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26話2

 謝砂の願い通り馬車で謝家に向かった。

 謝家に着くまで馬車は柳花に任せた。

 師弟たちは塵家の馬車に乗って後ろをついてきている。

 用意してくれた馬車は大人が二人乗って寝ころんでも十分広々としている6人ぐらい座れそうな広さのはずだった。

 だがその馬車の中は土産物のお菓子や謝砂も買った茶葉などで埋め尽くされている。

 謝砂と爛は隣同士で座っていた。

「柳花は店ごと買占めしたみたいだな。なあ爛?」

 待っても返事は返ってこず耳元で寝息が聞えた。

 爛も完全には治っていなかったようで謝砂の肩に頭を預けて寝ていた。

(やっぱりまだ治ってなかったんだ。無理して動いたんだろう)

 爛を眺めていたが馬車に揺られ謝砂も寝入ってしまった。

 ガタンと馬車が揺れ謝砂の頭に菓子が落ちてきた。

「何だ? どうした?」

 馬車の揺れが止まった。

「謝家に着きました」

「ここが謝家?」

 馬車の窓の隙間から景色を見た。

 山間というより岩と竹林だ。

 屋敷の塀壁は石が積み上げられて作られている。桃家よりも寺や神社っぽい雰囲気が漂っている。

 柳花が戸惑っている謝砂に説明した。

「裏門です。塵家からの道ですと一番近かったので」

「正門は?」

「正門は川岸にありますのでこちらは山側の裏門です。正門に向かいますか?」

 水路という手段もあったのか。馬車と船でも選択できるのはうれしい。

「裏門でも開いてるのかな。鍵持ってるか分かんないんだけど」

 謝砂は門の前でガサガサと巾着の中や身に着けているものを漁る。

 一応自分の家だし鍵のようなものは渡されてないのだろうか探すが分からない。

「姜が迎えにきたので正門にまわる必要はないですよ。おかえりなさいませ」

「姜ちゃん!」

 謝砂は姜の顔を見るなり数日離れていただけだが懐かしくてうれしくなった。

「瑛もいます」

 姜の後ろから瑛も顔を出した。

「お土産いっぱい持って帰ったよ」

「お兄様じゃなくて柳花が選んでくれたのでしょう。柳花ありがとう」

 送る開いてが喜んでくれてるなら誰が買ってきたって関係ない。あっさりと受け入れる。

「そうだよ。柳花ありがとう」

 謝砂も姜に続けてお礼を柳花に言ったが柳花はすでに姜に腕を引っ張られて門に片足を入れている。

 瑛は姜の裾を握っていたのだが爛を見つけて近寄り抱っこされてる。

「爛様も桃家の公子方もおはいりになってください」

「お世話になります」

 桃展が代表して姜に挨拶をし続いて胸の前に手を合わせる。

「中秋節の準備がありますから来たからには客人でも手伝ってくださいね」

「中秋節って?」

「月餅作りだ。謝家荘は月が綺麗に見えるから町中で盛大にするんだ。とくに屋敷の上からは月が大きく見える」

「謝家に来た理由ってそれ?」

 謝砂はちらっと桃常たちを見た。

 爛は頷く。

「師弟たちはそうだと思う。謝家の月餅はおいしいと評判だからな」

(月餅が理由で一緒に来たのか。よほどおいしいんだな)

 謝砂は裏門に足を踏み入れた。

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