祠の奥
爛は謝砂たちを自分の後ろに下がらせた。
桃展たちは後ろに下がったが剣を構える。
謝砂は爛の背中に隠れた。
扉に触れずに腕をあげて手のひらから衝撃波で呪符を散らした。
呪符が消えるとギィーとお音を立てて隙間が開いた。
突風が吹き扉はバンと開いた。
「うわぁ!」
内側から風が吹いたように扉が開くと風で灯りが揺らいだ。
謝砂は爛の後ろに隠れて風を避けた。
扉の中に入る。
謝砂は祠の中に見覚えがあった。
腕輪で見た羅衛の断片的だった景色と一致する。
羅衛でみた映像では祠は洞窟の中だとは思わなかった理由が見つかった。
羅衛は後ろにいて祠の前にいたのは美玉だったから見えなかったのだろう。
祠はちらっと見えたが羅衛には石像は見えなかった。
外だと思っていたのも納得した。
祠がある中は天井は開いていて空だった。
明るかったのは太陽の光が入っていたからだ。
祠の奥に湖のように水溜まりができていて石は水溜まりの中にある。
湖に浸かっている石は動いては見えない。今は月の灯りが注ぎ込んで湖が反射している。
鍵穴のような空間だ。通路には祠でがあり奥に水溜まり。
通路は蝋燭の灯りで足元を照らす。
中には人の気配がない。
祠なのに神秘ではなく陰気が漂っているようだ。
湿った空気が肌にまとわりつく。
祠から先は足元が砂利になっていて歩きにくい。
謝砂が歩きにくそうなのが分かったのか足がもつれる前に爛に手首を掴まれる。
「ありがとう。そのまま掴んでいてくれ」
桃常たちは謝砂の先を歩く。
「手前は深くありません」
先に行った桃常が叫んだ。
石像を確かめに爛の一緒に水の中へと入った。
水溜まりに見えていたが沼ではないようだ。
ひんやりと冷たいが凍える程ではない。
水は透き通っていて砂利が見える。魚も住んでいないようで安心して足を入れる。
魚さえいなければ怖くはない。
石像は龍か蛇と聞いていたが謝砂の目にはどちらにも見えない。
かろうじて爪があるように見えるから蛇じゃない。髭もないから龍ではない。
「分かった。トカゲだ」
自信満々で答えを導いた。
「違う。信じられないなら師弟たちに聞いてみろ」
爛に即否定され呼ばれた師弟たちは照らし合わせたように同じことをいう。
「龍ですね」
展がはっきりいうと続いて雪児が止めをさす。
「爪もあるし間違いようがないです」
間違いぐらい誰にでもあるさと自分で慰めた。




