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28話4

「桃常と桃展は? 剣を使ってるだろう」

 柚苑と雪児に説明するが首を傾げられる。

 剣のヒュンヒュンという音につづいてパラパラとした撒かれた音が聞こえた。

「うん?」

 謝砂の足元近くに飛んできた白い粒を拾った。

(米粒? 生米だしどうしてここにあるんだろう)

 塀を超えて桃展と桃常は細い糸を斬りながら勢いよく飛び出してきた。

「桃常何を飛ばしたんだ?」

 桃展と桃常は剣を片手に握っているがもう開けた片方の手に米粒が数粒張り付いて残ってた。

「米? 生米だよな」

「謝宗主もち米です」

 謝砂が聞くと桃常がそばに寄ってきた。

「もち米持ち歩いてるのか?」

(あっ。ダジャレじゃん。気づくか?)

「はい。餅はなかったんですけど屋敷の厨房にはもち米があったので分けてもらいました。巾着に入れて持ち歩くことにしたんです」

 謝砂は少し恥ずかしくなってコホンと咳をしてごまかした。

「えっとうん。いい心がけだと思うよ。何が役立つなんて分からないしな」

「蜘蛛の巣ってしつこいですね。ふわふわして斬ってもまとわりつこうとします」

 少し離れたところで桃展が剣をぶんぶんと振り回していた。

 素振りでもしていると思っていたが糸を防いでいたらしい。

「糸? 糸見えないんだけど」

「爛様が防いでいるからです」

 雪児に言われて気づいた。

 謝砂が糸を浴びてないのは爛が防いでいたからだった。

 糸に捕らえられていた謝家の門弟と嶺家の門弟が橋にゆっくりと引っ張られた。

「謝砂はここにいて。離れる」

 爛は橋に踏み込んだが手前で宙をくるっと一回転して着地した。

「気づいたの? もう少しだったのに」

 蜘蛛の精妖は糸の上を伝い橋の上でうつ伏せになり爛と謝砂を見下ろした。

 月がちょうど雲から顔をだした。

 川が月明りを反射して下からも橋を照らす。

 吊り橋は糸が張り巡らされていて突っ込んできたものを捕らえるための準備が整えられていた。

 月明りに光る橋はちょっとしたイルミネーションにも見えなくはない。

 テーマパークでハロウィンのために制作されてフォトスポットの蜘蛛の巣橋。

 橋は強い妖気に包まれて黒い煙が漂って見える。

 蜘蛛の精妖は手を振り払い爛をめがけて一撃を打った。

 爛が飛んできた糸をみて剣の柄を翻して糸の上を剣の刃で滑らした。

「爛大丈夫?」

「なんともない」

 刃をぱっと払うとじゅわっと石が溶ける。

 服は丈夫らしく溶けてない。

「ふっふっ」

 怪しげに笑って「シュル」と口から音が聞こえる。

「糸は水泡を小さな水滴にして糸に流しているの。目には見えないぐらい細かい粒だけど、消化するために溶かせるぐらいの毒をふくんでるのよ。すごいでしょう」

 爛は一人で飛んでくる蜘蛛の糸を剣を飛ばして斬っていた。

 蜘蛛の巣をめがけて矢がヒュンと飛んできたが大きな水泡は貫けずに刺さった矢はジュワっと溶けた。

 嶺楊は吊り橋を渡った向こう側から矢を飛ばしていた。

 蜘蛛の精妖はくるっと向きを変え嶺楊に顔を向けた。

「嶺楊殿は逃げろ。矢は意味がない」

 謝砂は叫んでいた。


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