四神の違い
謝砂が剣術を手真似をしてる姿を背中側の棚からこっそり見られていた。
隣にあった書を手に取って広げて動きを簡単に真似て人が去るのを待っていた。
待っている間に手招きで呼ばれて人が増えていく。
「どなたですか?」
「しっー」
「誰?」
「知ってるお方?」
「バレるから静かにして」
(とっくにバレてるよ。女の子も見てくれてるならって黙って耐えてるけど。そろそろ去ってくれないかな)
書棚の後ろに隠れて隙間から覗いているが、端に追い出されている者は本を手に持って目から下を隠しているが姿は丸見え。
言わせてもらえるなら書を広げてせめて読んでるふりでもしてほしい。
謝砂は知らないふりを続けたかったが探し物がある。
視線が向けられている後ろの棚に顔を向けた。
「あの……」
謝砂は書斎を案内してほしくて声をかけた。
人に尋ねるのも苦手だ。
本を探すときも検索機で探したり、ネットで検索する。
案内図があれば一人で探すが見つけれれない。検索機なんてあるはずもない。
整理されて規則的に分類されているのだろうが初めて来た謝砂には見つけられそうにもにない。
「はい」
桃家の人は声をかけると覗き見ていても礼儀正しく皆が返事を返してくれる。
「――謝宗主!」
謝砂に気づくと態度が変わる。
邪魔だとも言ってない。
「申し訳りません」
「失礼しました」
「ごめんなさい」
なぜか謝砂に謝り、尋ねる前に人がいなくなった。
謝砂は一人でふらふらと探して歩いた。
手に取る書には剣術がまとめられているか、呪符や術が載っているものばかりだ。
謝砂は歴史に関する本を探しているのに出会えない。
この世界の成り立ちとか歴史はあるはずだ。
家系図とかの複雑な資料もありそうなのに探せない。
棚の隅に見覚えがある姿を見つけて名前を呼んだ。
「桃展公子」
宴で公子と読んだり若君とか殿と呼ぶことが身について違和感なく呼べるようになった。
「謝宗主!」
桃展は逃げるわけでもなく嬉しそうに受け入れてくれた。
「なにかお探しですか?」
「うん。歴史書ってある? 子供が分かるぐらい簡単なの」
「歴史が記載されているのはありますけど、子供向けってなんですか?」
謝砂は歴史があると聞いてよかったと笑顔になった。
子供が読むための本はないようだけどそれは別に重要じゃない。
「聞かなかったことにして。簡単でもいいから古い時代はないかな?」
「四神が記載されているような歴史ですか?」
「そう、そう。そんなので文字だけのをお願い」
謝砂は四神がリアルに描写されたものは見たくなかった。
地獄絵図のような挿絵を見てしまい独りになると絵が頭に思い出されてしばらく恐怖を味わった。
常に誰かにくっついて過ごし、トイレも一人のときは扉を閉めることができず扉を開けて入った。
お祓いの代わりに塩を大量に頭の上に小さな山ができるぐらい被って記憶から抹消できた。
水墨画とかの時代に可愛いキャラクターのイラストは期待できない。
謝砂に頼まれた展は古そうな巻物を一つ選んだ。
謝砂と桃展の二人しか居ないので静かだった。
中央に移動して書を卓子の上に広げた。
謝砂がお願いした通り絵はなくずらっと字が綴られてる。
「鳳凰、獅子、亀、龍が四神です」
「朱雀、白虎、玄武、青龍じゃないのか?」
「違いますよ。引っ掛けようとしても無駄です。虎は人を食べる妖獣です」
「怖いこと教えないでくれないか」
「普通の子供でも知ってます。書をじっと眺めてください」
「眺めるだけでいいの?」
「絵が描かれてなくても写念で見えると思います」
桃展が言う通りに書をただ眺めてみた。




