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26話

「塵家からも馬車が来てます」

 謝砂は支度を済ませて馬車に乗り込むところだった。爛に手を貸してもらう。

 謝砂が乗ろうとしたのは祠から送ってもらった塵家の馬車ではなく柳花が手配した馬車だ。

 隣に馬車がもう一台あった。

 塵家の家人が馬車の入口に踏み台を置いた。

 馬車の中から塵昌が降りてきた。

「もう出立されるのですか。急いできて間に合ってよかった」

「出立だって。桃常起きて、早く降りないと」

「展、僕も降りる」

「まったく柚苑、押すなよ」

 騒がしい声と共に柚苑、雪児に桃展、桃常が塵家の馬車から降りてきた。

「塵昌殿これはどういうことですか?」

 謝砂は乗りかけた馬車を降りて塵昌にきいた。

 爛は馬車に持たれながらも師弟たちを並ばせて静かにさせる。

 塵昌が謝砂に話す。

「あの謝宗主に教えていただきたく参りました。桃家の公子たちも行きたい方をお連れしたんです」

「聞かれても教えられることなんてないよ」

「湖から魂霊丹のせいなのか湖に霊脈が沸き龍神が宿りました」

「神様がいるならいいんじゃない。祀っていられるし。でも祠は封鎖するの?」

「いいえ。塵家が責任をもって祠を作りなおします」

「その方がいいよ。黒豆はこの町の薬茶屋さんで買ったから注文してあげてね」

「それで生霊の件なのですが魂が妖気で傷がつき魂が戻れないのです」

 謝砂の代わりに爛が尋ねる。

「謝砂にしてほしいことはなに?」

「修復してください。塵家では手に負えません」

 塵昌は巾着から三つのピンポン玉ぐらいの透明な玉を見せた。

 手に取ってじっくり見ると細かな黒い線のような傷が入っている。

 黒い線の上に重ねて薄っすらとした細い金色の筋が見えた。

「3つとも全部?」

「はい。桃展公子と桃常公子が謝宗主なら可能だと教えていただきました」

(勝手に何言ってくれるんだ。二人とも桃家の師弟だろ)

 謝砂は二人を睨んだ。

「お願いします。姉上に縄で捕えられたままの門弟たちの姿はかわいそうで見ていられません」

 塵昌の目ははるか遠くを見ている。

(有眉って見た目と違って家の者にすごく手厳しい)

「謝砂、師弟たちの口が軽くてすまないが頼む。謝砂ならできるだろ」

「分かったよ。お願いだから修復してみるけどあとから文句はいわないでくれよ」

 爛に言われれば仕方がないと受け取り手のひらで覆い直接魂に霊力を込めた。

 細かな傷をじんわりと中から霊力を流して修復する。

「はい。これで終わりだ」

 謝砂は一つずつ受け取り修復を終えると爛に渡す。

 霊力をこめて修復した魂はまるで傷がなかったように透明で磨いたあとのように光沢がある。

 爛にも見てもらったが自慢気に笑ったので大丈夫らしい。

「塵昌殿、どうだ。謝砂の修復は完璧だろ」

 爛が修復したわけではないのだが爛が塵昌に渡した。

「はい。素晴らしい修復術は初めて目撃しました」

「ちゃんともう突っかかってくるなと塵家の者に言い聞かせるんだ。それと桃家の師弟たちに桃素貞とともに桃家に戻るように言っておいてくれ」

「分かりました。それでは急ぎますので失礼いたします」

 礼を述べて何度も頭を下げながら塵昌は御剣して帰っていた。




 謝砂は残った桃家の4人の師弟に尋ねる。

「君たちは桃家に帰らないのか?」

「僕たちも一緒に謝家についていきます」

「いいですよね? 柳花師姉も行くのに僕たちも行きたいです」

「分かった。謝家にみんなで遊びに行こうか」

「遊びなのか?」

「宗主の奥方のご実家に一族として挨拶にいくのは当然だ」

「姜ちゃんに連絡しなくてもいいのか?」

「謝家の送思念符そうしねんふを送ったから受け取るだろ」

 爛は燕の形をした形代に指先で字を綴り飛ばすと鳥よりも早く空を飛んで行った。

「分かった。でも御剣はしない。それだけは譲れないからそれでもよかったら一緒にきていいよ」

 謝砂は条件を出した。

「「はい」」

 声を合わせて返事をされる。

「じゃ帰ろう」

 柳花は話している間にお土産の菓子を買いそろえて馬車に運んでいた。

 お土産と一緒に謝砂も爛と馬車に乗った。

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