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もやしスープ鍋

 目が覚めたついでに謝砂は二日酔いに作っていたもやしのスープかあっさりとした醤油ラーメンが恋しくなった。

 規則正しい寝息を立てる爛を起こさないようにそっと部屋から出た。

 厨房に行くと綺麗に片付けられていていたが、なんとなく探していると素麺のような麺もあり、昆布やいりこ、干した椎茸に干しエビも揃っている。

 朝の支度前らしく色々と準備はされているが料理人の姿はいない。

 釜も見つけられた。ガサガサと探すと茶色のかめに深皿がかぶせられていた。皿を開けると中にもやしがびっちりと育っていた。

(食材も見つけたし鍋もラーメン風も両方作れる)

 包丁は中華包丁しか見つからず、勝手に使うのは気が引けて部屋に剣を取りに戻った。

 剣で食材を刻んで小皿にわけて並べた。あとは入れるだけで薪を竈に入れる。

「火はどうすればいいんだ? 火が怖くてつけれない」

「私がつける」

 爛は竈にシュッと火符をとばし火をつけた。

 爛も酔いが覚めきれてはなくぼーっとしたまま入口の柱にもたれていた。

 謝砂は立ち上がると爛をほっといて料理に戻った。

 爛は自分の役目は終えたらしく謝砂を眺めている。

 謝砂は釜ににぼしに昆布と水を入れて沸かした。

 もう一つの釜には昆布と干し椎茸、干しエビをいれてぐつぐつと煮る。醤油で味付けし麺を入れて少しとろみがついたラーメンもどきが出来た。

 チューブのにんにくをいれると美味しいらしいが皮向きも面倒だし好き嫌いで入れてない。

 もやしのスープ鍋も昆布は取り除き塩で味を整えてもやしとねぎを入れ作った。

「大量だな」

 湯気がもくもくとたちあがる。

 釜に合わせて作ったせいでスープ鍋は十人前ぐらいありそうだ。

「材料が豊富でつい作りすぎた。お椀によそったけど唐辛子はいるか?」

「いらない」

 小鍋にもやしのスープ鍋、小鉢に麺を入れて盆にのせたが湯気を顔に浴びた。

 湯気で目の前が見えずぐらっと傾きスープがこぼれかけた。慌てて一旦台の上に置いた。

 爛がすっとお盆を持った。

「危ないから私が運ぶ」

「爛は酒抜けてないだろ」

「謝砂よりは真っすぐに歩いてる。剣を持って歩けばお互い手ぶらではない」

 言い分はよくわからなかったが謝砂は手に剣を持って隣を歩いた。

「じゃ、卓の上を片付けてくるよ」

「もう片付けた」

 部屋の空いた酒瓶は窓際に一列に並べられいた。

 謝砂を探したのか戸棚や布団、カーテンなどあちこち布がめくられている。

 部屋に置かれたくず籠や竹籠も横に倒されている。

「さすがにくず籠にいるわけないだろう」

 爛は卓において料理を並べて麺を啜っていた。

「美味しい」

「よかった。味見してないんだ。味が足らなければ塩か醤油を取りに行ってくれ。辛みが欲しかったら唐辛子を刻んだからいれればいい」

 謝砂は小鍋からもやしを箸でがばっと掴み爛の器に足した。

(二日酔い予防にはさっぱりがいいよな。肉は分からなくて入れれなかったけど煮干しでなぜか海鮮スープの味がする。なぜだ? 野菜の味がしない)

「この味がいい。あったかい優しい味だ」

 爛は鍋のスープを飲むと思わず笑みがこぼれた。

 爛は謝砂が作ったあったかい鍋と麺は心を温めた。

 爛が半分以上食べ終えると寝台にごろんと寝ころんだ。

 腹を満たされると睡魔が襲ってきて謝砂は壁にもたれると眠りに落ちた。

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