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27話10吊り橋の下

 橋の下は真っ赤になり不気味だった。

 謝砂は橋に目を向けるともっとぞっとした。

 川に支柱はなくどっしりとしているが大きな二本ずつたった柱に括りつけられた縄でつながれた吊り橋だ。

 木のつるが這うが安全なようにネットもされていない。

 足元は木の板が均一に並べてあるが隙間が空いて見える。

橋はまっすぐではなく真ん中が弧を描くように反っている。

「あれ! あれが橋なの? 木の板と縄で吊るされてる吊り橋だったの?」

 謝砂は動揺して同じことを繰り返して嶺楊に訊くが冷静に対応される。

「吊り橋ですから。ずっと言ってましたよ」

「だって街の橋をくぐってきたのは川に支柱を建ててる桟橋だったじゃん。それに石橋もあったはずだ」

 道中にも橋が架かっていて数回橋の下をくぐってきた。

 だが吊り橋に出会ったのは初めてだ。

 さすがに渡る人の姿はいなかった。

「これから先もこのまま進むの? 歩いて調べてる柚苑や雪児たちと合流は?」

 謝砂が嶺楊に聞くとあっさりと答えられる。

「夜には合流するはずです。目的地はここですから」

「橋の上には長舌鬼でここに溺鬼がいると?」

 爛が聞いた。

「川に溺鬼が見つからなければ船で待機し夜になったら橋を渡ってみます」

 橋の木の板にすごく細い蜘蛛の糸が見えた。

 風が橋の下を通って吹くと「フフフ」と笑った声に聞えた。川岸に生えている草が揺れた。 

(今声がしたんだけど嶺楊でもなさそうだし気のせい? ススキが生えてるから擦れた音だよね)

 謝砂は些細な音にビクビクとしつつ首にかけた魚籠を握りしめた。

「うぅぅ。帰りたい」

 謝砂の言うことは無視されて船は進んだ。

 嶺楊は手に弓と矢を準備していた。

 川幅が広くなった吊り橋の下に入ると夕日を映したような赤い川を覗き込むと赤黒く見え水底が深く感じだ。

 橋から川に向かって垂らされた糸が反射した。

「吊り橋みたいなところで誰か釣りして放置してるんだな。糸を垂らしたままじゃないか」

 謝砂が言うと同時に爛の佩いてる剣は鞘から数センチ出た。

「どこですか? 釣り竿は見えません」

 嶺楊は座ったまま橋を見上げた。

「どこって一つだけじゃない。数十本はある」

 一本の垂れた糸は細い数本の糸が撚られた糸は太くタコ糸の太さだ。

 水滴がついていて見え蜘蛛の糸のように感じた。

 糸をたどって見上げると橋の底は蜘蛛の巣のように糸が張り巡らされていた。

「ぎゃぁぁぁ! 蜘蛛の巣ぅぅ」

 ふわぁっとした蜘蛛の巣が顔についた気がした。

 謝砂は叫びながら触れた顔を払うがまとわりつく綿のような糸の独特な感触は拭えない。 

「謝砂払うからじっとして」

 船から身をだして川の水を手ですくって顔にかける。

それでもとれず船端を手にかけて川の中に顔を突っ込んだ。

「ぷはぁっ」

顔を僅かに上げて息づきをした。

目を開けるとぽたぽたと水が落ちる。

 

 

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