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27話2

 謝砂は恥ずかしげもなく駄々をこねた。

「行きたくない。嫌だ。その手を離してくれ」

 桃常と桃展に両手を引っ張られてるが意思を示すべく体は仰け反らせた。

「駄々をこねないでください。瑛の教育によくありません。それに手を離したら倒れますよ」

 手を離されたら絶対に倒れるが構いはしない。

(打ち身は嫌だけど、倒れたら腰を打ち付けて歩くことができないと理由になるからお願いしたいぐらいだ)

 謝砂がずりずりと引きずられる後が二線となりくっきりと残されてる。

「謝家のことですが理理殿のお家なので桃家として堂々と手伝います」

 柚苑が元気づけるように明るく言ってくれるが逃げれないということだ。

「わざわざ恐怖を味わいにいくなんて狂ってる」

 嫌がってる謝砂の手に小さな手が重なった。

「瑛止めてくれないか?」

 謝砂が瑛にお願いすると頷き手が離れた。

 すっと瑛は謝砂の引きずられている腕の間に入る。

「しゃしゃ様の手を離して」 

 ぱっと手が急に離される。

(こいつら瑛に甘すぎる。よし狙い通りだ)

「あっ! 痛っ――くない」

「行く前に怪我されては招功が困るだろ。瑛は素直だな。そうだろ?」

 謝砂の考えは読まれて爛に背中を支えられていた。

 逃げられないように手首に紐がつけられた。

 細い糸のようだが丈夫で繋がれて爛に腕を引っ張られると繋いだ腕が上がる。

「なんだよこれ?」

「術の一つだ。しばらくの間私からは逃げられないから観念しろ」

 謝砂は糸を弾くと細いが切れそうではない。

「謝宗主、手足は縛られなくてよかったですね」

「なんで?」

 謝砂は他人事のように話す柚苑に聞いた。

「その糸で縛られると身動きが自分では取れないんです」

「爛、そんな恐ろしい物でつなぐな」

「痛みもないし無害だから心配しなくていい」 

竹林の道を歩き正門へとたどり着く間に謝家の門弟と這い合わせなかったのは奇跡だった。




招功はすでに正門で待っていた。

「連絡はしましたので、謝家の門弟は後で合流させます」

「うん。招功は行かないのか?」

「謝砂様がいない間取り仕切るのが役目ですので行けません」

「誰が決めたんだ?」

「謝砂様ですよ」

「そうだった。うん。そんな記憶もあったかな」

 謝砂はきょろきょろと姜の姿を探したがいない。

「姜ちゃんは?」

 謝砂が聞くと招功が驚いて話す。

姜師妹しまいとは一緒に行かないですよね。いつも置いていくではないですか。門弟の婚約前の女子は男子との混合はせず区別をつける家訓ですよ。忘れたんですか?」

「なんだそれは?」

 招功の代わりに桃展が教えてくれる。

「謝家は厳しいんでしたね。僕たちの祖先は剣舞で邪を払う舞姫だったので修仙において男女の区別は混合でもいいんですけど」

 舞姫と聞いて爛を見た。

 眼福と呼べるとびっきり整った顔は舞姫の血筋だからだと納得した。

「どうかした?」

「桃家は剣術に関する書が多いって言ってたのはそのためかと思って。謝家の祖先は?」

「法器を作る細工師だ。後に修復師と呼ばれるようになった」

 謝砂はリアクションに困った。

 舞姫ときいた後では華がなくパッとせず複雑な心境だ。

(職人はこだわりがあっても家訓は甘くてもいいんじゃないかな)



 正門をでて埠頭を歩くと波止場に船が一頭用意されていた。

「船で行くのか?」

 謝砂は船の近くで待っていた門弟に訊いた。

「溺死した溺鬼なら水鬼がいるのかも知れません。川を調べるのには水路から行くのが手早いと言われましたのでご用意しました」

「誰が言ったの?」

「謝宗主がいつもおっしゃられていましたので待たせないように準備しておきました」

 笑顔で言われると気が利きすぎる門弟に怒ることはできない。

「そうなんだ。ゆっくりでもいいんだぞ」

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