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謝家の昔話

 謝砂が目を覚まして二日後の夜。

 川に溺死が現れないか嶺家たちが見回りをするというのを聞いて出払っていた。

 お詫びのために星星も同行させ屋敷の中は爛と謝砂の二人だった。

 爛が謝砂の部屋に酒を運んできた。

修宴しゅうえんという各仙家が集められる力試しのような宴がある。もちろん謝家は参加するがその集まりがある前に今、話しておきたいことがある」

「重要な宴の集まりなの? 不参加できない?」

「謝家の宗主として参加するから逃げれない。姜も謝家のご令嬢として一緒に行くことにはなるが招功に宗主の替え玉はできない」

「わかった。話が長くなるから珍しく酒とつまみを持ってきたんだろう。話してくれたら聞く」

 卓には五つの酒壺と小皿には野菜の和え物や干した杏や棗、ナッツなどいろいろ用意せれていた。

 謝砂は隣に腰を下ろして壁にもたれた。

「これは独り言だ。以前約束したことは守ってる」

 爛が誰との約束か言わなくても謝砂はわかってる。この体の前の主だ。

 爛が酒の包みを開けお猪口のような小さな器に透明な酒を注いだ。

 日本酒のような香りがふわっと漂って気分がよくなった。

 謝砂は注がれた酒をペロっとなめた。米の甘味があって飲みやすいが、びちびと口をつける。

 爛はくっと一口で飲み干して空いた器にタプタプに注ぐ。

「前宗主は謝砂の父君が長男だったが宗主を継ぐまえに命を落とされて亡くなっている。

謝砂から昔聞いたのは十年ぐらい前に爛の父君と母君と一緒に姜のご両親は狙われた姜の魂を命と引き換えに守って亡くなられたらしい。

 妖獣を倒したときに強い妖気を魂に浴びて砕けたと聞いた。

 謝砂はその場にいたこと以外の記憶がないと話していた。

 妖獣を思い出そうとすると強烈な頭痛に襲われて意識を失うから意味がないのだとも。

 まだ小さかった姜の面倒を自分で見ていたのは謝砂は責任を感じてたんだと思う」

「なんで謝宗主になったんだ?」

「これは独り言だと言っただろう。黙って聞かないのか?」

 爛は謝砂の口に果物を詰めた。

「宗主になったのは理理殿を嫁がせるためだ。謝家が集まった席で前宗主から長男だった父の代わりに自分が継ぐのが正統だと宣言した。傘下を含めて大荒れになったんだ」

 爛は酒をぐっと飲んだ。口からこぼれて顎から首へと流れた酒を拭わなかった。

 酒壺が空いて二本目を開けると自分の器と謝砂の器にも注ぎ二杯とも謝砂の目の前に置かれる。

 謝砂はぐっいと一口で一杯を飲み干した。

「理理さんが継いだら問題があったの?」

「血縁を重んじると宗主は理理が継ぐことになる。嫁ぐことはあきらめなければならない」

「謝家がごたついているときに桃威の桃家宗主になることが決まったんだ」

 謝砂が理理をさん付けで呼んでいることに気づかないぐらい爛も酔ってるようだ。

「謝砂は桃家に婚姻を独断で申し入れた。自分が宗主を継ぐとこを桃威と私に告げた」

「うん」

「理理殿は以前から桃威を慕ってることを謝砂には話していた。結婚を納得させるには宗主に嫁がせるしかないから桃威を宗主にした」

 謝砂は酒が回ったみたいに心臓が苦しく感じた。

「あいつは止めても聞く耳を持たなくて。理理を他の男に渡すのがどんなに苦しくても相手の幸せのためを身を引いたのにずっと想っているなんて地獄だろ」

 爛はいつの間にか酒壺をすべて空けていた。

(理理さんが初恋だったのか。だから心臓に想いが毒のように染み込んだまま痛むんだな)

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