表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/763

標的

 動かない石像だったはずのものは音を立てて襲いかかってきた。

 妖獣は頭上を旋回して謝砂たちと向き合う。 

 呪符では効果がないと分かると桃常と桃展は同時に剣を鞘から抜いて柄を握りしめた。

 二人は目くばせをして妖龍をめがけて左右から飛び込み刃を振りかざす。

 振り下ろした刃は妖龍に当たるが切ることができない。

 妖龍は身を軽くよじらせるだけで桃常と桃展を振り払った。

「うわ!」

 常がバランスを崩したが展が桃常の腕を掴んで一緒に着地した。

「助かった」

「お互い様だ」

 妖龍は尾で払うように地面の小石を飛ばしてくる。

 桃常は桃展は剣の刃で後ろに下がりながら弾いていた。

 刃の金属にカンカンと連続で石が当たり跳ね返している音が響いた。

 妖龍は素早くて動きを止めない。 

 小石とはいえ勢いがよく銃弾のように威力を持つ。

 爛はさっと謝砂の前に立ち庇った。

 手の平を前に突き出しさ手で払う仕草をした。

 勢いよく飛んでくる石の力と爛が手から出した力とぶつかり小石は砕けて散りになる。

 ぐるぐると旋回し飛びながら威嚇するような唸り声を出す。

「だから怒らすなってば!」

 謝砂が怒ると桃展が開き直る。

「怒らすしかありませんよ」

「力任せに剣を使っても意味がないならやめとけ」 

 妖龍の赤い瞳に謝砂が映った。

(なんで見るんだ? 怒らせてないだろ)

「来ないでくれ!」

 次は石ではなく妖龍が謝砂を標的にしたように勢いよく追いかけてくる。

「ごめん」

 謝砂は妖龍に向かって意味はないが詫びた。

「ごめんなさい!」

 爛から離れて謝砂は謝りながら祠の奥の湖のほうへ走って逃げる。

 爛は謝砂を掴もうと手を伸ばしたが謝砂のほうが早くて指先が届かなかった。




 謝砂が逃げるよりもさすがに飛べる妖龍のほうが早く湖にたどり着く。

 妖龍はもともといた石像の定位置に降りる。

 長い尾を湖に打ち付けて勢いよく水を飛ばしてきた。

「鉄砲水かよ。冗談じゃない」

 謝砂はピタッと立ち止まると水は足元に落ちた。

 何も攻撃していない謝砂をめがけるように妖龍は口を開けて牙を向けた。

「他にも獲物はいるだろ!」

 謝砂は怒りながら叫んだ。

 恐怖と怒りで血圧が上がる。

「謝砂!」

 爛は謝砂に追いつく前にすっと刃に指を滑らせた。

 血の流れる指先で宙に呪符を書き謝砂に送った。

 謝砂の目の前に四角く囲まれた文字が朱色に光って浮かび上がる。

「うわ!」

 謝砂は目の前に突っ込んでくる妖龍の頭にぐっと身を構えたが突っ込んできた妖龍の頭が呪符が壁のように受け止めた。

「呪符か? 助かった」

 二度突き破ろうと頭突きをしてくるが呪符は光ったまま謝砂の防御壁となり守っている。

「来るな!」

 妖龍は頭突きではなく牙をむき出しにして呪符ごと謝砂を噛もうと口を開けた。

 謝砂は逃げることもできずに両腕をあげて頭を守る。

 襲ってきた妖龍に爛は剣を飛ばした。

 爛の剣は煌めく白い刃は妖獣の開いた口を横切った。

 剣は妖龍を追いかけ湖の上空を舞う。

 飛んできた剣に妖獣は謝砂を避けて黒霧に姿を隠す。

 剣は妖龍を追いかけ湖の上空を舞う。黒霧の中でも白い刃が輝いてどこにいるのかが見えた。

 爛の剣は螺旋を描き霧を晴らして様子が見えるようになった。

 妖龍はボチャンと湖の水の中に入り姿を隠した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ