29話案内の書
「じゃ私はしばらく寝かせてもらうわね。謝砂何かあったらいつでも呼び出して」
星星は自分から仙噐の筆の中に戻った。
やっとピリピリとしていた爛はいつもと同じように茶を入れて謝砂に茶を奪われても文句を言わず茶を入れなおして飲んでいる。
「修宴が開かれるからお兄様も準備してくださいね」
姜は桃の花の家紋が押されている書簡を卓の上に置いた。
「柳花入りなさい」
「「柳花師姉!」」
柳花の気配は謝砂には分からなかったが爛が呼ぶと部屋の扉が開いた。
柳花は姜は白と紫のグラデーションの服と色違いの白と淡いピンクのグラデーションだ。
柚苑と雪児が同時に名を呼んだ。二人は柳鳳ではなく柳花派のようだ。
謝砂の代わりに爛が箱を空けて書を出した。
「宴の案内を兼ねたの招待状だ。わざわざ各仙世家に送っているのか。いつも勝手に集まるのに」
「瑛はどうしてる?」
「謝家で修錬中です。今回の修宴に連れていきますので会えますよ」
「修宴ってなに?」
「桃家で行われる行事だ。説明する」
じっと爛が桃家の柚苑、雪児、桃常、桃展と順番見たがさっと目を逸らしたが桃展と目を合わせた。
「桃展、説明してみなさい」
「はい。桃家の仙府の東側に桃岳泰山という山があります。そこは泰山府君ともいう泰山の神である桃岳泰山には天神が下り、死者の霊魂が集う山とされています。そして各地の土地神たちは秋の収穫時期になると泰山府君神に奉納し代わりに証明書になる護符を渡してもらっていたとされています。
護符を受け取った土地神の納める土地では妖獣や悪鬼が泰山府君神を恐れ悪さをすることができず民は安泰し土地神として民を守ることで敬われるのです。そして土地神の風習をのちに修仙が受け継いだとされる風習です」
「各仙家が土地神の代わりとして年貢のように廟に奉納し収穫を祝う宴行事だ。民では米だが仙家として妖鬼退治で得たものが収穫したものとして納める。それに仙家として役目も兼ねている」
爛に書簡を渡されて広げてみた。
謝砂は巻物の絵が写念され昔の民の風習を描いた絵の中に入り込んだ。
絵は銀箔と糊、紙で作った馬蹄銀を作り、土地神の像を桃岳廟に担ぎこみ入れる。そして廟の中で馬蹄銀を焼きそして小さな車に土地神の像をのせて周りを一周し、これを十数回繰り返している。
天界の宮殿に参列している儀仗隊や「静粛」・「廻避」などの先払いの立札・警護の兵士・地獄の使い走り騎馬に乗った武者など香炉持ち、傘扇などが廟のまえで列になり祭だった。
(仮装パーティーと神輿祭が混ざってるな。廟って神聖な物じゃないのか?)
そして桃の花が吹き荒れると仙世家の者たちが廟につくられた祭壇にむかって跪拝し献上品をならべている絵に切り替わった。
土地神の像は各家が妖鬼退治で得た邪気がこもった珍しい刀や翡翠の宝玉に代わっている。謝砂が分かったのは妖丹や魂霊丹、修復された光霊石の類だけだったがその中に腕輪も見えた。
「説明で絵が理解できたよ。でも納めて修宴は終わり?」
写念が終わり書をくるくるとまき書簡に戻してから爛に聞いた。
「修仙たちが一番楽しみにしてるのは泰山に集まってくる妖鬼の霊魂だ。悪名が知れている妖鬼を倒せば家名が上がるし、名の知れた修師にもなれる。かなり強い妖鬼がいて妖丹を持ったものが引き寄せられてくる山だから修宴以外は結界が張られている。妖鬼以外は入ることができない山だからな」
「宗主の立場じゃ参加できないよな?」
「家によるが宗主でも参加できるぞ」
爛が言うことに謝砂は背筋が冷えた。




