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「嫌だ。離れたくない」

 燃やした後は縁起が悪いから清めるといわれたが、たぶん片付けるのに邪魔だったからだろう。

 呼びに来た弟子に片付けをまかせて後片付けをせずにそのままにしてきた。

 部屋数はすごく多いようで室の一つずつ名前が付けられているが読む前に押し込められた。

 蘇若を膝の上にのせ、手には爛からもらった干し杏を二人で食べていた。

 甘い物で釣らないと爛のほうへすぐに逃げようとするから捕まえていた。

 だが向かい合って座っていた姜に蘇若を取り上げられた。

「お兄様はまだ安静にしないと。姜が連れて帰ります」

「わかった。でも蘇若ではなく新しく名を付けよう」

「お兄様、この子を直接お育てになるのですか? 門弟や師弟として?」

「ややこしい話は分からないけど。姜も美玉さんに頼まれたときいた。世話する者がいないのなら私が勝手に助けた責任は負わないと。うちの子だ」

「そうですけど。いきなり名前ですか?」

「爛に聞くけど家族として育てるには問題がある?」

 隣に座っていた爛にきいた。

 呑んでいた茶を置いた。

「世家に入れるのは宗主の自由だ。拾ってきたのはいいとして、いい名があるの?」

「宗主が決めたことをとめるものは居ませんが飼い犬ではないのですよ」

「犬はすべて怖くて苦手だ。可愛いだけじゃなく鋭い牙が怖い。吠えられると動けないし。でも小鳥は好きだな」

「小鳥と名をつけるのですか?」

「そんなふざけないぞ。謝若しゃじゃくはどう?」

「変わってません。謝小?」

「もう少し捻って考えよう。爛と一緒に助けたから爛がつけて」

葉竹はちく

 爛の書いた字をみてドキッとした。

(竹の葉って笹だから読みが笹で紗々ってことじゃん。使うなよ)

 憶えていたのか。

「縁起が悪いから却下だ」

「いいと思いましたが」

「えいってよくない? 蘇若って男の子みたいだし蘇若は瑛にしたらいいだろう。謝瑛で完璧だ。憶えやすくて混乱しない。なぁ瑛」

「はーい」

 蘇若はえいと呼ばれて返事をした。それでいいという答えだ。

「分かりました。瑛はもう寝る時間です」

「ここで一緒にすごせばいい」

「いけません。子供とはいえ分けるべきです」

「男女の区別って大事? まだ子どもだ」

「なんて破廉恥なことを。記憶がないと言っても分別は忘れないでください」

 かなり軽蔑された。

(この世界の基準で考えるとかなりゆるく育ってるから境界線が分かんないだけど)

 自慢じゃないが女子に守ってもらっていたが嫌がられたことはない。男としては見られないが。

「部屋が家族で一緒に過ごすのは本当に小さい時ぐらいで農村とかでも別です。またはやむを得ない事情があるときだけです。室がある時は別で寝ます」

「じゃ途中まで送るのはいいんだろう?」

「はい。じゃ私がいる室まで行きます」


「分かったよ。気を付ける。でも爛だったらいいのか?」

「桃の若様は別です。常に清廉潔白で男女の区別なく慕われておりますが興味がないようです」

(男女区別なく人望があるって意味かな)

「今では自分が一番と思って誰も相手にしないのだと皮肉された噂がありましたが人柄がいいので納得してしまってそれでもいいと反対に人気がさらに増しました」

「人に興味ないのか。せっかく美人なのに」

 謝砂には爛はずっと隣にいて世話してくれるから世話好きで人が好きなんだと思っていた。

 自分大好きなナルシルトとは思えなかった。それなら興味がないのか。

 美人すぎても大変なんだなと自分には一生関係ない話だと他人事のような態度に姜は謝砂にため息をついた。

「お兄様は別の意味で噂されてますよ。人を寄せ付けない変わり者として縁談が一つもないですよ。見栄えはいいほうだし謝家の若宗主という肩書もあるのに」

褒められてるのかディスられてるのか分からない言い分だ。

「威張ってるわけではないのですが、他の人を相手にしないので敵を増やしてばかりです。余計なお世話だとしてもきかないと。口数は少ないために誤解されたままになるんですよ。年下の者からは畏怖されて近寄られないからって小さい子を使っても愛らしくはなりませんからね」

 謝砂は怖がられてるらしい。

「爛様がお兄様の代わりに取りなしてもらっているので持ってるですよ」

「念のために訊くが爛は男で合ってる? もしかして女性かもってきけないだ」

 姜は口を開けたまま塞がらない。

 顎に触れてその口を閉じてあげる。

「頭を強く叩かれたのですか? それか取りつかれましたか?」

 招魂されたからとりついたという表現は間違ってはない。

「どっちなの? 姜ちゃん教えて」

「着きました。家宴が開かれるのですが姜は行きません。お兄様一人でお願いします」

 先に瑛を室の中に入れて姜は自分も入るとすぐにぴしゃっと扉を閉じた。

「えっと帰るよ。見送りはいらないよ」

 謝砂はわざと大きな声をだしたが見送られることはなかった。

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