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28話6

「謝砂気を付けて」

 蜘蛛の精妖は巣の糸を弾き奏で始めた。

 違うのは重低音になったこと。

 一本弾かれると心臓にズンっとした響きが重みとなって伝わってくる。

 爛が剣を抜いて柄を握ると飛んでくる水泡を橋の手前に力で弾き返していく。

 水泡は地面に触れると落ちるとバシャっと弾けて石も溶かす。

 謝砂は胸を抑えた。

 バンと弾かれる衝撃の速さは心臓のドクドクと波打つ鼓動と同じリズムで重なり頭にうるさく響く。

 ライブ会場や映画館の臨場感のある重低音のステレオの目の前で立っているようだった。

 騒がしさに慣れないせいか臨場感を怖いと感じるせいか振動が苦手だった。

 片手を腰に添えうつむいたが眩暈がしてふらついた。

「謝砂! 避けて」

「えっ? 何?」

 爛に言われてもとっさに避けれるほど反射神経はよくはない。

 顔を上げると大きな水泡が弾かれて飛んできた。

 謝砂は爛にぐっと腕を掴まれた。ふわっと体が浮いて回転する。

 爛の剣は鞘から飛び出て白い刃を煌めかせて水泡を斬る。

 爛は謝砂の腰をぐっと引き寄せて橋の後ろに飛んだ。 

 さっきまで立っていた場所がジュワっと溶かされて煙が出ていた。

 謝砂は瞬間移動をしたように爛の隣にいた。

「妖毒を吸ったのか?」

「違う。多分吸ってない」

 爛の瞳が揺れている。

「弾く糸の振動で眩暈がしたんだ」

「分かった。謝砂と橋の上に飛ぶ」

「今? やめ、やめてくれ!」

(高いところに行くほうが酸欠で眩暈がするじゃないか)

 爛は剣で水泡を叩き返しながら嫌がる謝砂の腰をぐっと掴んで抱えた。

 水泡を避けながら舞うように吊り橋の柱に飛び上がった。 

「うわぁぁっ。なんでこんなことに。爛!」

 支えに掴めるところは爛しかない。

 どっしりとした柱は大木が使われているようでに乗っていても安定感はあるがくっついていないと落ちてしまう。

 足元をみるとつま先が柱から出ていて慌ててひっこめた。

(怒りたいけど、離れられないし怒れない。爛にべったりくっついて悪いとは思うけど震える)

 吊り橋というだけでも怖いのに高所に頭の血が一気に下がった気がする。

「ここなら響かない。下は桃展と桃常たちに任せてもしばらくは大丈夫だ」」

「私は上から仕留める」

「糸にまだ水滴がついて光ってる。触れたら溶けるぞ」

「服には呪符が練り込まれて丈夫に作られてるから糸に触れるぐらいなら問題はない」

「でも覆われてない部分は溶ける」

「一人で橋の下には置いておけないから」

「斬らないのか?」

「水泡は斬ると飛び散る。謝砂は避けないから浴びるだろ」

「そんな説明でわかるか! どうするんだ?」

「水滴を拭ったら蜘蛛の巣に火をつけて橋ごと燃やす」

 爛は謝砂を支えていた手を放して

 改めて吊り橋の造りを見た。

 柱の塔に巻き付けた紐は底板を繋いでいる紐を通して橋の手すりと上部の紐を繋がれているような簡単な造りに思える。

 蜘蛛の糸が張り巡らされているおかげで吊り橋は補強されて安定感があるように見える。

(絶対に降りたくないけど蜘蛛の糸の方が)

 紐はしめ縄のように絡まった蔓で出来ているが爛が飛び降りるとぐらっと揺れた。

「仙師がくるなんて待っていたかいがあるというものね」

「ふんっ」

 爛は鼻で笑った。

 爛は剣を滑らせて水滴を落とし糸を斬っては手から衝撃波をだして吹き飛ばしていく。

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