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すべてを倒す勇者と、すべてをつなぐ僕

「勇者は光の中から現れた」


王城の大聖堂は、静まり返っていた。


白い石柱が天井高くまで伸び、床には巨大な魔法陣が刻まれている。

幾重にも重なった円環。

古代文字。

七国家共通の召喚式。


中央には若い王。


その背後には天使族の観測官。

両脇にはエルフの演算官。

後列にはオーガの護衛。

記録担当として境界都市の人間。


世界が総出で見守っていた。


理由は一つ。


魔族国家ノクスが、ついに西方三領を飲み込んだからだ。


避難民はすでに数万。


村は焼かれ、川は濁り、空は暗い。


もはや交渉段階ではない。


王が一歩前に出る。


震える声で宣言した。


「異界の英雄よ――

この世界を救ってください」


同時に、天井が開く。


稲妻。


雷鳴。


光が、魔法陣に叩きつけられる。


空気が爆ぜる。


床が軋む。


そして――


白い柱の中心に、人影が立っていた。


20歳前後。


短髪。


白い外套。


まっすぐな目。


剣を持っていないのに、“強い”と分かる佇まい。


場の全員が、息を呑む。


天使の観測官が即座に読み取る。


「適合率、98.7%。

魔力容量、規格外。

世界補正、正常起動」


エルフの演算官が続ける。


「成長曲線、指数関数型」


オーガの護衛が低く唸る。


「……本物だ」


青年はゆっくりと周囲を見回し、


そして王を見て、頭を下げた。


「呼んでくれてありがとうございます」


声は落ち着いていた。


混乱も恐怖もない。


翻訳魔法は最初から完全。


王が震えながら言う。


「あなたの名は……?」


青年は少し考え、


穏やかに答えた。


「アルテリオです」


それだけで、空気が変わった。


この瞬間、世界は理解した。


――勇者が来た。


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