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結界陣づくり

「妖龍を倒すのに結界の中に入らないといけないの?」

 謝砂がたずねたことに有眉が答える。

「陣は私が作りますが威力がないんです」

「どうゆうこと? 閉じ込めても妖龍は倒せないの?」

「結界は攻撃ができません。結界の中で妖龍が暴れてしまったら持ち堪えられません」

「妖龍はじっとなんてしてないよ」

 謝砂が頭を抱えると爛が背中を軽く叩いた。

「陣を湖の上に敷き結界を作って覆えば身動きは取れなくなる」

「謝砂、魂霊丹は持ってる?」

「あの巾着なら持ってるよ」

 小さな巾着を取り出し手のひらい置いて見せた。

 爛は謝砂の巾着の口を開いて小さな魂霊丹を取り出した。

 小さな珠は薄暗い中でも輝いて周りまで照らす。

「これを食べさせるんだ」

「どうして?」

「妖丹の代わりに食べさせたら石像に入り込んだ妖魂がでてくるだろう。妖龍の姿をしているだけだ」

「爛様いい考えだと思います。問題は口を開けた状態で陣を発動させることですね」

「陣は謝砂ではなく四人に作らせる」

捆妖陣こんようじんですか?」

「なにそれ?」

「妖魔や妖獣を捕らえる陣だ。捕らえるだけではいけないから妖龍を縛りつける五星芒術ごせいぼうじゅつも同時に陣に組み込む」

 爛と有眉は話が通じているようだが謝砂は適当に相槌をうつが何も分からない。

「謝宗主これは桃家の陣術ですので詳しくはご存じないとはおもいます。

 説明すると一人で作る結界陣ではなく、五人で同時に剣に霊力を流し線を結び星を描く陣です。

 成功すれば捆仙索よりも強力で縛り上げることができ捕らえることはできますが妖龍に効くかは分かりません」

「捕えて動きを封じればいい」

 簡潔に爛が答えた。


 謝砂は携えていた剣を鞘から抜いた。

「陣を作るには剣がいるよね? 有眉殿、剣は自由に使ってくれ」

 謝砂はちらっと爛を見るが意図が通じているようで爛は止めない。

 鋭く尖った刃先を下を向けて有眉に柄を向けて渡した。

 戸惑っているのか中々受け取らないので手に柄を握らせすっと謝砂は手を抜いた。

 有眉はふわっと握りしめていたが謝砂が離れ柄をぐっと握りなおす。

「いいんですか?」

「うん。自分の剣じゃなくてもいいならこの剣を使って」

 謝砂は有眉が今まで離れていたのは怖くて逃げていた訳でもない。

 腰に剣を携えていないからだと気づいていた。

「浮かんできたときには剣が消えしまってたんですよね?」

「はい。状況をよく観察していらっしゃいますね。剣を呼んでも側にこないのです」

(だって剣を持ってるのは自分だからって術をしている間逃げられなくなる。爛は妖龍の相手をしてもらいたいから剣ぐらい貸したほうがいい)

「願い事を叶えてくれたのに剣までは返してもらえなかったんだな」

「爛、妖龍の足に羅衛と同じ腕輪をはめていると思っていたが違った」

「じゃどこか分かるか?」

「石像を腕輪は鎖が繋がっていただけだ」

 腕輪の窪みは鎖が繋がっていたへこみだった。

 両足にはめられていたが羅衛の望みを叶えるのに腕輪を抜いて力を渡したようだ。

「羅衛の望みが叶ったときに妖力が満ちた腕輪と集めた魂霊丹も回収するつもりだったという訳か」

 爛が考えた仮説は謝砂の考えと一致した。

「だから魂霊丹を妖龍に返すのか?」

「謝砂が魂霊丹の妖気と邪気を綺麗にしてしまったからどうなるか試したいんだ」

(試すって実験を今するときじゃないだろ。命がけの実験につきあわせないでほしい)

 有眉は覗き込んで目を輝かせて魂霊丹を見る。

「すごく綺麗な珠ですね。魂霊丹というよりも宝珠ですね」

「謝砂の霊力はすごいだろ」

 爛は口は上向きに弧を描いた綺麗な微笑を浮かべた。

 理由は分からないがとっても楽しそうに見え謝砂もつられて微笑んだ。

「有眉殿、危ないですよ」

 爛が有眉に言った。

 見とれていたのか有眉は柄ではなく刃の部分を指で挟んでいた。 

 爛に言われて顔を赤めて両手でぐっと握る。

(仕方がない。爛が微笑むなんて滅多に見れない絶対貴重な一瞬だ。女子でなくても見とれしまうのは当然だ)

 謝砂は軽くため息をついた。

 爛のマネージャーになった気分で握手回で聞くフレーズを言った。

「はい、お時間です」 

 

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