27話
話を聞いたのは中秋節を無事に終えた数日後、謝家に相談事が持ち込まれた。
謝砂は爛と共に竹に囲まれひっそりとした竹雲室という室に呼ばれた。
連絡用の形代が嶺家から届いたと招功が報告をする。
謝家仙府がある燕謝胡の西側に位置する浄嶺山の谷は謝家の傘下の仙家の嶺家が納める嶺家荘である。
「化け物がでて毎晩深夜に人に会うと長い舌を見せ驚いて逃げたものは病になり、そのまま湖の中に飛び込んで死ぬという長舌鬼か、溺鬼が現れてるという報告を受け傘下の嶺家の仙師を遣わせました。嶺家荘の仙師が橋の下を捜索すると首を吊った屍が橋の下に吊るされていたそうです。橋の下の邪気を払いましたが再び現れて」
「ぎゃあ! もうこれ以上は聞いていられない」
謝砂は話の途中だったが耐えれれなくなりつい隣で大人しく座っていた瑛を盾にした。
「連絡を受けたとき手順通り妖怪を見て病気になったと相談を受けた親族にその橋の上で紙銭を燃やせと伝えました」
招功が言うとその場にいた爛家の師弟である桃展、桃常が頷いた。
「手順通りですね。瑛を盾にするのはやめてください」
「ごめん」
謝砂の術を学ぶと言って帰らない師弟たちは今では瑛のいい遊び相手になっていた。
幼少期から美形に囲まれて育つ瑛にオッサン扱いされるか謝砂は今から心配している。
謝砂に中断されても気にすることなく招功が続けて話す。
「邪気を受けたものは紙銭を燃やすと病気が治っていたので舌の長い長舌鬼という妖怪に妖気を当てられただと思います」
「もう嫌だ」
謝砂が話の途中で何度も叫ぶせいで話が途切れる。
「文面を読みたくないというから代わりに招功殿がわざわざ読み上げているんですよ」
桃展に怒られるが気にしていられない。
遮ってしまい呆れたような視線が突き刺さる。
「えっとごめん。数日前の夢とそっくりで怖いんだ」
謝砂は数日間なぜか寝にくく、悪夢にうなされては目覚めるというのを繰り返されていた。
静かな川のせせらぎに夜の秋風が川沿いの草を揺らす。
橋の上で自分から川に飛び込み息が苦しくなりもがいて目が覚める。
謝砂はお祓いをしたほうがいいんじゃないかと本気で考えていた。
謝家の駆逐符を使いなんとか被害を抑えているが追加が欲しいということを疑問に思った招功が謝砂に相談するためわざわざ人払いをした。
「この間の駆逐符は謝砂様が霊力を込めたものですから門弟の呪符では意味がないように思えます。嶺家荘は理理殿の実母のご実家ですから無下に断ることもできませんし、呪符で解決できるような案件ともいえませんのでどうしましょうか?」
謝砂は耳を両手でふさいで騒ぐ。
「聞かないでくれ。何も知らない。呪符が欲しいならいくらでも書いてやる」
爛はくすくすと笑って招功に言った。
「しょうがないな。嶺家には謝砂が様子を確かめにいくと伝えて」
「分かりました! 爛様伝えてきます」
「なんだって? ちょっと待ってくれ。行くなんて言ってない」
たったと招功は外にでて門弟に伝えに行ってしまった。




