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プロローグ 将来の夢は魔王

 



 みんなは魔王と言うと、どういうイメージをもつだろうか?

 一般的には魔王はゲームのラスボスとかアニメの主人公とかそういうイメージだろう。


 僕にとって魔王とは……

 魔王は憧れ。僕にとって魔王は憧れの存在。

 小さい時から冷めることのないこの気持ちはもはや僕に宿った心の病だろう。

 僕の心の奥底まで根を張り、何年経っても除去は難しい。


 ◇◆◇◆◇



 目覚めの良い朝。

 こういう日は魔王修行に限る。僕は日課の朝の魔王修行に取り組む。


 内容は以下の通り。ランニング10km、腹筋300回、腕立て300回、そして背筋300回と……


「雄正! 早くご飯食べてちょうだい」

 母親の声が階段越しに聞こえてくる。


「今、良い所なんだ。後で食べるよ」

 俺は残りのスクワットをするべく、態勢を変える。


「いいから降りてきなさい!」

 さっきまでの優しい声ではなく、怒号が聞こえてくる。

「はあ……」

 このまま降りないと赤鬼が出現するので、渋々上着を来て階段を降りる。


「母さん、今魔王修行で忙しいんだから」

「バカな事言ってないで、さっさと食べる。中二病もいい加減にして欲しいわ」

 中二病って……そこまで言わなくても。

 魔王は僕の生きる意味なのだから。


 気づくと時間はなく、僕はパンを咥えて高校に向けて走る。




「馬鹿っだなお前」

「何か文句あるのか?」

 僕は唯一の友人に朝の出来事を話すと当然バカにされる。


「いや……ねえよ」

 いつもの事。友人はそんな呆れた目で俺を見てくる。

 僕はいたって本気だ。真剣に魔王を目指している。


「ないかな……魔王になる方法」

 教室の窓の外を眺めながら切実につぶやく。

「そういえばこんなのネットに書いてあったぞ」

 友人はスマホの画面を見せてくれる。

「なんのサイト?」

「魔王体験記って言って。実際に魔王になったって言うにわかには信じられない、詐欺みたいなサイトがあってよ、これがまたおもしろいのなんの……」

 友人は面白そうにサイトの紹介をしてくれる。


「あれ、雄正……? トイレか?」



 こんなすばらしいサイトがあるなんて!

 俺は期待で胸がいっぱいになり、学校から飛び出してしまう。

 今の気持ちを一言で表すなら……まあいっか。思いつかないほど脳が熱くなっている。



 サイトには魔王修行の内容が詳細に記載されている。

 さっそく実践する。行動あるのみ!


 文章の1行目。

『高さ50m以上の所から飛び降りて泣く』

 こんな誰が見てもインチキだとわかることでも僕の情熱はもう止められないのだ。



 僕が選んだ場所は有名な自殺スポット。

 ここなら魔王修行の邪魔は誰も入らないはず……。


 しかし、巡回中の警察に見つかってしまう。なんてタイミングが悪いんだ。

「ちょっと君、自殺はやめるんだ」

 そんな危ないことを警察が見逃してくれるはずもなく警察ともめ合いになる。


「止めないでください。僕はこの修行を乗り越えて、魔王になるんです」

「何言ってんだ君? とにかく落ち着くんだ」

 警察官は呆れつつも僕の服を掴む。


 そんな拍子に服は千切れ、僕は足を滑らせ滝に真っ逆さまに落っこちる。


 さあ、あとは無事に着地し泣くだけだ。








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