕を振る。


引っかかる。理屈はわからないがなんとなくコツが掴めてきている気がする


猫族が側面。


リオが支柱を叩き込む。


天井がずれる。


魔獣の動きが止まる。


一瞬。


それで十分。


魔物を倒した。



作業は続く。


詰まりの除去。


割れた石の固定。


水位が下がる。


町の下水が流れ始める。


外に出たとき、夕方だった。


依頼主の初老の男性が頭を下げる。


「助かりました」


葵は首を振る。


「みんなでやっただけです」


男は葵たちを見る。


濡れた猫族。


泥だらけのリオ。


静かな天使。


息を整える葵。


「……あんたたち、なんて呼べばいい?」


葵は一瞬、言葉に詰まる。


猫族が先に言う。


「ぶりっじ!」


葵が見る。


「え?」


猫族は尻尾を振る。


「はし!」


リオが小さく笑う。


「最初に直したの、橋だったな」


セラが頷く。


「論理的です」


ジーナが即座に反応する。


「登録します。団名:ブリッジ」


葵は慌てる。


「え、今?」


「はい。今です」


男は少し笑う。


「ブリッジか。悪くない」


夕暮れの風が吹く。


葵は仲間を見る。


誰も反対していない。


だから頷いた。


「……ブリッジで」


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